11.05[水]~11.15[土] / 東京都 / すみだ水族館
「小笠原ウィーク」 は、世界自然遺産・小笠原諸島の魅力を体験出来るイベント。すみだ水族館、小笠原村、小林製薬の三者が期間限定で世界自然遺産・小笠原の自然の魅力と環境保護の大切さを伝えるもの。
小林製薬と小笠原村観光局のスタッフによる、小笠原の自然や自然を守る取組みを解説するプログラム「小笠原の自然を守る授業」や、バイオトイレの仕組みが分かる動画とパネル展示も行われる。
小林製薬と小笠原村観光局のスタッフによる、小笠原の自然や自然を守る取組みを解説するプログラム「小笠原の自然を守る授業」や、バイオトイレの仕組みが分かる動画とパネル展示も行われる。
東京大水槽【画像提供:すみだ水族館】
小笠原の海を再現した高さ6メートル、幅9メートルの水槽。生き物だけでなく、岩や水の色まで再現している。小笠原の海の色はボニー・ブルーという独特の色をしているそう。
小笠原にいるミナミイスズミという魚は、一定の割合で黄色っぽい個体がいるらしく、そうした黄変個体も混ぜられており、小笠原の海が忠実に再現されている。
「小笠原ウィーク」先行体験イベント
東京都小笠原村への交通手段は、片道25時間半の船のみ。しかも週に1便しかない。そのため最低でも往復6日はかかり、「世界で一番遠い日本」とも言われている。 そんな小笠原をスカイツリーの真下で感じられるのが小笠原ウィークなのだ。
1日小笠原解説員 さかなクン
小笠原の可愛いおさかなたちを『ギョ紹介』してくれるのは、魚のスペシャリスト・さかなクン!おさかなと言えばこの人、楽しいキャラクターも人気だが、その業績・知識は偉大過ぎてさかなクン‘さん’、と敬称の重ね付けをしたくなるくらい、スゴイ人。
なんの魚かな?
さっそくお魚イラストクイズ。迷いなく絵を描いていくさかなクン。小さい目が特徴みたい。クイズに正解した人には、このイラストに名前を入れてプレゼント!
正解はサメ。シロワニという種類だそう。ワニとは昔の言葉でサメの事で、今でも一部の地域ではサメをワニと呼ぶ。サメという名前の由来は、小さい目⇒サメだそう。
大きいものはサメだけに「サンメートル(3m)」(さかなクン談)にもなる。大きくて輸送が大変なので水族館でもあまり飼育されておらず、しかもほとんどが海外から来たものなんだとか。
しかし、すみだ水族館では現時点では世界で唯一!?小笠原諸島のシロワニを見ることが出来る。顔は怖いけれど大人しい性格らしい。
左)サメの雄雌を見分ける「尻ひれ」の特徴について説明。 ※水槽にいるのはオス
右)自分が描かれているのが分かったのか、シロワニがやってきた!
右)自分が描かれているのが分かったのか、シロワニがやってきた!
ずっとお客さんの前を泳いでいた、目立ちたがり屋の‘カンパチ’。
“超カワイイ子”も特別ゲストとして登場した。
それは・・・
アオウミガメの赤ちゃん【画像提供:すみだ水族館】
アオウミガメの赤ちゃん!翌日から公開予定だが特別に登場。8月に小笠原で生まれたそうで、現在生後4か月。上の写真と今回のイベントの写真を比べると、二回りほど成長したのが分かる。良く育ったねぇ~、と微笑ましく見守る。
左)何やらずっと話しかけていたさかなクン
右)小さな身体で元気いっぱいに泳ぐ!!
それにしても可愛いなぁ~♡ カメってこんなに可愛いものだったのか!!白いお腹も、つぶらな瞳も、一所懸命手足をばたつかせる様子も、全てが可愛い・・・。「こんなにカワイイと思わなかったですー!!」とさかなクンも大興奮。
今は小さいが大きくなると300㎏にもなるとか!小笠原諸島は日本最大のアオウミガメの産卵地である。小笠原海洋センター(通称・カメセンター)もあり、ウミガメの卵を保護し、孵化させ、海に放流している。日本一早い元旦の海開きに合わせて放流するイベントもあるそうだ。この赤ちゃんたちは来年、小笠原の海へ戻す時まで見ることが出来る。
美しい自然、豊かな生態系に恵まれた小笠原が、世界自然遺産に登録されてから約3年。村長の森下さんによると、これまでは沖縄と間違えられることもあったそうだが、一気に知名度が上がった。住んでいる人たちも地元に誇りを持ち、自然を大切にすることをより意識するようになったそう。
だが、良い点ばかりではない。小笠原村の人口は父島・母島を合わせても約2500人。そこに約8000人もの観光客がやってくるようになった。観光客が増えれば、食料や日用品などの物資、宿泊施設、トイレ不足などの問題が起こる。
小笠原は小さい島なので、ゴミも自分たちで処理する必要があり、独自に進化した貴重な動植物も多いことから環境保全には気を使っているそう。そんな小笠原のトイレ不足、排泄物の処理問題解決に一役買ってくれそうなのが、小林製薬の「バイオトイレ」。今回のイベントではバイオトイレ贈呈式が行われた。
左から 小林製薬副社長・辻野氏、さかなクン、小笠原村村長・森下氏
小林製薬と言えば、ブルーレット、消臭元などトイレ環境を良くする商品を発売している会社。同社では2009年から社会貢献活動の一環として、世界遺産の環境保護を目的に富士山など5箇所にバイオトイレ設備を寄贈している。バイオトイレは微生物を使った環境に優しいトイレで、水を使わず匂いもしないそう。小笠原ウィークでも、バイオトイレについて動画とパネルで解説する展示が行われる。
小林製薬「熱さまシート」のキャラクター・ねつさまくんと、小笠原村観光局のゆるキャラ・おがじろうも登場したフォトセッション。
クールなサングラス姿の「おがじろう」(写真左端)だが、その下にはつぶらな瞳が・・・。
キャラクター2体(1人と1頭?)に挟まれても、全くひけを取らないさかなクン
そして最後に行われたのが、今回のメインイベントとも言うべきプロジェクションマッピング「小笠原から実物大クジラがやってきた!」。体重30 トン・全長15 メートル、実物大の小笠原ザトウクジラが東京大水槽を泳ぐというもの。
映像のクジラにはモデルがいる。それが『モッチーニ』という1992年に小笠原で生まれた有名なザトウクジラ。名前の由来は、日本におけるクジラ撮影の第一人者であり、小笠原でクジラの撮影中に行方不明になった写真家・望月昭伸さんだそう。
ザトウクジラは尾びれの模様が一頭ずつ異なり、人間の指紋と同様に固体識別出来る。モッチーニは尾びれの右上が丸く欠けているのが特徴。プロジェクションマッピングでは歌うようなクジラの鳴き声も聞くことが出来る。
大きなクジラが水槽を横切るたびに、会場からはおおーっというどよめきが。まるで目の前を泳いでいるような迫力だ。
そして、煌めく東京の夜景の上を魚たちが泳ぐ幻想的な光景。どこまでが映像で、どこまでが実際の水槽なのか分からない。
同じ‘東京’だが、都心から約1,000km離れた小笠原諸島 。小笠原村の村長・森下さんは、「行くのは大変だけれど、来ていただければ期待は裏切らない。それだけの価値はあります」と語っていた。
この小笠原ウィークでは、なかなか気軽に行くことが出来ない小笠原を見て、知って、感じることが出来る。世界で一番遠い日本、いつかは行ってみたい。
2014.11.05 文・写真 篠崎夏美