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【2月7日、8日開催】日本一寒い祭り!-20℃の極寒の中で一夜を過ごす「第34回しばれフェスティバル」

アイコン雪と氷の世界で、想像を超える寒さを体験。

2015/02/19(公開:2015/02/01)

02.07[土]~02.08[日] / 北海道 / 陸別町イベント広場
 



凍りつくような寒さを北海道の方言で“しばれる”という。

そんな極寒の中で一夜を過ごすイベントがある。“日本最寒祭”とも言われる、北海道・陸別町で行われる「しばれフェスティバル」だ。開拓当時の想像を絶する冬の寒さの中で、鍬をふるった多くの開拓者の精神を讃え、それを知るために始まったという。「人間耐寒テスト」を中心に、様々な寒さを楽しむイベントが行われる。

陸別町しばれフェスティバル実行委員会事務局・工藤さんに話を聞いた。




-30℃の記録も! 陸別町の気温について

日本一寒いと言われる陸別町。その理由は冬期間(1~2月)に記録される1日の最低気温の平均値が全国一低いため。2月は最も冷え込む時期で、連日マイナス20℃を下回る日もあるという。なんと過去にはマイナス30℃を記録したことも。

ちなみに、先日工藤さんからいただいたメールには、こんな情報が・・・。

[1月27日AM10:00 時点でプラス1.3℃です。
※この時期に陸別でプラスの気温になることは少ないため、マイナスの場合は「〇〇℃」、
プラスの場合のみ「プラス〇〇℃」と言います。 

 
 
実は深い意味があった・・・。 開催の経緯

第1回目のしばれフェスティバルは1981年2月7日に行われた。当初は商工会議所の青年部が、冬の間に家族で楽しめるイベントを、と始めたもので、人間耐寒テストは行われていなかったそう。今では「人間耐寒テスト」が有名だが、同テストが始まったのは第2回目から。
  
最初に「人間耐寒テスト」を知った時は、ただの我慢比べなのかと思っていたが、そこには深い意味がある。寒さこそ偉大な資源と考え、自然と共生し陸別の文化特性に自信を持って未来を切り開く。さらには寒さを克服する知恵を生み出す原動力、未来を切り開く自信になればとの想いで行われている行事だ。
 


「嫁が来なくなる!」 開催への反対

「イベント開始当初は『寒いことをアピールすると嫁が来ない』など、イベント開催への反対もあったと聞いています。諸先輩の苦労を無駄にしないためにも、実行委員会一同、毎回工夫を凝らして開催している手作りのイベントです」と工藤さんは語る。

現在は各種メディア等で紹介され認知度も上がり、全国各地から陸別町の人口の何倍もの参加者が集まってくる。昨年は耐寒テストには276名、来場者は約9000名だったそう。町内はもちろん、北海道内外からも人がやってくる。

2015年の耐寒テスト参加者は300名前後の予定だそうだが、申し込みはその倍以上あったとか。最近は道外の人も増えており、今年は取材日の時点で130名程が参加予定だそう。
 

極寒を耐える「人間耐寒テスト」とは?

日本一の寒さを一晩耐え抜くという過酷な競技。ルールは至ってシンプル、開会式から翌朝7時の認定証受け渡しまでの間、しばれフェスティバル会場内で過ごすだけ。

・・・とは言っても、宿泊するのはスタッフ特製の氷のかまくら『バルーンマンション』。火気は一切禁止のため、暖房器具は使えない。挑戦者に唯一許されるのは『命の火』という巨大なファイヤーストームだ。
 

命の火はしばれフェスティバル会場のシンボルでもある

人間耐寒テスト自体は21:00にスタートするが、それまでの過ごし方は自由。会場内では一般の来場者向けに、ライブステージや花火などのイベントも行われている。人間耐寒テストは、しばれ花火終了後の開会式・オリエンテーションから始まり、カラオケ大会、タオル早回し選手権などがある。夜中12:00にはイベントセンターで「認証タイム」があり、シールを貼りその場にいたかチェックを受ける。朝7時にラジオ体操をしたあと認定証を受け取り終了となる。

 
寒いと空気が澄んでいる為、花火もきれいに見える。
 

-20℃、しばれる寒さを耐えるための装備・服装は?

極限の寒さの中過ごすためには、冬山登山、スキー、スノーボードに行くようなイメージの装備が必要だそう。足元から冷えるので、防寒靴はもちろん、靴下やタイツの重ね着などもおススメだとか。
 
しかし、それでも「バルーンマンションの中でずっといるのは難しいと思います。中には何時間か寝られる人もいるようですが、装備を厳重にして、寝袋も冬山用のものでないとなかなか厳しいのではないでしょうか」と工藤さん。

ちなみに服装以外で寒さに耐えるコツはあるのだろうか?「アルコールを摂取される方が多いようですね。ただ、あまりに寒すぎるとなかなか酔えずに、飲み過ぎてしまうこともあるとか・・・。無理をせず、命の火で温まったり、イベントセンターなどで暖をとったりしてください」とのこと。

このイベントには大事なルールがある。それは『死なない程度に寒さを楽しむ』こと。体調を最優先にしていただきたい。



人間耐寒テストチャレンジャータオル回し選手権 

寒冷地での実験で必ずと言っていいほど見かける、「濡らしたタオルを振り回すと、凍って棒状になる」、アレを競う。

イベントセンターステージにて、申込者100名が参加。タオルをバケツの水につけてしぼって、ぐるぐる回す。手に持った状態でタオルが倒れてこなければ(ふにゃっとならなければ)合格。気温にもよるが、大体1分かからず、30秒くらいあれば凍るそうだ。


一度はやってみたい実験である

かなり厳しそうだが、リタイアする人はいないのか?

無事に生き残って朝を迎えることが出来れば、ラジオ体操・認定証授与式が行われ、晴れて挑戦成功となる。これまでに5000人以上のチャレンジャーが「耐寒テスト認定証 」を受け取っているそうだ。

これまでにリタイアする人はいなかったのか聞いてみたところ「過去の挑戦者についてですが、リタイアされる方はほとんどいません。休憩できる建物もあります」とのこと。しっかりした装備と、寒さを楽しみ・耐える気持ちがあれば、私でも挑戦できるかもしれない・・・。

ちなみに、このテストはリピーターが多いらしいという噂がある。それについても工藤さんに聞いてみた。「魅力は非日常的な体験を味わえること、極限状態で生まれる参加者同士の連帯感、クリア(認定証をもらう)した達成感、などでしょうか。リピーターの方の数は正確には分からないのですが、およそ2~3割くらいだと思います」
 

日本一の寒さの中でのラジオ体操


スタッフの努力の結晶!『バルーンマンション』

競技の説明にも出てきた『バルーンマンション』とは、大きな丸い風船のような型枠に水をかけて作った氷のかまくら。陸別の厳しい寒さが無いと作ることが出来ない貴重なものだ。しかし、苦労して造ったバルーンマンションも、雨が降ったり気温が上がったりすると倒壊してしまう。

倒壊を防ぐためには出来上がったバルーンマンションにも、毎日水をかけ続け氷を厚くする作業を行う必要があるが、水かけ作業は気温が下がる夜間にしか行えない。





工藤さん曰く、当初は100個制作する予定だったが、現時点で完成したのは50個くらいだそう。今年は特に暖かく、準備が難航しているとのことだ。20年以上関わっているベテランさんでも「今までこんなことはなかった」というほどの事態らしい。



夜間まで過酷な作業が続く、スタッフの楽しみは「〇○○」

フェスティバルの準備の様子がブログでも紹介されているのだが、本当に大変そう。
◆実行委員のブログ:http://ameblo.jp/riku-rso

イベントの準備作業は、早いものだと前年の12月末から開始する。全体としては約一か月前から準備が始まる。スタッフさんたちは日中は役場や民間の企業で働き、夕方18:30頃に集合し、夜23時頃まで作業を続ける。

夜遅い時間、寒さもあり体力的にはなかなか厳しいそうだ。だが、作業終了後に、あたたかい料理を囲んで交流会をおこなうのが、しばれフェスティバ ル実行委員会の楽しみでもあるそう。

ブログを見ると、確かに美味しそうな料理が・・・。これなら大変な作業も頑張れるかもしれない。

        

        

 
 

作業を通じて何かが芽生える!?初の“婚活企画”も

今回が初めての試み。主に女性を募集したそうで、現在のところ女性参加者は全て北海道外の方だとか。男性の主なメンバーは、陸別町商工会青年部員の他、農業後継者、役場職員など。昼間は陸別町内の見学など、夜はしばれフェスティバルの準備作業と交流会を行う。期間中は準備作業をしながらコテージに宿泊し、しばれフェスティバル当日は人間耐寒テストに参加する。

工藤さんからは「単なる婚活ではなく、どんな作業をしているか知ってもらうきっかけになれば」というお話があった。他では決して体験できない婚活だ。



聞くだけで寒い!「アイス早食い競争」&「アイスキャンドルde早飲み競争」

こちらも今年初の試み。アイス早食い競争は小学生からが対象で、チューブ型アイスを使用するそうだ。

アイスキャンドルとは、直径30cmほどの氷で出来たグラス。実行委員会の交流会ではこれにビールをいれて冷やして飲んだりするんだとか・・・。そのままでは口を付けられないので(凍って唇がくっついてしまう!!)、ホースを20~30cmほどに切った‘特製ストロー’を使っているそう。

本番でもこれを使う予定とのこと。ちなみに容量は入れようとすれば1リットルくらい入るらしい・・・。両イベントとも当日参加受付可能なので、ふるって参加して欲しいと工藤さん。



さも忘れる、美しい雪と氷の世界

様々なイベントが行われるしばれフェスティバルだが、その会場装飾にも注目。アイスキャンドル(氷の中にろうそくを入れたもの)、氷のトンネル、光り輝く氷のオブジェも展示される予定。

 

飾りつけや滑り台に使う板氷は1200枚を用意、アイスキャンドルも800個程制作したそうだ。すごい数だが、それぞれ作業分担して作っているそう。



大量に用意された板氷


雪と氷のすべり台。幻想的な雰囲気だ。


アイスキャンドルの準備風景
(「アイスキャンドルde早飲み競争」にもこの大きさのものが使われる)

 
最後に工藤さんから一言。「日本一の寒さをぜひ体験してみてください。人気のイベント『人間耐寒テスト』来年も開催予定ですので、挑戦をお待ちしています」


 
大自然の中で、冬の寒さを体感するイベント。当時の開拓者の人たちは、この厳しい自然の中で土地を切り開いてきた。今のように防寒着や暖房器具が発達していなかった時代、そこでの苦労は想像以上だっただろう。

先人たちに敬意を払いつつも、寒さを楽しむ。日本一寒い祭りは、日本一熱い祭りでもある。


<写真提供>
陸別町しばれフェスティバル実行委員会事務局
公式HP:http://www10.ocn.ne.jp/~shibare/
実行委員のブログ:http://ameblo.jp/riku-rso 

2015.01.31 文・篠崎夏美
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