こたつでみかんが美味しい季節。日本人にとって冬の果物として身近な『みかん』。
‘ほっこり’した冬の風物詩でもあるが、世界一を決定する熾烈な(?)大会が行われているのをご存じだろうか?
WMC(World Mandaarin Classic)
みかんの皮むき選手権2014世界一決定戦
12.23[火] / 愛媛県 / あけはまシーサイドサンパーク
愛媛県西予(せいよ)市、明浜(あけはま)産のみかんの皮を、制限時間内にどれだけ長くむけるかを競う大会。もちろん、みかんを食べ終えることも大事なルール。
まさか、みかんをむく⇒食べる、という動作が世界選手権になるとは・・・。シンプルだが奥深い大会である。 しかも、優勝者には賞金1,000,000万円とみかん10キロが贈られる。みかんをむいて、食べるだけで豪華賞品がもらえるチャンス!優勝を狙う方のために、必勝法(?)もお伝えしよう。
WMC実行委員会事務局(西予市明浜支所総務課内)の木崎様さんにお話を聞いた。
開催の経緯と目的について
WMC(World Mandaarin Classic)には、以下の3つの目的がある。
1:観光拠点であるシーサイドサンパークのオフシーズン対策
会場となるあけはまシーサイドサンパークは、夏は海水浴客でにぎわうレジャースポットだが、オフシーズンである冬にも観光客に足を運んでもらう。
2:明浜みかんの知名度を上げる
イベントの開催で、地元の名産品である明浜みかんを知ってもらう。
3:地元の若者の力を集結
イベントを主催するのは明浜町青年団。若い力を集結して、地元の魅力を発信する。
このイベントは昨年初めて開催され、今回が2回目。今後さらに注目が集まるのではないだろうか。
参加者の人数、年齢層について
参加出来るのは先着144名(参加費:1000円)。昨年の参加人数が144名だったこともあるが、24名 のトーナメントを6回行うため、この人数がちょうど良かったのだという。
小学生以上が参加対象で、昨年は地元の子供たちが大勢参加した。また、年配の参加者も多い。現在参加者は40名弱で、まだまだ参加者を絶賛大募集している。
松山、高知を始め、東京などから参加する人もおり、市外の人も多い。“みかん王国”地元愛媛が有利かと思いきや、昨年の優勝は大阪の人。つまり、県外出身者にもチャンスあり!さらに、WMCという『世界選手権』でということもあり、前回は韓国、イエメンからの留学生も参加した。今年も外国人選手が参戦する可能性も・・・?
観客が座っている青い箱は「キャリー」または「コンテナ」というもの。
みかんを出荷する際に使用する〝カゴ〟を椅子代わりに使用している。
椅子までみかん関連とは…。
競技内容について
みかんの皮をつながったままいかに長くむけるかを競う。トーナメント(勝ち上がり)方式。一次予選→二次予選→準決勝戦→決勝戦で実施される。参加者数の確定後、主催者によりグループ分けを決定する。
トーナメント方式なので、たとえ予選で3メートルむけたとしても、準決勝で敗れる可能性もあるという厳しいバトル。昨年の優勝記録は208㎝だが、WMC記録は210㎝(中学生が準決勝で出した記録)
Mサイズみかんの皮が2メートル以上になるとは、ちょっと想像が出来ない・・・。
使用する蜜柑について
明浜産のM玉温州みかんを使用し、競技用のみかんは主催者が用意する。テーブルに並べたみかんの中から、使用するみかんを各自で選択する(みかんは2つまで使用可)。
このみかん選びも勝敗を左右する大きなポイントだ。木崎さん曰く、皮が途中でちぎれないように、固くてしまっているものを選ぶのが良いのではないか、とのこと。
みかんをむく際の『正装』とも言える、どてらを着ている参加者もいる。気合十分だ。
むき方について
競技は全て素手で行う必要があり、道具(つけ爪等)の使用は一切認められない。まさに己の身体一つでみかんに対峙しなくてはならない。 早く、長く、むくコツを聞いてみたが人によってむき方はさまざまだそう。
・予めおおざっぱにむいておき、後で細く、長く、さいていく
・爪などでミシン目をつけて、それにそってむく
・一つ目で究極の長さに挑戦。もし失敗してしまったら、2個目に挑戦
などなど・・・。この時期であれば、みかんは比較的手に入りやすいと思うので、ぜひ練習を重ねて、自分に合ったむき方を見つけて欲しい。
「まだまだ若い方には負けないわ」 と言っていそう!?
余裕の笑み(?)を浮かべて競技するご婦人も・・・。
制限時間について
みかん選別・剥く・食べる・計測板に貼るまでの全ての時間を含めて、10分。決勝戦のみ15分。みかんを食べてもらうことも大会の目的の一つなので、みかんを食べ終わる(ちゃんと飲みこむ)までが競技。食べ切れない場合は失格となる。決勝まで行くと8~10個食べることに・・・。
10分でそこまで出来るのか・・・?と不安になるが、木崎さんによると10分は結構長いそう。普段食べるときは、数秒でむいて食べてしまう人が多いだろうが、ゆっくり、慎重に、途切れないようにむくのがコツらしい。今回はむいて「食べる」ところまでが競技。
計測方法について
①2メートルのボードに計測用紙を張り付けた『計測板』が用意される
②競技者自身が、むき終えた皮の端をセロテープで貼りつける
③計測板を寝かせた状態から、審判団の手で垂直に起こす
④計測版を立てて、5カウント数えた時点で垂れている皮の直線距離を計測
⑤計測は5ミリメートル単位で行い、切り捨て方式。また長さが同じ場合、審判団の協議により勝者が決定する。(決勝戦については再試合)
※みかんの皮の取り扱いについては競技者で行い、審判団は皮に触れない。プラスチックの器を用意してあるのでそこに剥いて、慎重に取り扱う。
かなり厳格に測定が行われる模様。それだけ真剣勝負なのだろう。
賞品について
優勝・・・賞金10万円 みかん10kg
準優勝・・・賞金3万円 みかん10kg
三位・・・賞金1万円 みかん10kg
参加賞・・・みかんちょっと
この大会の目玉は、何といってもその賞金の額。参加費がかかるとはいえ、みかんをむいて食べるだけ(それが大変なんだけど)で、10万円のチャンスがあるというのは何とも夢がある話。
「1位の賞金を1万円にして、より多くの人に賞金がわたるようにしては?」いう意見もあったそうだが、やはり“10万円”というのは目を引く。こうした金額設定もイベントを盛り上げるためには重要な要素だ。
さらに、商品として地元JAのブランド蜜柑を10kgプレゼントというかなり太っ腹な大会。参加賞もみかん“ちょっと”となっているが、実際はネットに4~5個入ったものがもらえるとのこと。やっぱり太っ腹!
明浜のみかんについて
西予市明浜町では斜面に石積みの段々畑があり、急勾配にみかんの木が生えている。白い石灰石を利用した石積みは太陽光を反射する。そして海沿いの土地なので、海面も光を反射する。
太陽、石灰石、海という「3つの太陽」、そして水はけのよい土地が、甘く、美味しいみかんを育てる。
主催者からひとこと
当日はみかんづくしのイベントになります。愛媛県産のかんきつ類をPRするマドンナ「愛媛みかん大使」や、人気ゆるキャラの「みきゃん」(2014年ゆるキャラグランプリ3位!)も登場して会場を盛り上げます。
参加するだけでも楽しい雰囲気を味わえると思いますので、ぜひお越しください。
こんな記事を書いておきながらなんだが、実は筆者はかれこれ20年近くみかんを食べていない。理由はむくのがめんどうだから。しかし、こんなふうに楽しみながらなら、それも苦にならなそうだ。それに、この明浜みかんの美味しそうなこと!無性にみかんをむいてみたくなってきた。
美味しく、楽しくみかんが食べられて、豪華賞品も貰えるチャンス!ちょっと変わった『世界選手権』に参加してみてはいかがだろうか?
2014.12.09 文・篠崎夏美
写真提供:WMC実行委員会事務局 ※写真は全て昨年のものです