これまでのミスコンは地域、国籍、大学など限られた軸のなかから参加者を募るのが一般的だった。しかし“名前”という、今までになかった軸で行われるミスコンが注目を集めている。
「MISS-SATO」の参加条件は、女性で『名字が佐藤であること』のみ。日本で1番多い名字である“佐藤さん”限定のミスコンだ。
参加者が全員同じ名前。さらに、年齢制限、職業(プロアマ)不問というミスコンは、一体どのように生まれたのか?
このコンテストを企画したのは青山学院大学Webデザイン&プログラミングサークル「PIXEL」。代表・小野祥吾さんにインタビューを行った。
【青山学院大学Webデザイン&プログラミングサークル PIXELについて】
○いつ頃から活動しているのですか?
今年の4月から活動しています。5月には青学公認のサークルになることができました。活動内容としては、1ヶ月に1つ、自分たちのオリジナルのサービスをリリースするということを目標にしています。
○メンバー構成を教えてください。
幹部3名、在籍者は22名ほどです。そのほとんどが4年生という、サークルとしてはありえない高齢の団体です(笑)
○これまでの活動実績を教えてください
まだ出来たばかりのサークルで、5月にMISS-SATO、6月にMISTER-SATOのリリースを行いました。
今後は「イケメン青学生がパソコン教えます。」というイベントなどを企画しています。パソコンがあまり得意でない社会人女性の方に『PowerPointでおしゃれなスライドを作ろう』、『メモ帳でWebサイトを作ろう』、『iMovieで動画を作ろう』といったワークショップを行いたいと思っています。僭越ながら、代表の僕が“イケメン青学生”として指導させていただきます(笑)
青山学院大学Webデザイン&プログラミングサークル PIXEL代表・小野祥吾さん
こんなイケメンがパソコンを教えてくれるなんて、緊張してしまいそうです……!
【MISS-SATOについて】
○開催の経緯を教えてください。
今年の2月、1ヶ月間でプログラミングを勉強できる「TECH CAMP」に行きました。そこでカリキュラムが早めに終了した受講者は、オリジナルのアプリケーションを作ることになりました。そこで何を作ろうか考えていた時にふと思い出したのが、昔考えた“佐藤さん限定のミスコン”の企画案でした。
最初はネットで見つけた可愛い人の画像を集め、佐藤○○という架空の名前と、自分の妄想でプロフィールをつけて遊んでいました。そうしたら、周りの人たちも「面白い」とかなり盛り上がりまして……(笑) 他の場所でのプレゼンも反応が良かったので「じゃあ本当にやってみよう!」という勢いで実際にやることになりました。
発想のきっかけとしては、数年前にたまたま『ミスター青山」を見ていたときに「悔しいけどかっこいいなー。自分は何のミスターなら勝てるかな?」と考えたことです。『ミスター農家(実家が農家なので)』、『ミスター色白』、『ミスター小野』・・・『ミスター小野』? というような形で、名前でくくるという発想にたどりつきました。そこから、小野さんよりは佐藤さんの方が面白いだろうなと、『ミス佐藤』という企画が思い浮かびました。
○年齢制限、職業(プロアマ)不問にした理由は?
MISS-SATOの企画の母体であるMiss.Someoneのスローガンが『すべての人にスポットライトを』なので、年齢制限なんてつまらないものはやめようという考えに自然と至りました。今回の決勝進出者には高齢の方はいないのですが、予選の獲得ポイントが高ければ、決勝進出の可能性も大いにありました。
今回の応募総数は約300人でした。嬉しいことに当初の想定よりかなり多かったですね。生後二週間から58歳まで、かなり幅広い方々が応募してくださいました。58歳の方はニュースを見てこのコンテストを知ったそうですが、応募の方法が分からなかったため代わりに息子さんがエントリーしてくれたそうです。姉妹でのエントリーも多かったです。
【MISS-SATO入賞者紹介】
決勝進出者
特別賞
【MISS-SATO 決勝大会について】
決勝ラウンドは7月4日(土)、青山学院大学渋谷キャンパス 本多記念国際会議場にて開催される。
・コンセプト「佐藤さんがいる生活」
・審査基準
①どこまで佐藤に誇りをもっているか
②「佐藤さん」らしさ、親しみやすさ
<主な内容>
◆ 「佐藤」とは
「佐藤」の歴史について紹介
◆シチュエーション審査① 告白
佐藤さんと恋愛をしている感覚を観客と審査員にイメージしてもらうための審査
設定:自分の好きな人と2人きり 持ち時間:30秒~1分
◆シチュエーション審査② 「おやすみ・おはよう」
佐藤さんと一緒の日常生活を想像してもらうための審査
設定:家の中、時間は夜寝る前か朝
セリフ:「おやすみ」または「おはよう」(最後のセリフは「おやすみ」か「おはよう」で締める
◆部屋着でファッションショー
◆エプロンでファッションショー
◆佐藤家の食卓(VTR上映、試食)
佐藤さんの家の独特なレシピ、または自分の得意料理を作っている動画を撮影し、上映する。
◆一番大切な佐藤さんへメッセージ
参加者が“一番大切な佐藤さん”に手紙を書き、読み上げる。
○コンセプトはどのように決めたのでしょうか? また、“生活”にした決め手は?
コンテストを考えたときに最初に浮かんだ画が、優勝者が“金の表札”を持っている姿でした。参加者が集まらず自信をなくした時期もありましたが「金の表札を持っている姿は絶対に面白い」という考えは一度も揺らいだことはありません。
そこから発想していって「表札を引き立たせるためにはエプロン姿がいいだろう」、「生活している姿を見せるコンセプトなら自然なんじゃないか」というように固まってきました。つまり、コンセプトからではなく「金の表札は絶対に面白い」というところから考えていったという形ですね。
また、金の表札は自分の名前に対する誇りの象徴にもなっています。
金の表札(イメージ)
○大会の見どころを教えてください
ズバリ、シチュエーション審査です。
1人30秒〜1分ほどでお題に沿った一人芝居をしてもらうのですが、これは盛り上がること必至です。演技が上手でももちろんかわいいのですが、ぎこちない演技でも「親近感があってかわいい」という、どっちに転んでも可愛い2段構えになっています。
また、最後の「一番大切な佐藤さんへメッセージ」のコーナーは、参加者の一番大切な佐藤さんへ手紙を読んでもらうのですが、こちらは感動すること間違いなしのコーナーです。
笑いあり、可愛さあり、涙あり、やっぱり可愛さあり、というかつてないミスコンになると思います!
○まだ出来て2か月のサークルなのに、ここまで大きなイベントが出来たのはすごいことですよね。秘訣はなんだと思いますか?
周りの方々の協力が本当に大きかったです。最初は僕がふざけて作っていたサイトだったので、当然1人でした。そこに今の副代表が手伝いに入ってくれて、その副代表が友達を連れてきてくれて……というようにスタッフが増えていきました。
また、僕の技術不足で毎日サーバーが落ちていた時期があるのですが、その時は友達の学生エンジニアが助けてくれたり、そのままうちのスタッフになってくれたりといったこともありました。
現在、青学内にはMISS-SATOの特設コーナーがあるのですが、購買会で働く青学OBの方が全力で作ってくださいました。
さらにリリース前の企画書の段階で「日本化粧品検定協会」さんに協賛についていただいたのもかなり大きかったです。そこからたくさんの企業を紹介していただきました。
周りの大人の方々がシャレのわかる人たちで本当によかったです(笑)
○MISS-SATOを行う中で大変だった事、嬉しかった事・良かった事を教えてください
大変だったことは、サイトのリリース直後は参加者が全く集まらなかったことです。当初は1日1名もエントリーがないという状況でした。
そこで先ほどお答えしたように、渋谷のスクランブル交差点で「かわいい佐藤さん探してます!」という紙を持ってスカウトを行っていたのですが、ある日そこから参加してくださった方がtwitterで拡散してくれたことをきっかけに一気に認知が高まりました。
いつの間にかまとめサイトに掲載され、テレビで放送され、全国から参加者が殺到しました。今度はエントリーが多すぎてサイトの更新に追われるという大変さもありました。
嬉しかったことは、何名かの参加者の方から「佐藤という名前が嫌いだったけど、初めて佐藤でよかったと思えました」という言葉をいただいたことです。
また、赤ちゃんやお子さんのエントリーが大変多かったことも嬉しかったです。辛い時にこれはかなり励みになりました。
さらに言えば、同じ“佐藤さん”として、参加者同士のつながりが生まれたことも良かったですね。「日めくり佐藤さん」という企画の撮影の時、参加者同士が初対面でも仲良くしていた姿が印象的でした。同じ苗字というつながりもありますし、こういうシャレが分かる者同士、ということもあると思います(笑)
○今後の展望について教えてください
6月中にMISTER-SATOを開催します!ミスターに選ばれた方は、7月4日のMISS-SATOのファイナルにご招待し、金の表札をプレゼントさせていただきます!
6月中にMISTER-SATOを開催します!ミスターに選ばれた方は、7月4日のMISS-SATOのファイナルにご招待し、金の表札をプレゼントさせていただきます!
しばらくは佐藤さんを盛り上げていきたいと思います。 最終的には、これをきっかけに「○○さん限定」という名前ブームが起こればとても嬉しいですが、1人でも多くの佐藤さんが「佐藤に生まれてよかった!」と思っていただければ、それだけで今回は大成功です。
このコンテストは「第1回 Miss.Someone」。すべての人にスポットライトを当て、 一人でも多くの人を輝かせることがコンセプトになっています。誰でも何かになれる、ということを「MISS-SATO」を通じて伝えていきたいですね。
インタビュー・篠崎夏美