先日「目に留まるイベント記事とは?」で、イベントのタイトルの重要性について触れた。
イベント主催者たちが悩みぬいて考えているだけに、「イベントタイトル学」と言ってもいいくらい、奥深いこの分野。ただし、‘良いイベントタイトル’に共通しているのは、思わず興味を持ってしまうということ。イベントのタイトルと一口に言っても、奇をてらったものや、ストレートなもの、様々だ。
イベントタイトル学考察、記念すべき第一回のテーマは、
「ダジャレ」
である。いきなりガックリした人もいるかもしれないが、まぁ聞いてほしい。
ダジャレとは言うまでもなく、洒落、語呂合わせ、言葉遊びである。古今東西の有名なモノ、ヒト、コトをパロディーにしたり、同じ響きで意味の違う言葉を使ったり、二重の意味を持たせたり・・・。我々日本人が古来から親しんできた伝統あるものなのだ。
ダジャレを使ったイベントタイトルの良いところはこんなにある。
・時事ネタ、流行りのダジャレを挟むことで、旬な雰囲気を出す
(一歩誤ると、一気に寒い雰囲気になる危険と隣り合わせだが・・・)
・老若男女、幅広い世代に通じる
(あまりにネタが古かったりすると、一部の年齢層にしか伝わらないことも)
・親しみやすさを演出する
(苦笑でもいい、思わずくすりとさせたら考えた人の勝ち!)
・イベントに奥深さを感じさせる
(二重の意味を込めることで、イベントのイメージが広がる)
・どんなイベントか興味を持ってもらいやすい
(あまりに固いタイトルより、くだらない笑えるタイトルの方が興味をひかれる)
カッコつけてタイトルを考えても、見てもらえなかったら意味がない。参考までにダジャレ、語呂合わせのタイトルが使われたイベントを集めてみた。ダジャレで最もやってはいけないのは、解説をすること、と言われるがコラムなので敢えて解説をしてみた。
タイトルを考えた人、ごめんなさい。
盤博in東京カルチャーカルチャー~世界のボードゲームを遊びつくそう!
2013.10.12[土]~10.13[日] 滋賀・滋賀県庁本館噴水前
もはや説明不要?狩野英考の「ラーメン、つけ麺、僕イケメン」から拝借したと思われる。もはやギャグが独り歩きしている印象もあり、麺類のイベントでは‘イケ麺’の文字を良く見かける。イケてる、という非常に曖昧だがプラスなイメージを味方につけている。
「懐かしの面面たち」~日本各地のお面とキャラクターのお面勢ぞろい~
2013.07.18[木]~08.26[月] 滋賀・世界凧博物館東近江大凧会館
前回のコラムでも紹介したが、一瞬何の普通の言葉に見えるがキャッチコピーを見て納得。漢字も、音も同じではあるが、違う意味を重ねている。ただ、それでもきちんと意味が通る日本語の奥深さを感じさせるタイトル。
2013.07.20[土]~09.15[日] 新潟・ 実在の廃墟
一見某有名ホラーアクションゲームのタイトルだが、良く見ると‘バイノ’ハザード。廃墟に立て篭る白衣の老婆=婆医(バイ)がいる、という設定。かなり無理やりなダジャレだが、内容はかなり本格的。本家を知っている人も、知らない人も‘怖い’というイメージはあるので、先入観を与えることが出来る。
2013.07.20[土]~09.29[日] 兵庫・神戸市立須磨海浜水族園
某テレビ番組のタイトルから。その番組も‘深い’と‘良い’をかけているのだが、このイベントはさらに鮫(フカ)もかけた三乗のダジャレ。思わず脱力の「ザ・ダジャレ」の典型。しかし、鮫というキーワードと、深良い話というキーワードから「フカいい話ってどんな話?」と興味を持ってしまう。思う壺である。
2013.07.12[金]~09.24[火] 岐阜・世界淡水魚園水族館 アクア・トト ぎふ
“妖怪”のような生き物を展示する、ワクワクゾクゾクする水族館のイベント。だから「水ゾクッ館」。あえて説明するまでもないように思うが、水ゾクッ館という短いワードでイベントの内容を説明出来るのもダジャレイベントタイトルの魅力である。
2013.07.13[土]~09.23[月] 茨城・ ミュージアムパーク茨城県自然博物館
さかなクンが「ぎょぎょぎょーっ!!」と言う前から使い古されてきたダジャレではあるが、魚の驚くべき生態に迫る、というイベントの内容を分かりやすく表している。
いかがだろうか?下らないと一言では片付けられない奥深さを持ったタイトルばかりだ。まだまだ面白いタイトルのイベントはあるだろう。考えた人の‘ボケ殺し’は承知の上で、また解説と考察を行いたいと考えている。
ところで、たまたまだと思うが、最後に水族館系のイベントが3つ続いた。「ぎょ・魚・漁」は博物館だが、水族館はダジャレイベントタイトルが多い傾向にあるのだろうか?これも今後の研究の対象になるかもしれない。
2013.08.19 文・篠崎夏美