2013年3月に開催された「世界で最も美しい本コンクール2013」の受賞作に加えて、日本、ドイツ、オランダ、スイス、オーストリア、カナダ、中国、ベルギーの8か国で開催されたコンクールの受賞作品、およそ200点が展示される。
本離れ、活字離れが叫ばれて久しいが、この'美しい'本たちを見たら、自然に本が読みたくなるだろう。
表紙はもちろんのこと、挿絵、文字、デザイン、装丁、それぞれに工夫が凝らされている。ここに世界最高峰のブックデザイン、そして造本技術が集まっていると言っても過言ではない。今まで見たこともないような本に触れているだけで、ワクワクしてしまう。
本にとって一番大切なのは、何が書いてあるかという中身だが、それと同じくらい大切なのは、外見上の美しさかもしれない。どんなに素晴らしいことが書いてあっても、手に取られなければ意味がない。中身を読んでもらうために、外見を工夫するということもあるだろうが、ここに並べられた本はそうした小手先の手段として‘美しい'のではない。「どんなものが良い本か?」をとことん突き詰めた結果、このような美しいものになったのだと思う。
今回の展示も、本を手に取ることで、本の後ろにあった解説が見られるようにjなっていた。これは先入観を持たずに、まずは手に取って見てみて欲しい、ということなのだろうか。展示台の前には椅子もたくさんあるので、座ってゆっくりと美しい本を堪能できる。
世界各国の、しかも美しい本が会場にズラリと並んだ図は壮観である。 文字のそのもののデザイン、挿絵などは言葉が分からなくても楽しむことができる。絵本もあれば、小説もある。これだけ様々な国の、様々な種類の、様々な美しいデザインの本を読める機会は貴重だろう。
手に持って読むことが出来る本ならでは、手触り、光沢、匂い、重さ・・・。電子書籍には到底真似出来ないものがある。 このイベントに来るまでは、美しい本=美しい装飾の本、というイメージだったが、装飾だけが本の美しさではないことに気付かされた。
2013.12.03 文・写真 篠崎夏美