~幕末・明治の写真展~「フェリーチェ・ベアトが見た日本 Part1」
東京都写真美術館で開催される戦場写真のパイオニア・フェリーチェ・ベアトの展示イベント
◆フェリーチェ・ベアトは1863年より幕末~明治時代初期の写真を15年撮った人です
1832年にイタリアのヴェネツィアで生まれたと言われているフェリーチェ・ベアトは、1844年からコンスタンティノープル(現・イスタンブール)で育ち、彼の妹レオニルダ・マリア・マチルダが結婚した写真家のジェームス・ロバートソンから写真の技術を学んだとされています。
1855年にロバートソンがクリミア戦争に従軍することになり、ベアトも助手として同行し、撮影を行いました。このクリミア戦争は、初めて本格的に写真で記録された戦争として知られています。その後ベアトは、1858年にインドに向かい、セポイの反乱と呼ばれたインド大反乱(第一次インド独立戦争)の戦跡を撮影し、1860年にはイギリス軍に従軍して中国で第二次アヘン戦争の戦跡を撮影しました。それまでの写真家が写すことのなかった遺体をも写したベアトの写真は、戦争の悲惨さをリアルに伝える力を持っていました。
従軍先の中国で、『イラストレイテッド・ロンドン・ニュース』の特派員で画家のチャールズ・ワーグマンと知り合ったベアトは、一足先に来日していたワーグマンを頼って、文久3年(1863)に来日し、明治17年(1884)まで約20年間日本に滞在しました。
当時の外国人は自由に日本国内を撮影することは難しかったため、開港地の横浜や長崎での撮影が多かったのですが、ベアトは来日した使節団などに同行して日本各地をまわることができ、風景だけでなくさまざまな階層や職業の人々の風俗も撮影しました。ベアトのように長期にわたって日本に滞在し、数多くの写真を残した写真家はほとんどおらず、彼の確かな技術による鮮明な画像の大判写真は、幕末の日本の様子を現在に伝えてくれる貴重な資料でもあります。
今回は当館所蔵のベアト作品の中から、前編として、来日した外国人向けのお土産として販売されたアルバムを中心に、ベアトが得意としたパノラマ写真5枚を含む、約90点を展示いたします。
江戸の街並みや、明治5年(1872)に完成した横浜駅の様子、外国人が行くことを許されていた横浜周辺の遊歩区域や東海道、開港地である神戸や長崎などの日本各地の美しい風景と、当時の日本人の風俗、そして、かつての街並みをドラマチックな視覚効果で伝えてくれるパノラマ写真の数々をお楽しみいただきます。
◆今回はポール・ゲッティ美術館が所蔵するオリジナルの写真に加え(日本初公開!)、東京都写真美術館が所有する120点以上の写真が展示される
◆関連イベント・・・石黒敬章・井桜直美トークショー「フェリーチェ・ベアトを語る」 8/31日 14:00~16:00
◆作品点数・・・90点
◆休館日・・・月曜日 月曜が祝日の場合は開館
(2013/7/10 時点の情報)