毎年、盛り上がりを見せるハロウィン。
「ウォーキングデッド シーズン6」もはじまり、ゾンビ人気も高まっているのか、電車で血まみれの人に遭遇することも多い。
そんなハロウィンウィークのなか、「ZOMBIENA ft. 横浜ゾンビクルーズ」が開催された。船上から横浜の夜景を眺めつつ、スペシャル“ゾンビフード”をいただき、“ゾンビショー”も楽しめるというもの。
<注意> 血のりや、グロテスクな画像があります。
あの「代々木ゾンビウォーキング」「1日限りのゾンビカフェ」「ゾンビバー」でもおなじみのゾンビパフォーマンス集団『ゾンビーナ』と横浜みなとみらいでフェリーを運行している京浜フェリーボート株式会社の共同企画で実現された豪華なイベントだ。
ゾンビになった仲間たちとクルーズ船に乗って、ゾンビのために用意されたビュッフェとドリンク「ゾンビバー」を楽しもうという企画。
ゾンビになって、ほんのひととき日常を忘れたい! 夢の横浜ゾンビクルーズに行ってみた。
◆十人十色のゾンビたちがデッキに集合
金曜日の夕方、17時をすぎた頃から、受付の「ピア運河パーク」にポツポツと人が集まりはじめる。男女のカップルや男性ひとりで来ている方もいるが、女性2人組みが圧倒的に多い。この日のために半日休みや有給をとって来た方もいた。気合いが違う!
素顔で来ても、ゾンビーナのスタッフの方が、ゾンビメイクをしてくれる(別途500円)。もちろん、自前メイクで来る方も。しかも超絶テクニック! 目玉が飛び出している人もいた!
ゾンビメイクは手際よく3〜5分ほどで完成する。
本日のゾンビ感染者・第1号カップルは、彼女がゾンビになろうと誘ったそう。
ゾンビーナのスタッフのみなさまは白衣でキメている。さすがのゾンビっぷり。
われわれイベニア取材班も、代々木ゾンビウォーキング時の衣裳のコンセプト『社畜』を踏襲し、血だらけシャツにきっちりネクタイ。100均のだてメガネ、腕にプレスの腕章。血のりで統一感がなんとかとれたという、謎なスタイルで参戦。
クルーズということで、『船長』を意識して購入した帽子だったが、よく見ればポリスの帽子だった……。家にあった布バックにも血糊で手形をつけてみた。
参加者のみなさんも、それぞれのコンセプトと衣裳で参加。ゾンビコレクションを紹介しよう。
魔女ゾンビとシスターゾンビ
実験室で、研究員が悪魔になっちゃったゾンビ(複雑な設定だ)
ヒツジの角のような悪魔の角はお手製とのこと!
ロリータギャル系ゾンビとカジュアル男子系ゾンビ
本日のゾンビメイクこだわり賞(勝手につくった)
ゆ、ゆ、ゆ、指にケガしてるー〜〜!!! というか腐ってるーー!?
映画の特殊メイクさながらのリアルさ。
ポリスアカデミー的なゾンビトリオ
ドキドキ女子高生ゾンビ
今宵珍しい男性ゾンビ2人組。色違いのおそろいポンチョがかわいい。
名刺交換する和やかなシーンも
3D立体傷メイクで参加。血糊べったりな衣装も自前。
絶滅危惧種のバブル期のゾンビ。札束で顔を仰いでいた。バブリー!!
バブルゾンビと夜景はやっぱり相性がよい。
参加者たちに話を聞くと、「ゾンビ映画は全部見ている!」という超ゾンビ好きがグループに1人いて、周りにゾンビ菌をばらまき、増殖させているようだった。
キレイなみなとみらいの夜景を背景に、どんどん参加者たちは汚くなっていく。
◆“ゾンリーダー”の統率によって、規律を守る従順なゾンビたち。
ゾンビになった参加者たちが、船の乗り場までのライトなゾンビウォークを行う。群れになると脅威を増すゾンビだが、通行人はびっくりしないだろうか?
ご安心を。ゾンビウォークにはしっかりとしたルールがあるのだ。
・ウォーク中は走らない
・通行人を脅かさない(唸るのは少しだけ。小声で)
・立ち止まって写メ撮らない
・誘導に従い、列を崩さない
ゾンビーナ設立当初からのルールだそう。周りの人に迷惑をかけずに楽しむのがよいゾンビ。
もうひとつ、ゾンリーダーのナオミさんが、「ナイスゾンビ!」と言ったら「ナイスゾンビ!」とゾンビたちは続けること。「ナイスゾンビ!」を何度か練習。いいゾンビっぷりをした人には、「ナイスゾンビ!」声をかけてあげるのだ。
体育会系のノリで「ナイスゾンビ!」
ゾンビーナ主宰のナオミさん。顔は怖いけど優しい。
「ナイスゾンビ!」の他にも「お前たち、汚いぞ!」「お前たち、気持ち悪いぞ!」と、ナオミさんから褒め言葉がでる。(注:ゾンビにとって“汚い”は褒め言葉) 褒められると複雑な気持ちながらうれしい。
しゅっぱーーつ!(スプラトゥーン風に)
参加者はきちんと2列に並んで引率ゾンビのサイリウムを目印に進む。絶対に通行人を襲うことはない。
ゾンビが信号もきちんと守る。列が分断しないように、横断歩道は早足で進む。交通安全ルールブックのお手本になりそうなくらい、えらいゾンビたち。
ときどきササッと集まって、集合写真を撮ってはまたすぐに列になって進む。なんて規律正しいゾンビだろうか。
みなとみらいのイルミネーションを横目にみつつ、船乗り場に到着。イルミネーションな人が出迎えてくれた(服は白無垢をリメイクしたものらしい)。
◆グロカワなゾンビメニューをむさぼり喰う! ゾンビビュッフェにゾンビが群がる。
船に乗り込んで出発。お待ちかね、ゾンビクルージングの始まりだ。
京浜フェリーボードさんでは、定期クルージングのほか、工場夜景クルーズや企画もののイベントクルーズもやっているそう。本日の船長さんやバーテンダ―さんもゾンビ化していた。京浜フェリーボードの社員さんもゾンビ菌に感染。徹底している!
今宵のゾンビドリンク、ゾンビフードをご紹介。
試験管ドリンクはゾンビの血液入り(激辛)ロシアンルーレット。激辛が当たった方に聞くと、「タバスコのような味。飲めないわけではない」とのこと。
ハロウィンらしいお菓子もたくさんある。可愛い。
ピンク、水色、黄緑……。ポップでどぎついカラーのドリンク。恐る恐る飲んでみると、トロッとしてなんだか懐かしい味。正体は甘酒だった。
特製ゾンビ菌カクテルは、血の色ドリンクに、怪しげなブルーの液体を注射器で注入して完成。気持ち悪いツブツブが入っている。ドリンクはアセロラ、液体はジン、ツブツブはチアシード。けっこうクセになる。
目玉入りシャンパン。目玉はライチ。特に加工はされていないようだが、目玉のような、幼虫のようなルックスで絶妙に気持ち悪い。でも美味しい。
人間が食べるような普通の食べ物も充実。ゾンビもお腹いっぱい食べられるメニューだ。いっせいにビュッフェコーナーにゾンビが群がる様子は、なかなか壮観。
さぁ、ゾンビパーティーのはじまりだ!
初対面でもお互いゾンビのせいか、打ち解けるのが早い。とりあえず一緒に写真を撮りまくる。ゾンビメイクや服装を褒めあう。ゾンビ映画について語り合う。
船の窓から景色がどんどん変わって行くのもいい。船のデッキにでると風が気持ちいい。 工場地帯のライティングがカッコいい。
みなとみらいの夜景が遠くに見える。レインボーブリッジを背景に、「ナイスゾンビ!」。デッキでも写真撮影大会がはじまった。
◆ キレキレのダンスで魅せるゾンビショー
さて、ゾンビドリンクでいい気分になったところで、ゾンビによるゾンビのためのゾンビショーが開幕。
怪しげな音楽とともに、白衣のゾンビ2人と、血だらけの白い布に包まれたものが登場。ぴくぴく動く布のかたまり。人間からゾンビに生まれ変わるところを表現しているのではないかと勝手に解釈。
静かな動きからの、レディガガ的なノリノリキレキレセクシーダンス(ゾンビなのに!)。見ているゾンビたちもテンションあがる。
ただただ、圧倒されて魅入ってしまった。エロなのかグロなのか。ゾンビ的ストリップショー。かっこいい! 内蔵からお菓子を取り出してばらまく、ハロウィン的な演出もあった。
「ゾンビーナが月に1回開催しているゾンビバーでも、ゾンビコスプレのお客さん同士はすぐに仲良くなって、横のつながり強いですよ」とナオミさん。
ときどき自分がゾンビであることは忘れるときもあるが、お互いにおバカな格好をしているという親近感は確かに強い。
ゾンビだらけのクルージングは、血肉を奪い合う争いごともなく、とにかく平和だ。ゾンビ映画もそうなのだが、結局はゾンビより人間が一番、怖いのだ。
ゾンビはグロテスクで、汚くて、気持ちが悪いけど、みんながゾンビになれば理想的な平和な世界になれるのでは……?(月1くらいで!)
船にゆられながらキラキラ光るイルミネーションを見て、ゾンビたちに囲まれ最高に楽しい時間をすごせた。
またゾンビになって、こんな非日常を楽しみたいゾン!
取材/橋村望