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“倭城”って知ってる? 史上初!? 城好きもあまり知らないマニアックな“倭城”に迫るイベントをレポート

アイコン石垣、天守、瓦……日本の城との共通点を堪能せよ!

2016/02/09(公開:2015/06/26)
“倭城”を知っていますか?

聞き慣れない方も多いと思いますが、1592年に豊臣秀吉が朝鮮出兵した際に日本の戦国武将が築いたお城です。
 
現存している倭城は、朝鮮半島の海沿いを中心に約30箇所。多くは指定文化財として公園などになっています。
 


そんな倭城を愛する人々のイベント、『倭城でないと! ~平成の役~』がお台場・東京カルチャーカルチャーで行われました!
 
乾杯ではじまった『倭城でないと!』。出演者は、倭城に魅せられ単身韓国へ渡った植本夕里さん、全ての倭城を調査した倭城の達人堀口健弐さん、10年以上に渡って倭城を調査している新津竜一さん、長年SNSでお城の魅力を伝えている本岡勇一さん、司会進行・テリー植田さんの5名です。


左からテリー植田さん、本岡勇一さん、植本夕里さん、堀口健弐さん、新津竜一さん
 
お城好きでもあまり知らない、マニアックな“倭城”イベントをレポートします!




物販コーナーでは、倭城の貴重な資料が販売されていました。
 

○植本さん、本岡さんにお話をお聞きしました!

まずは、イベント開始前に植本さん、本岡さんにお話を聞きました!
 
――倭城のイベントを開いたきっかけは?
植本さん 倭城の魅力を伝えたいと本岡さんに相談したら「イベントをやってみたら?」と、誘って頂いたのがきっかけです。

本岡さん 倭城は城好きでもあまり知らない人が多いです。
今日のイベントを通して、倭城がどういうものかを知り興味を持って頂けたらと思います。

 
――もしかして、倭城イベントは史上初ですか?
本岡さん 初だと思います。
 

――倭城の魅力は?
植本さん 石垣がすごいんですよ、堀とか、土塁とか、中世城郭の要素、近世城郭の要素が合わさった感じです。

本岡さん 植本さんは現地に住んでいるので、今日のイベントで倭城のリアルな話を聞けると思います。

 
史上初の倭城イベント! 非常に楽しみになってきました。
 


○喋れない、住むところもない……それでも、韓国へ!
 
30歳の時、初めて倭城を知った植本さん。旅先で倭城の魅力を知って以来、すっかり魅力にはまってしまいます。「毎日“倭城”を見たい!」という思いからワーキングホリデー制度を利用して韓国へ。


 
知人もいない、住む場所も決まっていない、韓国語を話せない状態で向かった植本さん。
まずは2泊3日分だけのホテルを予約して、日本を飛び立ったそう。「3日間あればなんとかなるだろう」と思った植本さんですが、3日で住む場所を決めて、知人を作ってと想像しただけで、眩暈がしそうな大変さ。その行動力には脱帽です。


現在、植本さんは現地で倭城の案内や現地説明会などを行っています。
 

○“倭城”とグルメを堪能23日の旅!
 
自己紹介後は、そんな倭城大好きな植本さんが『倭城と絶品韓国料理を堪能! 列車とバスで行くプサン23日の旅』をプレゼンテーション。

 

<1日目>
蔚山(ウルサン)城。蔚山城は加藤清正らが籠城し戦ったことで有名な城。現在は公園となり、登り石垣が見られます。


蔚山城の登り石垣

夜は韓国料理。韓国釜山金海(キメ)のティッコギを紹介してくれました。ティッコギとは、豚の骨のまわりの切り落とし肉を使った焼肉で、安くてボリューム満点。サムギョプサルとは違った焼肉を味わうことができます。


キムチと一緒に食べてもおいしいそうです
 
<2日目>
西生浦(ソセンポ)城。西生蒲城にも、登り石垣を含む多くの石垣が残っています。植本さんは、旅先で西生蒲城に惚れて韓国へ渡ったそう。倭城にはまったきっかけの城でもあります。


春には桜。韓国の人も花見をします!


日本海を見渡せる最高の景色!
 
そして、午後は機張(キジャン)市場へ移動。機張市場といえば蟹が有名だそう。泳いでいる蟹から好きなものを選んで食べることができます。新鮮な蟹を食べられるなんて贅沢ですね! 蟹味噌チャーハンもおいしそうです。




 
蟹を堪能したあとは機張城へ。機張城は黒田官兵衛が縄張りに関わったとされ、官兵衛の息子長政が築き在番した城です。こちらにも登り石垣があります。
 
機張城の後は機張邑(キジャンユウ)城。邑を城壁で囲んでいる城です。倭城は日本式のお城ですが、邑城は朝鮮式のお城。垂直に積み上げられた朝鮮式の石垣が残っています。

輪になった邑城は韓国式。丸以外に四角もあり、形は決まっていないそう。


邑城の石垣

2日目の夕飯は、キムチチゲ専門店。横からみると水が滴っているように見える“滴水瓦”が特徴のお店です。滴水瓦は、日本の姫路城にも使われています。韓国料理を食べながらも倭城の雰囲気を堪能できますね!


日本のお城にもある滴水瓦。日本の瓦を見られるのも倭城ならでは!


なんと卵が焼き放題!


奥がキムチクッパ


きなこと練乳をかけたかき氷。学校帰りに女子高生が食べるそう。
 

<3日目>
梁山(ヤンサン)城。こちらも黒田官兵衛にゆかりがあり、長政と共に在番した城です。黒田官兵衛が1500の兵で民軍8000の兵を撃退したという記録も残っています。こちらはあまり整備されておらず、お墓なども多くあるそう。


梁山城の石垣
 
3日目の夕食はデジクッパ。豚骨スープのクッパです。そうめんのような麺をつけて食べるのも定番だそう。


薬味を混ぜて食べるデジクッパ


つけ麺風が定番
 
全部で5城を巡る、倭城&グルメツアー。倭城初心者の方にもオススメです。行ってみたくなりますね!

 
○城好きの憧れ、お城に住む。倭城なら叶います!

お城好きなら一度は考える夢、それは「城に住みたい!」ということ。植本さんも城好きの例に漏れず「倭城に住みたい!」願望があるそう。
 
しかし、そんなの無理! と、ならないのが倭城のいいところ。なんと倭城の石垣の上に建っている家があるのです。


こちらは西生蒲城の石垣。現在も人が住んでいます。日本では考えられないですね。
 

○更に深まるディープな倭城の知識

後半は堀口さんが『倭城の構造』について語ります。日本の城と倭城の共通点、石垣、瓦、天守などを細かく解説。



邑城の中の日本式石垣、朝鮮式の盆山(ボンザン)城、朝鮮半島の瓦を使った倭城、日本の城に似た天守、などが紹介されました。


韓国式、邑城の中の日本式石垣


万里の長城にも似た盆山城
 

京都の周山城にもあった登り石垣。登り石垣は日本から韓国へ
 

○「この場所からこう攻める……」 当時の戦略を考える!

『倭城の構造』を学んだ後は、「地形を見れば倭城がわかる」ということで、新津さんが地形から当時の戦略を考えます。



 
釜山城、梁山城、泗川(サチョン)城(現地では船津里城)の3つの城を紹介。



釜山子城は小西行長城と呼ばれ、釜山母城は小早川秀秋城と呼ばれている。

どの城も敵地にあるため、守りながらも攻めることについて考えられています。日本での戦い方を元に築城し、日本の戦国時代そのままの姿を韓国に残しています。

日本の城好きなら倭城の魅力にも絶対にはまるはずですね!
 

○タクシーの運転手も知らない、密入国に間違えられる……。

倭城での困ったエピソードも披露。植本さんは、倭城に番地がないことに困ったそう。近くまで行って、あの山だろうと見当をつけて登るというスタイルで倭城を探しているそうです。迷子にならないのがすごい!
 
新津さんは、韓国のタクシーでの困った話。韓国では、あまり倭城の存在は知られていないので、タクシーの運転手も分からないそう。分かったとしても、遠回りをされてしまうということも……。そのため、今では地図を買い、運転手の隣に座り、右、左、真っ直ぐとずっと指示を出し辿りつくそうです。もう、NAVI状態ですね。
 
みなさん、倭城へ行くのになかなか苦労されているようです。そして、最後の堀口さんはなんと警察のお世話になった話を披露。
 
警察に連行され、お互い言葉が通じず片言の英語と絵で喋っていると密入国者と勘違いされたというエピソード。今でこそ笑えますが、恐ろしい話です……。
 
 
倭城についてたっぷり話を聞くことができた『倭城でないと!』。倭城の魅力を堪能できました。もしかしたら倭城ブームが来る日も近いかもしれません!



2015.06.22 舟崎泉美

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