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少女病展

10.12[月]~10.25[日] / 東京都 / ギャラリー新宿座

「少女万歳ですな!」 明治から現代まで続く「病」を覗く。

2015/10/14(公開:2015/09/22)

東京のギャラリー新宿座で開催される展示イベント

自然主義文学の代表者の一人、田山花袋といえば『蒲団』(1907、明治40年『新小説』9月号)が広く知られる作家。その4ヶ月前、『太陽』1907年5月号に『少女病』を発表している。

『少女病』の主人公の名は杉田古城。『蒲団』の竹中時雄と同じく、田山花袋自身をモデルにしており、千駄ヶ谷村(現渋谷区、千駄ヶ谷三・四丁目付近)、代々木駅、甲武鉄道(代々木―お茶の水)、東京電気鉄道外濠線(お茶の水―錦町河川駅)、神田錦町三丁目付近など、明治39年から死去まで過ごした代々木を中心にした沿線が主な舞台となっている。

若い頃は少女を讃える新体詩等で名を馳せていたという、中年文学者・杉田の抱える「病」は、「少女への憧れ」あるいは「憧れるだけで満足する性的不能者」といった推測の体で語られるが、「病」の詳細が断定されることはない。

田山花袋が劇中で描いた「少女」(海老茶袴の女学生が主)は、明治30年代に世間の目を引いた「堕落女学生」よりも清らかであり規範的なイメージの女学生、少女雑誌、良妻賢母規範といった諸要素によって構築された「少女」のイメージが投影されたものであると思われる。

大柄の中年男が憧れの美少女を見つめ続けてしまい、急ブレーキをかけた電車の戸口から線路に転落、反対車線の電車によって轢死してしまうという結末。

今日における「少女」というモチーフに付随する、「清廉」、「純潔」、「幻想」、「魔性」、「憧憬」、「懐古」、「残酷」、「耽美」、「境界」、「成熟」、そして「恐怖」や「愛憎」などが描かれている。それらは主人公に凝視され、他者の言葉で描写され続ける「少女」たちに見出されることが多々ある。

現代の「少女病」とは何か?

袴姿の女学生という象徴的なイメージは時代とともに消失。「少女」というモチーフはますます不定形なものとして流通し、「少女」という言葉、〈それ自体〉も多くの人の関心を惹きつけるフェティッシュとして定着している印象がある。

明治40年の「病」は、今なおその感染範囲を拡大中。パンデミックを止める術はもはや無いと思われる。広がり続ける「少女病」と対峙すること、それこそがパンデミックに対する唯一の抵抗手段かもしれない。

このイベントは、世代や作風は異ってはいても、少女性をモチーフにした作品を展開するという共通点を持った罹患者を招き、様々な「少女病」が表象された作品を展覧することで、現代の「少女病」の一側面を考える契機を促すためのプレゼンテーションという面を持っている。


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Comment紹介者コメント

イベニアスタッフ
「多くの人が『少女』という存在に何を求めるのか。
彼らのいう『少女』というのはひょっとしたら現実には存在せず、概念だけのものかもしれません。
『少女』の白昼夢を見るのは、蠱惑的ですが危険かもしれません」

※あくまでイベニアスタッフの個人的な追記・意見・感想です。

住所 東京都新宿区新宿4-4-15 
会場 ギャラリー新宿座
開催日時 2015年10月12日~2015年10月25日 12:00~20:00
last day ~17:00
料金 入場料 ¥500
TEL/FAX /
MAIL
参考URL http://shinjukuza.jp/project/shoujoyamai1/
ドレスコード
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