特撮映画『シン・ゴジラ』にハマりすぎ、お会いする方に「観ました?」と訊いて回っている私。
だがこの夏、もう一つチェックしておくべき“特撮”の展示会が、原宿「PATER’S Shop and Gallery」にて開催中だ。その名も『ウルトラ怪獣水中ニーソ化計画』。
<これまでの水中ニーソ記事>
○ニーソ好き?可愛くて、綺麗で、ちょっと苦しい(酸素的な意味で)
http://evenear.com/article/detail/48/
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○無限大のかわいさ『水中ニーソ』が、“女の子×女の子”でさらに倍増!
「水中ニーソキューブ展」で涼しさとキュートさを堪能
「水中ニーソキューブ展」で涼しさとキュートさを堪能
水中の女の子とニーハイソックスを組み合わせた『水中ニーソ』シリーズに、電撃G’sマガジンの『ウルトラ怪獣擬人化計画』がコラボ。円谷プロダクション公認である。今回、作者の古賀学さんと、モデルの真縞しまりすさん(エレキング役)、えみりんごさん(ダダ役)にお話を聞いた。
■エレキングを演じる、『泳げない』天才!?
写真集を作るにあたり、エレキングは表紙を飾る怪獣として最初から決まっていたそう。ノーブランドのビキニ、うしじまいい肉さんのブランドのTバックスパッツを使用。
「円谷さんとの打ち合わせで、飽くまで『水中ニーソ』であり、コスプレではないという風にしようと。ふとももから下はデザインしますが、水着はあえていじらず、メーカーの水着をそのままです」と古賀さん。エレキングの模様は、布が小さいビキニにすることで、肌の色と合わせて作ったそう。
水中の怪獣・エレキングを演じたのは、『水中ニーソ』3年目のベテラン、真縞しまりすさんだ。古賀さんも「天才」と呼ぶ彼女の才能は、肺に空気をためたまま水中へ潜れること。ご本人いわく、体脂肪率は15%ほど。筋肉の比重が重いため楽に沈める。
ただ浮力が無いので、泳ぐのは困難。幼稚園、小学校のころはプールで溺れながらも、水に対する恐怖心は芽生えず、中学生からダイビングをやっているとのこと。
ちなみに、今回はニーソを主題とするため、空気タンクやフィンがない状態で撮影が行われた。モデルのそばに空気タンクを持った女性ダイバーがおり、モデルが唇を指差す動きで、レギュレータを差し出していたそう。
■『やられ役』ダダは、アスリート並みのハイスペック美少女
続いてダダ。使用したREALISEの水着は、モデルに合わせ、トップはM、ボトムはSとサイズを変えている。頭に付けた二つのボールは、『擬人化計画』のイラストでは赤のみだが、「三面怪獣」の特徴を出すために青と黄も用意。
「子供用のプレイボールで、中の空気を抜こうとしたんですけど、思った以上に抜けず。浮いて、髪が引っ張られて痛かったです。ただ水中では漏れた空気の泡が綺麗でした。編集で泡は消せるんですが、多数決で消さないことに」と、モデルのえみりんごさんが裏話を披露。
「ダダのように強そうで弱いキャラクターって、表情が難しくて。最初は作り過ぎちゃって、古賀さんと見直していく中で、だんだんダダに寄せていきました」
演じた彼女は、小学生で平泳ぎ50m全国4位。中・高とオーストラリアへ留学。16歳で全豪2位を取るほどの実力だ。ダイビングと、ライフセーバーの資格まである。自ら『水中ニーソ』へ志願した際には、何でこんな子が? と、古賀さんも驚いたそう。
「CM撮影のときはスタッフもやってもらってます。彼女が指導すると、重りが無いともぐれない子たちが30秒ぐらいでもぐれるようになる」と古賀さんも絶賛だ。
■オーディションで勝ち残った逸材がウルトラ怪獣に!
残る3人は、オーディションで選ばれたメンバー。
ゴモラを演じたMio兔さんは、台湾出身。普段は原宿のアパレルショップ店員をやりつつモデルもしている。髪はゴモラのイラストの通りに染めており、角はソフビ人形のパーツから合成した特製だ。
水着はPOOLSIDERの試作品で、表面に光沢素材をコーティングしたスク水。サイズはモデルに合わせて作ってもらえたと言う。ゴモラは原作では麻酔を打たれて寝ているシーンが多いことから、あえて寝ているような表情を多く撮影されているのだとか。
ガッツ星人に扮した先(サキ)さんは、DJ活動などを行うサブカル系女子。「宇宙になりたい!」と公言するフシギちゃん(?)だそう。ヘアウィッグも自身で用意したとのことだ。
水着はREALISEの古いモデルがガッツ星人そのままだったので使用。原作の分身シーンは、水面を鏡にすることで実現させた。その他、「十字架」などのポーズも原作から取り入れている。
シルバーブルーメ役は工藤桃子さん。各方面で活躍するダンサーだ。オーディションの際「最近ハマってるのは、ウルトラ怪獣擬人化計画のキーホルダーを集めること」と発言し、褐色の肌が擬人化イラストにもぴったり合致。
水着はREALISEのフロントジッパーで、覗く谷間がエロい! これにウィッグ、マフラー、スカートを付けてイラストに合うものが完成した。コップを持つ写真で、原作の冒頭にある誕生日パーティシーンを再現するなど芸が細かい。
以上、文化圏がまったく違う5人が集結して、『ウルトラ怪獣水中ニーソ化計画』が実現した。
■「ウルトラ怪獣ニーソ」実現は、しまりすさんがいたからこそ
ウルトラマン50周年の今年。過去にガンダム20周年で雑誌「G2O」の編集兼アートディレクターや、仮面ライダー40周年でサントラジャケットのデザインなどを手掛けてこられた古賀さん。オファーがきた時点で「ぜひやりたい」という気持ちだったそう。
まずはできるかどうか、しまりすさんに実験してもらい、成功した上でGOとなった。
「なるべく、すでに『擬人化計画』でアレンジされている美少女そのままをポートレートにしました。カワイイままできれば勝てるので。実際、美少女モデルがいたので実現できました」
古賀さんがそう語ったとき、他のスタッフさんの陰に隠れたしまりすさん。照れ隠しのように見えたが、「エアコン寒い?」と尋ねる古賀さんの姿が微笑ましかった。
撮影時には、安全管理もあり、地上・水中と合わせてスタッフ10人以上の大所帯で撮影が進行されるそうだが、最終的には撮る側と撮られる側の1対1。水中という特殊な環境で撮影を行うカメラマンと、被写体のモデルたちには、親子のような絆があるようにも感じた瞬間だった。
古賀さんに今後の展望を尋ねてみた。『ウルトラ怪獣水中ニーソ化計画』の続編ができれば、次は最強怪獣のゼットンがやりたいとのこと。また別のキャラクターでは、「MS少女(モビルスーツ×女の子)」とこれまた擬人化がある『ガンダム』や、「R-2D2水着」などがある『スター・ウォーズ』という希望も。
なお進行中のものとして、HDD復旧作業中の『スイート水中ニーソ』がある。こちらは、メカデザイナー・NAOKIさんや造型作家・島本娼弘さんとのコラボ作品などメカものがメイン。こちらも早い再開が待たれるところだ。
息もできない過酷な環境のハズだが、モデルさんたちの笑顔が印象的だった。筆者はあまり水中が得意な方ではないので、とても真似できない。それをモデルさん達に話すと「水の中が大好きなんで。みんなハッピーです」とおっしゃっていた。
これだけいい表情で皆さんが写真に写っているのは、古賀さんはじめ、スタッフ方々の信頼感が確立しているからなのだろう。『古賀ファミリー』ともいうべき絆が見えて、何だかうらやましくも感じた。
『ウルトラ怪獣水中ニーソ化計画』は、現在写真集を予約受け付け中。公式サイト「電撃屋」から予約すれば、「オフショットのポストカード3枚セット」も特典で付いてくるそう。続編の開催を期待しつつ、ぜひ注文されてみては。
取材/平原学