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ピンクのチョコレートが壁と床を埋め尽くす!‘かわいい’に包まれる空間「三木みどり個展 Kawaii Ceremony」

アイコンまるで‘お菓子の家’なアート体験

2014/04/16(公開:2014/03/31)
お菓子の家に住みたい。


誰でも一度は考えたことがあるんじゃないだろうか?

屋根はビスケット、壁はチョコレート、窓はキャンディ・・・。

おとぎ話の世界の話だと思っていたけれど、これは・・・!?




床や壁を埋め尽くすチョコレート!!

しかも、
靴を脱いでチョコの上を歩くことも出来る。何だかちょっとイケナイことをしている気分になるけど、視界いっぱいに広がるピンクのチョコレートにテンションが上がる!




女の子の憧れ、猫足のバスタブもある。優雅なバブルバス・・・と思いきや、バスタブにぎっしり入っているのはピンクのポップコーン!!


 

残念ながら、これらのお菓子はものすごく精巧なフェイク。ポップコーンは紙粘土で作られている。手に持ってみても、軽さ、艶、色など、とてもリアルで、言われなければ口に入れてしまいそう。顔を近づけると甘い匂いが漂って来そうだ。




三木みどり個展 KawaiiCeremony

東京国際フォーラム フォーラム・アート・ショップ内ギャラリー
2014年04月06日[日]まで


これらの作品を作ったのは、現代アート作家・三木みどりさん。
彼女が考える‘かわいいもの’である「明治の板チョコ」や「ストロベリーポップコーン」などを大量に使った作品を制作している。
  

  

壁や床に敷き詰められているのは、明治製菓「リッチストロベリーチョコレート」。壁、床、パネル、およそ5000枚もの板チョコが使われている。このチョコレートを作ったきっかけはレンガを描いたことだという。そこから白、茶、ピンクのチョコレートを作るようになり、このような作品が生まれた。

チョコレートの本体は樹脂で出来ている。パッケージ(4年前のデザイン )はオリジナルのデータを拡大して使用している。ちなみに、明治製菓にはパッケージデザインを使っていることは伝えてあるそう。来場者用のお土産に、本物の明治チョコレートもあった。




映像作品の上映も行われている。

Happy Valentine!2014
バレンタインに、道行く人々に214個のチョコレートを手渡すアートハプニング 。今回は3回目で山手線沿線で開催したそう。いきなりチョコを渡され最初は驚いていた人達が、徐々に笑顔になっていく様子が印象的だった。

本当は214個配る予定だったが、大雪のため配りきれなかったそうで、残ったチョコが展示されていた。こうした結果も作品の一部になっているのかもしれない。

 



三木みどりドキュメンタリー
チョコレートの原材料・カカオが生産されているガーナ共和国で、作品制作を行うドキュメンタリー。‘かわいい’作品を作る上で、「かわいい」や「幸せ」が何なのか、もっと考えたい、知りたいと思うようになったのだという。既に板チョコとなったかわいい姿の向こうにある、現地の人たちの生活を自分の目で確かめたかったのだそう。

ガーナに行くまでは、貧困、生活の苦しさなど、どちらかというと暗いイメージを持っていたそう。しかしガーナの人たちは、とても自然に三木さんと作品を受け入れてくれた。その様子が映像やパネル写真からも伝わってくる。  




時々、芸術作品を見て「これは何の意味があってやっているんだ?」と言う人がいる。

しかし、私はそもそもアートにおいて、他人が作品に意味を求めるのはナンセンスだと思っている。意味が分からないものを無理して見なくて良いとも思っている。

三木さん自身が‘かわいい’ものに囲まれて幸せだから、他にも‘かわいい’ものに囲まれたら幸せになる人がいるから、それだけで良いのだ。どうしてお菓子で幸せになるのか?そこに意味があるのか?知ったところで、一体何になるのだろう。

どうせなら色んな想像を働かせて、作り手と一緒になって、かわいい!美味しそう!と楽しんだほうがよっぽど自分も幸せな気分になれるのに。


 

お菓子や、チョコレート、ピンク色。そうしたものを見ると、無条件に「かわいい」と思ってしまう。私だけでなく、多くの人が共感してくれるはずだ。甘いお菓子を食べれば幸せになるし、ピンク色を見ると心が癒される。それはなぜなのか?

『エンドルフィンが分泌されて・・・』とか、『セロトニンという神経伝達物質が・・・』とか、科学的・論理的な説明も出来るかもしれなが、その答えは十分でない気もする。


でも、そんなことが分からなくても、見ているだけでワクワクして、幸せになる感じは確かに私の中に、そして三木さんの中にある。

きっとこれからも、三木さんが作る‘かわいい’世界は私たちを幸せにしてくれるだろう。



2014.03.31 文・写真 篠崎夏美
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