都内某所の雑居ビル。なんの看板もない地下室へ、女性が入っていく……。いったい、その先には何が?
■ 闇の中で開催される合コン
この日行われたのは、合コン・街コン・イベント企画サービス おもコンによる「暗闇コン」。
【「暗闇コン」主催者インタビューはこちら http://evenear.com/article/detail/464 】
全員アイマスクを着用し、見た目を一切排除した3対3の合コンです。まずはレディファーストで女性が部屋へ。スタッフからの説明を受けます。
※会場内が暗いため、写真もかなり暗いです。
その後、男性陣がアイマスクを着用。スタッフの肩に手を置き、電車ごっこ状態で部屋へ。つまり、男性は部屋の間取りすらわからない状態です。
全員アイマスクをしたまま自己紹介するという、なんともシュールな光景が広がります。
年齢層は25〜29歳あたりが多く、30代の方も。職業は、看護師、建設業、公務員、コンサル系、美大生、アパレル系、介護系企業の営業、などさまざま。
食事内容も当然ヒミツ。スタッフ「いま、1つめの食事を置きました。右にフォーク、左にスプーンがあります」との説明に、文字通り“手探り”で位置を確認する参加者たち。
ここで、【暗闇コンのルール】を説明しましょう。
・全員あだ名で呼び合う。(以下、参加者はすべて仮名)
・食べ物は5品。スピードに差が出るため、食べた瞬間に「これ●●だね」と言わない。次の食べ物が出てきたときにみんなで答え合わせ。
・事前に質問を紙に書き、ボックスへ。会話に困ったときに引く。
・制限時間は90分。終了後、気になった異性の名前を紙に書いてスタッフに渡す。
・マッチングしていれば、スタッフから連絡。不成立だと会うことはできません。
つまりマッチングしなかった場合、連絡先の交換ナシ、まったく顔を見ないままお別れです。一期一会にも程がある!
■見えない中で情報を探り合う(?)参加者たち
――誰に似てるって言われますか?
むつきさん(女性)「母親には、たぬきに似てるって言われます」
もうりさん(男性)「笑うとバカリズムに似てるって言われるんですけど、それが発揮できなくて残念です(笑)」
――なにかスポーツやってますか?
「フットサルやってます」
「去年ハーフマラソンに出ました」
「最近なわとびにハマってます」
出身地や仕事の内容など、アイマスクをしながらも普通の合コンっぽい会話が展開されていました。
――どんな性癖(フェチ)がありますか?
いちこさん(女性)「においフェチです。あとは声ですかね」
もうりさん(男性)「めがねっ子が好きです」
オレンジさん(女性)「骨格フェチです。くるぶしとか関節とか後頭部とか、出てるところが好き」
お互い見えていないので、もうちょっとディープな「ぶっちゃけトーク」が繰り広げられるかと思いきや……そこはやはり恥ずかしさが勝る様子でした。
■女性が男性を嗅ぐ! においで判断できるのか?
食事のあとは、「匂いくらべ」タイム。男性は座ったまま、女性が立って男性のにおいをかぎます。思わず体をさわる積極的な女性もいました。
“においフェチ”を公言した、いちこさん(女性)
「隣にいて『あ、この人いいニオイ』っていうのが良いのであって……。“じゃ嗅ぎます!”っていうのもなんか変ですね(笑)」
感想は?
「ヘアワックスのにおいがする」
「みなさん良いににおいでした。なにか対策してきました?(笑)」
「うまく言えないけど、微妙に違いますね」
一方、女性ににおいをかがれた男性の意見は? 別の回に参加した方に話を聞くと「かなりドキドキして、ちょっと興奮しました!」とのことでした。
■見えない握手会?
続いて、「握手くらべ」タイム。手を前に出して握手します。お互い見えないので、なかなかうまくタイミングが合わない人も。
スタッフの誘導で、なんとか握手。
「あ、はじめまして」
「指先が冷たい!」
「手が小さいですね」
「しっとりしてるかも?」
「結構ガッツリ触りますね(苦笑)」
「すべすべしてる」
「肌荒れしてます?」
などの会話が繰り広げられました。
90分経ったところでタイムアップ。女性は部屋に残り、男性はアイマスクのまま外へ。紙に自分の名前と、いいなと思った異性の名前を書いて終了です。
■参加者を直撃! ぶっちゃけ見た目と中身、どっちが大事なの?
男性参加者に感想を聞いてみました。
――どうでしたか?
「ふだんは女性の表情を見て話す内容を変えるので、会話が途切れたときに次の話題を出すのが難しかったですね。声でどういうタイプか判断しました。この子は顔がかわいいだろうな、とか想像してましたね。」
――それって結局、顔で選んでいるのでは?(笑)
「でも、きょう選んだ人は多分かわいくない。って、見えてないから俺の勝手なイメージですけど(笑)。気が合うな、楽しそうだなっていう人を選びました。普通の合コンより中身が理解できたような気がします」
――会ってみて、もしタイプじゃなかったら?
「あまりにもタイプからかけ離れてたら、普通に飲み友達でも良いかな、と」
「顔出し? いいですよ」とあっさりOKをいただいた、いちこさん(仮名)に聞いてみました。
――手を触った感じは?
「手汗びっしょりだった男性が良かったですね。話はちょっとチャラい雰囲気だったのに、意外と緊張してるんだ、って思って」
――性格が良いけどブサイク、性格が悪いけどイケメン、どっちがいいですか?
「性格が良いほうがいいですね。最悪、顔は整形で変えられるけど、性格って変えられないと思うので」
もう一人の女性にも聞いてみました。
――お相手の男性はどこで選びましたか?
「触った感じと、においですね。この先一緒に過ごしたりしても違和感ないかな、と思ったので。100%とは言えないけど、半分くらいは分かるんじゃないかな」
――もし会ってみて、顔がタイプじゃなかったら?
「それでも好きになる可能性があるかもしれないので、付き合ってみてもいいかなと思います」
■顔は見えずとも、性格は分かる?
実は筆者も、ほかの参加者に混じって「暗闇コン」体験をしたのですが……予想以上に楽しかったです!
よくテレビのバラエティー番組で、芸人さんが目隠しされて、知らないところに連れていかれる企画があるじゃないですか。ああいう雰囲気を想像していたんです。始まる前は正直不安で、途中で帰りたくなったらどうしよう? と思っていました。
でも、会話は普通の合コンと同じで、ただ見えていないというだけ。視覚以外の四感をフル活用! 特に聴覚は重要です。声のトーンや会話の内容だけで判断するのは難しかったですが、それでもぼんやりと「性格らしきもの」が見えてきたような気がしました。
ちなみに筆者のマッチング結果は……不成立でした!(チャンチャン♪)
取材/村中貴士