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「ウルトラ植物博覧会」 “プラントハンター”が世界で収集した、超・貴重な植物50種を銀座で展示中!

アイコンまるで“植物の美術館”。摩訶不思議な植物たち。

2016/02/09(公開:2015/07/04)
 
07.03[金]~08.16[日] / 東京都 / ポーラ ミュージアム アネックス


ℂNAOHIRO TSUKADA

 
○日本中の植物園が協力しても、集まらない植物たち!?
 
世界中を飛び回り、貴重・希少な植物を仕入れている、プラントハンター・西畠清順(にしはた せいじゅん))さん。幕末から150年にわたって続く、花と植木の卸問屋・花宇の五代目。日本全国・世界数十カ国を旅して、収集する植物は数千種類にも及ぶ。

半年の準備期間を経て彼が集めた超・貴重植物の中から、およそ50種類を展示する「ウルトラ植物博覧会」が、7月3日(金)~8月16日(日)銀座ポーラミュージアムアネックスにて開催されている。
 
「日本中の植物園が協力しても、これだけの植物を一堂に集めることは無理ですね」と、笑顔で話す清順 さん。


西畠清順さん


 
普段は美術館として使用されている会場だけあり、「植物の美術館」のようなおごそかな空気が漂う会場。熱帯、温帯域、乾燥地の植物が一堂に展示されている摩訶不思議な空間だ。


○命がけ! 超危険地帯で採取された植物も。

展示植物は、清順さん以外の人には、その管理方法が複雑すぎてわからないというほどの“レアもの”ばかりだ。


 
一見、どこにでもありそうな植物だと思ったら、そのハントエピソードがものすごかったのが、こちら「シッサス」。

現在、情勢が不安定な中東地域でのプラントハントはほぼ不可能だ。このシッサスはアラブの春が起こった、まさにその日にハントした貴重な一品。

当日、異様な検問の多さの中で銃を持ってジープに箱乗りする、あきらかに品のよろしくなさそうなアーミー服の面々に遭遇。「絶対に目を合わせちゃいけない!!」と同行していたカメラマンの方から釘を刺されたという。

「『ハロー』って挨拶したら、後で同行者にめちゃくちゃ怒られました。映画『シティ・オブ・ゴッド』の世界でしたね」と、ニコニコ話す清順さん。命を懸けたプラントハンターの一面を垣間見る……。

 


食虫植物の「ウツボカズラ」。意外にも清順 さんが、植物の世界に興味を持ったのは、二十歳を過ぎてから。きっかけとなったのは、最大の食虫植物「ネペンテス・ラジャ」に出会ったことだった。

清順さん
「ボルネオ島のキナバル山標高3000メートルで見た、その存在感と異物感に圧倒されました。こういう植物を探して持ってくる仕事に興味が沸いたんです」

その世界最大のサイズを超える可能性があるのが、展示されているウツボカズラ。フィリピンの自生地では10メートルを超え、虫だけでなく哺乳類も捕食するそう。




超・貴重種の「金目孟宗竹(キンメモウソウチク)」。竹というと、日本古来の植物のように思えるが、遠い昔日本に伝わってきた外来種だ。緑色と黄金色が交互に節を彩る突然変異のこの株は、日本で発見され観賞用に栽培されている品種。

まるで会場のサイズにぴったり合うよう成長したかのように、ぐるりと曲がっている姿がなんとも不思議……。

 


枝でなく、幹に実がなっている……!? 「ジャボチカバ」が付ける実は、“一度食べたら必ずファンになる”と言われるスペシャルフルーツ。ただし、残念ながら輸送が困難であるため、日本には出回っていない。

 


葉っぱまで、爽やかな柑橘類の香りがする「仏手柑(ブッシュカン)」。“不老不死の珍果”として、インドから中国を経て日本に伝わった。縁起物として正月飾りに重宝するのも、納得の存在感。ぜひ、近くで香りも楽しんでみてほしい。

 
○ファーストクラス扱いで来日! 超VIP待遇、1千万円以上の植物も。

実は、展示植物の中には金額が1千万円を超えるものも。超VIP待遇で運ばれてきた植物もそっと展示されている。

清順さん
「中には数百万円を超えるような植物も何点かあります。どれだけお金を積んでも、もう見れないかも知れない貴重な植物をじっくり堪能してほしいです」 


プラントハンターとして、清順さんが注目されているのは、既存の植物問屋とはまったく違う商売手法からだ。プラントハンターの仕事について聞いてみた。

 
――他の植物問屋では、既存の流通にあるものを取り扱うことが99.99%だそうですね。
なぜハンターとして既存流通にないものを取り扱うのですか?
 
僕が生まれ育った「花宇」は、創業明治元年の花と植木の卸問屋です。もともと規格外の植物だったり、季節にないはずの花だったり、めずらしくて普通には手に入らないものに特化してやってきた卸問屋なんです。

代々、生け花の家元たちを多く顧客に持っていたのも大きいかもしれません。見る目が格別に厳しい家元たちの要求に応えるうちに、商品は「どこかから買ってくるもの」ではなく、「どこかから採ってくる、もしくは生産者にお願いして特別に育ててもらう」というのが普通でした。

今でも、注文を受けると「その木なら、あの山の尾根を越えた沢のあたりに生えている」と、採取しに行くやり方が僕にとっては普通なんです。


ℂ NAOHIRO TSUKADA
 

――今回の展示は、どのような方に見てほしいですか?

老若男女を問わず、たくさんの人に見てもらえて、何かを感じ取ってもらえたらうれしいですね。夏休みなので子ども向けにも展示を工夫したところがありますので、自由研究にもぴったりだとおもいます。
 
展示してある一つひとつの植物に、朝まで語り明かしたいぐらい盛りだくさんのエピソードがあるんですよ。それをぎゅっと濃縮したパンフレットを展示会場で配布しています。まずは、形や雰囲気を楽しんだ後に、それぞれどんな背景があるのかパンフレットと合わせてじっくり堪能してもらえたらと思います。


<文・写真> 玉寄麻衣  <作品画像提供>ポーラ ミュージアム アネックス 

 
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