◇豪華狂演! 女性監督によるジャンル映画の祭典
「東京スクリーム・クイーン映画祭」をご存じでしょうか?
「東京スクリーム・クイーン映画祭」とは、女性監督によるジャンル映画の祭典です。映画界ではまだまだ活躍する女性監督は少なく、特にホラー映画になるとその数は更に減ってしまいます。
そんな状況を打破するために開催されているのが、この映画祭。ホラー、ダークファンタジー&SFなどのジャンル映画を撮る女性監督の活躍を応援し、男女の垣根を越えて多くの人に楽しんでもらうという趣旨のもと、今年で3度目の開催となります。
10月24日に開かれ、10月31日に終わりを迎えた映画祭。31日のクロージングナイトの様子をレポートします!
◇あの名作ホラーも……。ホラー映画をテーマにしたアート。
会場前の待合室で最初に目に入るのが、映画祭のポスターを手掛けるイラストレーターの近藤佳代さんと映画祭のコラボアート作品“WELCOME TO THE HORROR HOUSE”です。
女の子が住むホラーハウスをテーマに、かわいらしさと不気味さを交えて家の中のホラーを描きます。
ホラー映画の名作『シャイニング』に登場する双子の女の子が大人になった様子を描いた作品、『シャイニング』や、ジョージ・ルーカス制作総指揮の『ラビリンス/魔王の迷宮』に登場する迷路をテーマに描かれた作品などなど。
ああ、このシーン観たことある! というような映画のワンシーンをモチーフにした展示もあり、ホラー映画好きには堪らないのではないでしょうか?
さまざまなホラー映画のポスターが張られた空間も。女の子の夢の中では、多数のホラー映画が上映されていることを表現しています。
待合室では目玉ゼリー入りのブラックウォッカのレモンソーダ割り、自家製サングリアのトニックソーダ割りも限定販売されていました。
限定Tシャツも販売。
◇“カルト映画の神さま”から応援メッセージ
会場に入ると“カルト映画の神さま”とも呼ばれるロイド・カウフマンから、東京スクリーム・クイーン映画祭へ向けての応援メッセージが流れます。
ロイド・カウフマンは『悪魔の毒々モンスター』シリーズ、『キラーコンドーム』など、おバカでグロくて笑える低予算・B級映画の傑作を量産してきた伝説の映画制作会社トロマ・エンターテイメントの代表取締役です。まさに東京スクリームクイーン映画祭にふさわしい人物と言えます。
その後は、出品した女性監督からの応援メッセージが、続々上映されます。
応援メッセージが終わると、観客賞の作品が上映されます。選ばれたのはアメリカのクロエ・オクノ監督の作品『マディ』 。
<あらすじ>
小さな田舎町で祖母と暮らす高校生のマディ。平穏に暮らしていた彼女だったが、ミステリアスな男の出現によりその暮らしは崩壊する……。
短編ながら、縄に繋がれ車で引きずれたり、家に侵入してきた男に寝ているところを襲われたり、恐ろしいシーンが目白押しの本作。思わず目を閉じたくなるような恐いシーンも多いですが、主人公の女の子の心の動きが繊細に描かれ、女性監督ならではのホラーと言えそうです。
◇あっという間に、本格ゾンビが完成! 特殊メイクワークショップ
短編上映の後は、特殊メイクアップアーティスト・梅沢壮一さんによるワークショップが開催されました。
梅沢さんは、映画、TVドラマ、CMなどさまざまなシーンで特殊造形、特殊メイクを行う日本を代表する特殊メイクアップアーティスト。2007年の「TVチャンピオン・特殊メイク王選手権」では優勝も果たしています。
フィルモグラフィー(特殊造形・特殊メイク)
『映画妖怪人間ベム』(2011年)
『映画妖怪人間ベム』(2011年)
『桐島、部活やめるってよ』(2012年)
『悪夢ちゃん The 夢ovie』(2014年)
『ST 赤と白の捜査ファイル』(2015年)
『暗殺教室』(2015年)
『進撃の巨人』(2015年)他。
ワークショップは約1時間。さて、どんなゾンビが誕生するのでしょうか?
まずは梅沢さんがモデルのカーラさんにメイクを施します。参加者はそれをお手本に、メイクキットを使いメイクをします。
まずは顔にシール型の傷メイクをつけることからはじまります。
その後、よりゾンビに近づけるため白めのファンデーションを顔全体に塗ります。ポイントは、厚めに塗って眉毛&唇も塗りつぶすこと。
ゾンビらしく顔色が悪くなったところで、ゾンビメイクに欠かせないシェーディングを行います。
まずは、頬の下を削げ落とすように黒く塗りはじめるのですが、これが、なかなか難しい。特に普段からメイク道具を使わない男性は手こずっている人も多く、うまく境目をぼかせずにデーモン閣下のようなメイクになる人も多数……(笑)
頬を塗ったあとは、目の周りにも暗い色のファンデーションを塗っていきます。
そして次は鼻の先端。骸骨のように窪ませます。
鼻の次はほうれい線。普段は絶対に描かないほうれい線ですが、ゾンビには必要不可欠。その他、こめかみや唇の下の影の部分にも塗ると更にゾンビ感はアップします。
ここまで来たら、明るい色をのせます。ファンデーションを混ぜて作った明るめの茶色を、先ほど黒く塗らなかった頬骨やあごなどにのせていきます。
そして、ようやく赤色の登場。赤を目の下に充血しているように入れ、赤と黒を混ぜたような色で唇に縦線を引き、ひび割れを強調します。
ここからは最後の仕上げです!
まずは、血のりを傷シールの上に塗ります。一気にゾンビ感が増しますね。血のりは、傷だけではなく周りにも広げることでよりリアルに。
その他、鼻血をつけたり、口から垂らしたり、自分の好みで血のりをつければゾンビの出来上がりー!!みんな同じようにメイクをしているのですが、人によって個性が出ます。
◇参加者にインタビュー
イベント参加者の方にお話を聞いてみました!
カップル
「(特殊メイク体験は)おもしろかったです!」
「この後、どこかへ行こうとは考えていなかったんですけど、ゾンビメイクをしたら行きたくなりました!」
通りすがりで参加したという男性
「メイクははじめてですが、おもしろかったです。はまりそうな勢いです! 特殊メイクをしたくてもできない人も多いと思うので、こういったイベントがもっとたくさん増えればいいと思います」
エキストラの仕事をした時に血のりをつけた経験から、特殊メイクにはまったという女性。
「友達を誘ったのに断られてしまったのですが……すごく楽しかったです(笑) 来て良かったです!」
最後は、みんなで記念撮影。プロが教えるゾンビメイクは高いクオリティ。これなら、コスプレだらけの渋谷のハロウィンに飛び込んでも目立つこと間違いなしですね!
映画、アート、メイクと、全身でホラーを楽しめる映画祭でした。
取材/舟崎泉美