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通りがかりの奥様曰く、「県庁が狂った!」 『2.5じげんネ申祭り2014 KANAGAWA』

アイコンこ、これが神奈川の本気!?

2014/11/28(公開:2014/11/28)
2.5じげんネ申祭り2014 KANAGAWA



2014年11月24日(月)一日限りの“イベント”が神奈川県庁を舞台に開催された…。その名も「2.5じげんネ申祭り!!」。地方行政の核たる“県庁”におよそふさわしくないタイトルのイベント。しかもまさかのオタク・サブカル系である。なぜだ?なぜなんだ、神奈川県?
なんでも神奈川県を舞台にしたアニメやマンガ作品などが多くあることから、そうした実情を県外にアピールし「地域振興を図る」ことを第一の目的とし、第二の目的としては「神奈川県庁をより身近に感じてもらう」ことが開催の目的とのこと。秋も終わりに近い3連休の最終日、会場を訪ねた。


会場の神奈川県庁本庁舎
 
イベント会場は県庁舎内部とその周囲、および正面の日本大通りを通行止めし設営された特設トレーラーステージ。正面玄関から南側に“神奈川県地産地消キッチンカー”が配置(一部は北側)され、北側が痛車展示ゾーンおよび“コスプレ祭り”と称したコスプレイヤーの優先撮影が可能なエリア。当日は参加したコスプレイヤーが、痛車をバックに撮影希望者の求めに応じポーズする姿が見受けられた。

庁舎内には、エヴァンゲリヲン新劇場版のグッズ販売を行う“えゔぁ屋”、実写映画化されたオタク女子系マンガ“海月姫”チケット販売ブース、横浜市内の専門学校生やサブカル系サークル有志が参加したクリエターズマーケット、県内ゆかりのアニメ作品を紹介した“かなもえブース”などが配置されている。


推理ゲーム初体験!



庁舎内3階大会議室では、当イベントの目玉とも言うべき「リアル推理『吸血鬼からの招待状』in 神奈川県本庁舎」が行われた。通常入ることの少ない場所が舞台となっており、またコラボレーションした元ゲーム“Vampire Holmes”の舞台はロンドンなのだが、神奈川県庁舎は横浜港開港時より西洋の文化を取り入れて来た都市にふさわしい洋風の佇まいを残しており、推理ゲームの舞台としてはこの上ない雰囲気だった。


趣ある謎解き会場            謎解きグッズの数々
 
イベント開始と同時刻の9:00から、午前・午後の2度行われる推理ゲームの午前の部が開始された。今回は取材のため、元々グループ単位で参加した地元横浜市の会計事務所のグループに加えてもらった。開始後、ゲームのストーリーが紹介される。その声優を神奈川県知事である黒岩祐治知事ご本人が務められていたのに、始め気づかなかった。後で思い返し“ああ、あれが…”と思ったくらい自然な演技だった。


             同じグループのゆかりさん             迷探偵ホームズさん(何も手伝ってくれません)
 
肝心のゲームは…とても歯ごたえがあった!ステージ1→2→3と進むごとに、レベルが上がり、最後のステージ3に取り掛かったところで制限時間1時間がオーバーしてしまった。大いに頭を悩まされたが、グループのみんなで力を合わせて問題(というよりはパズル)を解くのは楽しかった。参加者の一人、ゆかりさんに感想を聞くと「初めてで難しかったけど楽しかった。会場の雰囲気も良く、ゲームに融け込むことができた」とのこと。また機会があれば参加したいと思った。



催し盛りだくさんの特設ステージ



特設ステージのイベントは「踊ってみた」あり、アニソンあり、アイドル出演ありと盛りだくさん。推理ゲームを終え、外に出るとちょうど「妖怪たいそうを踊ろう!」のコーナーだった。ステージ上では、アイドルグループPeace Loveのメンバーとこのイベントのために大集合した“ゆるキャラ”が「ようかい体操第一」を踊っている。見ていると、子ども達が大はしゃぎで踊っていた。またコスプレイヤーの人達も楽しそうに体操を踊っており、妖怪ウォッチの人気の高さを印象づけられた。


 
吉本興業の芸人、アメリカザリガニさんも出演し会場を盛り上げた。推理ゲーム「Vampire Holmes」の製作者である、瀬名快伸さんにより同ゲームのPRが行われているステージへも飛び入り、次回作&アニメ化(同ステージにて瀬名氏より発表された)作品への出演を軽妙なトークで直談判。瀬名監督や果ては、ステージ進行スタッフまでイジリ倒し、大幅に時間オーバーとなったが会場は大盛り上がりだった。


アメリカザリガニのお二人

特設ステージの出演者としては、人気アニソン歌手のElisaさんも登場。本年の春~夏シーズンに放送された「魔法科高校の劣等生」EDテーマの”ミレナリオ”、現在公開中の劇場アニメ「楽園追放」テーマ曲”EONIAN -イオニアン-”などを熱唱した。


人気アニソン歌手のELISAさん
 
実は神奈川県出身の彼女にとって、県庁舎の目の前に設けられたステージで歌を歌う…のは特別な体験だったようで、「出世したみたいで嬉しい」と喜びを語っていた。熱心なファンもステージ前に陣取り、ペンライトを曲に合わせて振りかざしつつ大きな声援をおくっていた。



県庁を取り囲む痛車&コスプレイヤー





会場は近くを通れば誰でも覗けるようになっており、庁舎の周囲にところ狭しと展示された“痛車”が嫌でも目に入る。普段は決して見ることが無いアニメキャラクターに彩られた車の数々、全部で17台。また“痛バイク”も数台ある。各車とも思い思いのアニメやボカロボーカロイドキャラが全体に装飾されている。痛車にデコられた作品の1番人気は「ラブライブ!」。全体の7割方が同作品の痛車だった。

ボーカロイド「GUMI」のコスプレで参加していたナナポさんに話を伺うと、参加したのは痛車展示をしているオーナーさんに誘われたからとのこと。神奈川はロケーションが良いとのことで、最近はオタク系のイベントが一般にも浸透してきたと感じるそう。以前は一般の人達からは“隔離された”場所で行われていたものだと教えてくれた。来年も実施されればぜひ参加したいと話した。


ナナポさん

進撃の巨人コスプレで参加していたカケルさんは、展示されている痛車のオーナーさん(ローゼンメイデン仕様のトヨタセリカ)。知人に誘われて参加を決めたとのこと。また他の参加者がすると聞いてコスプレもしたとの話。人気キャラ・リヴァイ兵長かつ、お掃除バージョンというなかなか通な選択をされていた。横浜市在住だが「実は県庁に初めて来た」とのことで、好きなイベントで来ると「親近感が湧く」と語った。


カケルさん
 

県ゆかりのアニメ紹介~「かなもえブース」


 
県庁舎1階の「かなもえブース」。県内ゆかりのアニメ、5作品(エヴァンゲリヲン新劇場版、つり球、コクリコ坂、たまゆら~もあぐれっしぶ~、ココロコネクト)がボードにより紹介されていた。パンフレットでは今回展示されている作品も含め11作品と、その舞台となった県内の地域(いわゆる聖地)が紹介されている。

「湘南・江の島・鎌倉」を舞台にした作品では3作品(SLAM DUNK、つり球、ねらわれた学園)が取り上げられているが、それ以外でも同地域を舞台にしたアニメ作品はまだまだある。確かに“アニメの神奈川”とは間違いではなかった。そのうちの代表選手、エヴァンゲリヲン新劇場版は、グッズ販売ブースでの出店も行っており、コラボレーションにも積極的なようだった。
 
 
グッズがところ狭しと並んだ“えゔぁや”ブース


 
実写映画「海月姫」チケットも販売
 
クリエーターズマーケットにはさまざまな作品で参加しているクリエーターがおり、イラスト展示や缶バッジ、ストラップなどの販売を行っていた。スマホ用アプリゲームを作成し参加していたのは、専門学校アーツカレッジヨコハマのRyo Takanezawaさん。HEXAGONというパズルゲームで、6角形で区分されたエリア内に、三色に塗り分けられたボックスの同じ色を組み合わせ消していくゲーム。考案にどのくらいかかったか聞いてみると、「それほど時間がかからず、すんなり思いついた」とのこと。すでにIT系の会社から内定を得ており、将来的にもゲーム開発に取り組みたいと話していた。


 

 
“神奈川県地産地消キッチンカー”
 
会場内には多くのキッチンワゴンが乗り入れ、各々に神奈川の県産品を用いたテイクアウトフードを提供、お昼時には行列が出来た。ランチには”どんなもん”の「ステーキ丼」を選んだ。ご飯に神奈川産の「キヌヒカリ」を使用し、肉はほどよい柔らかさ。ご飯にステーキソースが染み込んでおり、肉好きには堪らない美味しさだった。その他、もちもちポテトやケバブなど手軽に食べられ人気だった。


 1杯600円とリーズナブルなステーキ丼
 
あちこち歩き回って疲れた午後には”ぴいちゃんち”の「フレンチトースト」をいただいた。一番シンプルな「ホイップ」にアイスをトッピング。注文してからトーストを焼いてくれるので、ホカホカのパンにまろやかな生クリームと冷たいアイスが絡み合った甘さがなんとも絶妙で、疲れた体にピッタリだった。


ホカホカなトーストとアイスが絶妙
 
そんなこんなで、朝9:00にスタートしたイベントも16:00に無事終了と相成った。最終入場者数は1万432人であったとのこと※主催者発表。記者も大いに楽しめたので、まずは成功と言って良いのではないか。通りがかりでサブカル系カルチャーになじみのない方には、「なんだこれは?」という感もあったようだが、来年の開催にも期待してみよう!



2014.11.27 文・写真 川方賢史
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