2015年10月25日(日)埼玉スーパーアリーナで、ニコニコが贈る、ユーザー参加型の超巨大ライブイベント の一つ「ニコニコ超パーティ」が開催された。
そこに今回初めてイベニアライターとしてお邪魔することに。
イベントは11時受付開始、12時開場。11時さいたま新都心駅に到着。
会場に着く前から熱気が伝わってくる……。
会場前にも人・人・人。
開幕は12時。無数のサイリウムが煌めく中でカウントダウンが開始される。
会場は「超パーティー会場」と「ゲームエリアに」に分かれている。
前者の「超パーティー会場」は基本的にはライブコンテンツが、後者の「ゲームエリア」はその名の通り、ゲーム実況が行われる場所である。
なんにせよ、開幕は超パーティ会場で行われるということで、急いで所定の場所に向かう。
開幕を飾るのは「GACKT presents 神威♂楽園」。性徒会長(誤字じゃありません)の神威楽斗(多分GACKTさん)が、メンバーを引き連れて登場。
当初からぶっ飛んだキャラを全面に、神威♂ 学園の紹介から神威♂ 学園校歌まで。
会長「そんな簡単にはのせません」
あくまでGACKTではないと言い張る会長。
会長「君たちが愛する人の名は」
会場「性徒会長~」
会長「よろしいか!」
会場「かしこまりぃ~!」
といった具合で「スリル」から始まり、B'z 7曲メドレー(!?)まで。
このメドレー、いろいろなB'z の曲が流れるが、毎度の‟ウルトラソウルキャンセル”(ちょっと歌ってすぐに「ウルトラソウルッッ!!」で切ってしまうというもの)。すぐに歌いきる。
メドレーが終了後、会長が猫耳に変身。 最後の曲、「情熱のイナズマ」を宣告する。
「もうここがピークです」と曲が始まっていきなり言い切る会長。
この「GACKT presents 神威♂楽園」によって会場は最初からヒートアップ! その勢いを殺すことなく、矢継ぎ早に演者達が登場してくる。
ニコニコ動画において、それぞれがそれぞれの動画でファンを獲得しているアーティスト達が、どんどん出てくる。しかしながら、会場にいる人の中には、きっと彼ら彼女らを初めて目にしたという人も多いはず。
それでも会場が醸し出す熱気が、どのアーティストに対してもサイリウムを振る手を緩めようとしない。さらに、出演者達同士も会場でコラボ演奏してしまうなど、新鮮なシーンを提供してくれる。
炎の演出で登場するもの。
会場のど真ん中でリンボーダンスをやっちゃうもの。
演奏中に販促しちゃうもの。
ルンバで演奏しちゃうもの(ルンバがステージから落ちそうだった)。
フロッピーディスクで演奏しちゃうもの。
ヴァイオリンでパトカーのサイレンを鳴らしちゃうもの。
どれも、ニコニコらしく、挑戦に溢れたものだった。もっとも彼らにとっては挑戦でもなんでもなく、ただ自身の表現をそのまま出しているだけなのかもしれない。
それが挑戦に映るのは、それを眺める人間の固定概念のせいだろう。
怒涛の演目が続いていく中、気になるのはもう一つの会場。
そう、ニコニコ超パーティはこのアリーナにおけるライブ以外に、別会場にてゲーム実況者のステージも実施しているのだ。
「超パーティ会場」は写真禁止ということだったが、ゲームエリアならプレスの腕章さえあれば撮影できる。撮影しない手はないと、 アリーナから移動していく。
入口を通り抜けると……。
そこにはすごい人だかり!アリーナのライブ会場もすさまじかったが、ここでもこんなに人がいるのかと唸らされる。ゲーム実況はすでに開始されていた。
こちらのエリアは、「ゲーム実況ステージ」(一番大きいステージ)に加え、「ゲーム実況ストリート」(比較的小規模のステージ)が「LEFT」「CENTER」「RIGHT」と3つ、計4つのステージがある。
それぞれのブースにそれぞれのファンが詰めかけていた。
「スーパーマリオメーカー」 実況者:キヨ、レトルト、P-P、牛沢
「マインクラフト」 実況者:らっだぁ、わたくし、ゆずっこ、28(ふたば)
「トランスフォーマー コンボイの謎」 実況者:音速兄貴(セピア、towakco、5月病マリオ、ふぁんきぃ、recog)
「Surgeon Simulator 2013」 実況者:コジマ店員、ガッチマン
大ステージは、流石に規模は大きいが、小ステージも、おそらくはファンの人たちがぎっちり座って実況を楽しんでおり、こうした間近での交流も悪くないと思った。
13:30分ごろ。ひとしきり実況を聞いたのち、会場に戻ってみる。戻ってみると、そこには3D映像でつくられたチルノの姿が!……消えていった。ちょうど「チルノのぱーふぇくとさんすう教室」が終わった頃らしい。
そしてステージには、再び3D映像によりボカロの女の子がふわーっと出現。遠目からは、本当にそこに存在しているかのように映る。女の子は歌い手「花たん」さん。顔出し出演がNGの為、代わりにボカロが歌う。これも新しい表現の仕方だな。歌は「ラズベリーモンスター」。
そして14:00が過ぎ、休憩タイム。休憩後はいよいよラスボス(中間地点だけど)が登場。言わずと知れた小林幸子さんである。なので、ラスボス戦に備えてしばし席で休む。
休憩中も、会場では様々な出演者を映像に出してくれる。ニコニコならではの悪ノリを含めて、お祭り騒ぎが展開されていく。
休憩タイムが終わり、前説で「ふえのおにいさん」ことFooさんが、画面で「こんな小林幸子さんはイヤだ。」を紙芝居で展開。
「逆さ」
「狙ってる」
「なんかかたつむりに乗ってる」
「変身してきた」
「実はもうセットにいた」
「どうぞ!」の文字で小林幸子さん登場。
歌ってくれる曲は「夕日ケ丘に咲いた花は」。
真っ赤な衣装で、夕焼けのグラフィックをバックに熱唱。会場の赤いサイリウムも映える!
「ラスボスとしては皆様に会えて大変うれしいです」
この歌はボーカロイド幸子で、mieさんという人が制作されたそう。それを幸子さんがはじめて公の場で歌ったことになる。
そしてさらにもう一曲、の前に、幸子さんがペットを連れてきたという。
呼びこんだ幸子さんの声で登場したのは巨大なかたつむり。スターウォーズに出てきそう。名前はかたつむりの「つむこ」だそう。顔は……幸子さん?
高さにして5メートル以上はありそうな巨大カタツムリ。次の一曲「脳漿炸裂バーサンが始まる。ラスボス幸子さんは当然のように、つむこの上に登っていく。
歌が終わったのち、つむこは果たしてどうするのか、と思ったら、次の演者が出てきたのちに、ゆったりと退場していった。
ラスボスの脅威も去ったところで、舞台を再びゲーム実況の席へうつる。忙しいようだが、このコンテンツの盛りだくさん感がニコニコ超パーティの醍醐味なのだ。
とても全てを見ることはできない。誰でも見たかったのに見られないプログラムがあるはずで、もったいない感を胸に秘めるだろう。たぶん。
こちらも頑張ってレポート記事を書いているつもりだが、10分の1もその面白さを体験していないに違いない。
さて会場は再びたくさんの人だかり。
「マインクラフト」 実況者:茸、えふやん、Hakase、赤石先生、どんぽこ、ハヤシ
「Nintendo Land」 実況者:えんもち屋(そでやま、テンガ、犬助、まさし)
「オクトダッド -タコと呼ばないで-」 実況者:ゲーム実況もっと!わくわく荘(湯毛、フジ、せらみかる、ヒラノ課長)
「ボンバーマン’94」 実況者:いい大人達(タイチョー、オッサン、マオー、ノッチ、マッツァン)
そして15:15分、実況者キリンさんのステージが「ゲーム実況ステージ」で展開。
ゲーム名は「サイコブレイク」。
キリンさんの渋い声がさらに重低音で響き渡る。実況内では風邪をひいていたと言っていたので、録画したものであろうか。
しかし、それにしても実況のみで本人がいないというのに、多くの人が集まっている。ある意味、大画面でゲーム実況を見ているだけなのだが、それでもみんな笑い声をあげて楽しんでいる。
なんとなく、スポーツバーでみんな一緒に楽しんで観覧しているような雰囲気だ。スポーツの緊迫した雰囲気よりも、笑いの要素が大きいが。
また実況でキリンさんが行っている裏側、「超パーティ会場」 でも、なんと実況が行われていた。
会場の中央にソファとゲーム画面を用意して、会場内にて「ドンキーコング」「Wii Sports Club」を実況する。実況するのは、午前中は「ゲーム実況ステージ」にいたキヨさん、レトルトさん、P-Pさん、牛沢さんの4人。
きよ・レトルトチーム、P-P・牛沢チームが戦うようだ。「ドンキーコング」では、P-P・牛沢チーム が1P獲得するも、次の「Wii Sports Club」は勝利したほうに100万Pが与えられる(極端すぎるだろ)。
テニス部出身だという実況者もいる中、テニスが始まる。通常であれば、もともとアウトの球を取りに行ってしまって、逆にアウトになるようなプレイを延々と見せられるというような事は、この規模のイベントではありえない。(端的に言うと、こんなにグダグダなプレイは普通ない、ということ)
だが、ありえないからこそ、なんだか成立する面白さがある。このある種の緩さがこの超パーティの魅力でもあるし、ある意味危ういバランスなのかもしれない。
しかし、なんだか人のゲームを傍目で見ている時のもどかしさすら、面白い。さらに、自分もやってみたくなるという気持ちになる。
結局はキヨ・レトルトチームの勝利に終わり、見事100万Pを獲得。トロフィーが贈呈される。
その後、ボカロP・40mPさんの楽曲をバンド、オーケストラにのせてお届けするコンサート 「虹色オーケストラ」による演奏が実施される。
ここでニコニコ超パーティは半分程度が終了。ここまで盛りだくさんで、まだ半分である。
夢の祭典はまだまだ夜に向かって加速していく。
さいたまスーパーアリーナ。1万5000人以上で埋め尽くされた巨大な会場。こんな場所で、自身が磨いた技術や表現を披露するというのは、一般の人にとっては夢のような体験かもしれない。
多岐にわたる表現者たちが獲得したファンを一同に集めることで、こんな夢舞台に立つことができる。
そう、アニソンダンスを熱演したRAB(リアルアキバボーイズ)のメンバーも言っていた。
「僕は、4年前の2011年『けいおん!』のライブに、客としてこのさいたまスーパーアリーナに来ていた。
それから4年後、この同じステージに立ったぜ~!!(要約)」
……と。
なんとなく感じたこと。
それは可能性を与える事は素晴らしい、ということ。
帰り。さいたま新都心駅への道は、凄まじい強風だった。
取材/反町大介