パクチーほど好き嫌いがはっきり分かれる食べ物はない。
「パクチー好き?」と聞くと「苦手!」と答える人は、半分くらいはいるように思う。
「パクチー好き?」と聞くと「苦手!」と答える人は、半分くらいはいるように思う。
「パクチー嫌いは、思い込みです!本当はみんなパクチーが好きなんです」と語るのは、世界で初めてのパクチー料理専門店「paxi house tokyo 」を立ちあげた佐谷恭(さたに・きょう)氏である。
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名刺に書かれたお名前、“佐谷恭”のルビは、“kyo paxi”
本日のお召し物はパクチーをイメージしたという緑のシャツ
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良く見ると、眼鏡のツルの部分もパクチーの葉っぱのよう (裏側もちゃんと緑色)
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さらに、ノートPC、スマートフォンケースまでパクチー柄!
これまでにユーラシア大陸を3回横断し、世界中を旅する中でパクチーに出会い、パクチーに魅入られた佐谷さん。パクチー普及活動を行うパクチー狂会の会長であり、パクチー銀行頭取。日本、いや世界におけるパクチーの第一人者と言って過言ではない。
※パクチー銀行とは、パクチーを栽培したい人がパクチーの種を手に入れられるシードバンク。たくさん種を収穫することが出来た人は一部を銀行に返し、翌年さらに多くの人が栽培することができるようになる仕組み。
本日は、パクチーをふんだんに使った料理が食べながら、佐谷さんの熱いパクチートークを楽しむという、パクチー好きにはたまらないトークイベント。「パクチーが苦手な方も、きっと大好きになって帰ってもらえるはず!」との話を聞き、パクチー嫌いの反応を見るべく、アンチパクチーの同行者とともに参加した。
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2012年に続き、東京カルチャーカルチャーで行う2回目のパクチートークライブ。
司会は、東京カルチャーカルチャー・プロデューサーのテリー植田さん。
開始早々「パクチー嫌いなんですよね」とパクチー嫌いを表明。
「パクチーのこと、知らないだけですよ」と佐谷さんは余裕の微笑みだ。
まずは“カンパク”やってみよう!
「みんなで“カンパク”しましょう!」と佐谷さんが立ち上がった。
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“カンパク”とは、佐谷さんが経営する「paxi house tokyo」ではおなじみの乾杯のかけ声のこと。世界中で乾杯をしてきた佐谷さんが、現地で聞いた楽しいかけ声をもとに、アレンジしてつくったオリジナルのもの。
佐谷さんが「ビーラ!ビーラ!ビーラ!」と叫ぶと、お客さんが「パク!パク!パク!」と返す。“ビーラ”はスウェーデン語でビールという意味。このかけ声をスウェーデンの酒場でやってみたところ、大合唱がおきたのだという。
佐谷さんが「ビーラ!ビーラ!ビーラ!」と叫ぶと、お客さんが「パク!パク!パク!」と返す。“ビーラ”はスウェーデン語でビールという意味。このかけ声をスウェーデンの酒場でやってみたところ、大合唱がおきたのだという。
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会場のお客さんも立ち上がり“カンパク”の準備。
佐谷さん「ビーラ!ビーラ!ビーラー!」
お客さん「パク!パク!パク!」
佐谷さん「ビーラ!ビーラ!ビーラー!」
お客さん「パク!パク!パク!」
佐谷さん「ビーラー!」
お客さん「パク!」
佐谷さん「ビーラー!」
お客さん「パク!」
佐谷さん「ビーラ!ビーラ!ビーラー!」
お客さん「パク!パク!パク!」
全員「カンパーク!!」
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この“カンパク”は、8(パ)時9(ク)分にも再びおこなわれた。
参加者一体となってカンパクコール。会場の雰囲気も一気に盛り上がり、隣人との距離も近くなったように感じる。
パクチーのこと、意外と知らなかった。
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パクチーに関する“ウソ”
「パクチーは、日本でまだ誤解されている」と佐谷さん。
そのひとつとして、「パクチーはアジアの食べ物」という誤解があげられる。実は、パクチー発祥の地は、地中海沿岸。スペインやポルトガルといったヨーロッパ諸国で、よく食べられているそうだ。また、意外にも主な生産地はロシア。パクチーは、寒い方がよく育つのだとか。パクチーの旬は春と秋。さらに、冬のパクチーはゆっくり育つので、味が濃くて美味しくなるらしい。
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二人は、パクチーの食わず嫌いについて語る。
佐谷さん「だから、パクチーが嫌いだから食べない、というのはウソなんですよ!」
植田さん「……何、言ってるんですか?」
パクチーを初めて食べた人のうち半分くらいは、「なんじゃこりゃー!ふざけるな。二度と食べるか!」と言う。だが、それでも食べていると、だんだん口に馴染んできて、なくてはならない味になる。
大葉やみょうがなどがいい例だ。それなのに最初のインパクトから嫌いと思い込み、食べないままでいる。その結果、ずっと苦手で食わず嫌いになる。「それは食に触れるという意味では不幸なこと」と佐谷さんは主張する。
最初は、怪訝そうだった植田さんも「けっこう人見知りなんだけど、最初嫌だなーと思った相手でも5年後には好きになる、ということはありますね…。それと似てるかも。」と少し納得。
他にも、パクチーが日本に伝来してきた頃は「こにし」と呼ばれていたとか、パクチーは、加齢臭を消す効能があるとか、お肌がツルツルになるとか(確かに佐谷さんはハリとツヤがある美肌だった!)、妊婦さんがパクチーを食べると頭のよい子が生まれるとか、トリビアからオカルトまで、パクチーに関する小ネタが盛りだくさん。古文書から医学論文まで、佐谷さんの調査の深さに驚かされる。
パクチーたっぷりのパクチー料理
今回のイベントはパクチートークを聞きながら、パクチーをふんだんに使ったお料理をいただくというもの。選りすぐりのパクチーメニューを紹介しよう。
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海老のパクチー生春巻き。はみ出すくらいにパクチーが入っている。
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タイ風若鶏の唐揚げ。甘辛チリソースとマヨネーズにもパクチーは負けない。
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ペンネパラビアータ。濃いトマトソースと唐辛子のピリ辛にもパクチーは負けない。
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パクチーサラダ。これはもうパクチーそのもの。
また、この日は+100円で「追パクチー(追パク)」も可能だった。店員さんによると、パクチーサラダに「追パク」をする人もいたとか!やはりパクチー愛の強い人たちが集まっているようだ。
おそるおそるパクチー料理を食べるパクチー嫌いの同行ライター。活き活きした美味しそうなパクチーがでてきたので、生パクチーの試食にもチャレンジ。
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意外といける?生パクチーはパセリっぽい味わい。
パクチーの独特な香りが苦手、とのことだったが、意外にも生のパクチーにそれほどの嫌悪感はなかったようだ。それでも「今日は、一生分のパクチー食べた…」と呟いていた。(こうやって少しずつ馴染んでいくはず…!)
○パクチー嫌いライターより一言:
イベント後は身体からパクチーの香りが・・・。ちなみに一番食べやすかったのは『ペンネパラビアータ』。濃厚なトマトと、唐辛子の絡みで、パクチー独特の匂いが気にならなかった。むしろバジルのような爽やかさすら感じました!
イベント後は身体からパクチーの香りが・・・。ちなみに一番食べやすかったのは『ペンネパラビアータ』。濃厚なトマトと、唐辛子の絡みで、パクチー独特の匂いが気にならなかった。むしろバジルのような爽やかさすら感じました!
日本では、パクチーの葉か茎しか食べないが、本来は、葉、茎、根、種、花と全部食べられ、それぞれに違った味わいがあるのだとか。
佐谷さんによると、パクチーを育てると1mもの大きさになり、その茎はものすごく固くなるそうだ。その固くなった茎の表面の皮をむいて中身を食べると、絶品なのだそう。さらには赤ワインにパクチーの花を浮かべる方法もおススメしてくれた。どちらもパクチーを育てていないと手に入れるのは難しいが、ぜひ試してみたい!
パクチー料理のあるところにビールあり。本日、ヒューガルデンがパクチーメニューに載っていた。
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どのメニューもビールにぴったり。
実は、ヒューガルデンには、コリアンダーが入っている。コリアンダーとは、英語名のパクチーのことなのだそう。海外のビールには、コリアンダーを使っていることが多いようだ。パクチー嫌いと言っても、ビール好きならば知らないうちにパクチーを摂取しているのである。
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原材料にコリアンダーと記載。独特のパクチー香はまったくない。
コリアンダーはカレーに使う香辛料としても知られている。つまりカレー好きは、すでに喜んでパクチーを食べているのだ。
そう考えると、「パクチー嫌いはいない」という佐谷さんの言葉が、真実に思えてくる。パクチーは姿形を変え、我々の食生活にジワジワと馴染んできている。
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鮮度がよく青々としたパクチー。香りが鮮烈。
本日のイベント用に用意されたパクチーを見せていただいた。かなり大きめのステンレスバットに山盛りで2つ。それでも、1時間ほどで売り切れメニューがでるほどの盛況ぶりだった。
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パクチー入りのお茶(パクティー)。前売り券を購入された方へのお土産。
パクチーの根っこから作ったプーアル茶、そしてパクチーの種から作ったキーマン紅茶。パクチーは捨てるところがない!と佐谷氏が力説するのもうなずける。
みんなでパクチーを盛り上げよう!
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パクチー専門店がぞくぞくと登場して、パクチー界は盛り上がっている。
佐谷さんが、日本パクチー狂会をつくった頃は、パクチーに関する情報がほとんどなく、パクチーが食べられる飲食店や売っているスーパーも少なかったそうだ。そんな時代から日本パクチー狂会は、パクチーを普及するべく様々な活動を続けて来てくれたのだ。今、スーパーでパクチーが買えるのも、佐谷さんたちのおかげだろう。
「paxi house tokyo」のパクチーのスペルは、“paxi”。(タイ語での本来のスペルは“phakchi”)
これには、あるメッセージが込められている。“pax”は、ラテン語で「平和」を意味する。そして、“i”は旅人を表しているのだそう。
これには、あるメッセージが込められている。“pax”は、ラテン語で「平和」を意味する。そして、“i”は旅人を表しているのだそう。
つまり“paxi”は、旅人が集うことで平和になることなのだ。「パクチーは旅と平和の象徴なんです」と佐谷さん。
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どこかで見たことのあるロゴ…。そう、mixiの“パク”りです。
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佐谷さん「みなさん、明日からスーパーに行ったら『パクチーありますか?』って聞いてくださいね」
イベント終了後には、すっかりパクチー通の気分。89という数字がもう(パク)としか読めないくらいに、パクチーが頭に刷り込まれてしまった。
※トーク時間も『ぴったり“89分”』だったそう。
※トーク時間も『ぴったり“89分”』だったそう。
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パクチー好きの陽気なおふたり。「paxi house tokyo」にもいらっしゃるそうだ。
パクチー好きになると、パクチーがたまらなく食べたくなるパクチー禁断症状のときがくる。そんなときは、佐谷さんの「paxi house tokyo」に行ってみよう。きっと陽気なパクチーファンたちが、旅で知り合った仲間のように、待っていてくれるだろう。
2015.01.20 文・写真 橋村望