面白いイベント情報を求めてイベニア

| レポート&ニュース |



SHARE

facebook

Twitter

“古代の動物園”にタイムスリップ!!動物園では絶対に見られない、幻の生き物たちに出会った。「太古の哺乳類展―日本の化石でたどる進化と絶滅―」

アイコンむかしむかしのいきものたち

2014/08/18(公開:2014/08/13)
   

クマ、タヌキ、キツネ、イノシシ、シカ・・・。動物園でもおなじみの生き物たち。

でも彼らの『ご先祖さま』が、一体どんな姿をしていたか知ってる?

やってきたのは上野。・・・と言っても、向かうのは動物園ではない。




開催中~10.05[日] / 東京都 / 国立科学博物館 


 
 
「カハク」こと国立科学博物館では現在、動物園では見られない“特別ないきもの”が大集合する、“特別な動物園”が期間限定オープン中。

ここで紹介されるのは、恐竜が繁栄していた約1億2000万年前~約1万年前まで、日本に生息していた大昔の哺乳類たち。めったに見られない絶滅哺乳類など、約170点を公開している。

「太古の哺乳類展」広報によると、これだけ大きな規模で日本の太古の哺乳類を紹介するのは初めての試みだという。日本全国、およそ20カ所の博物館・研究機関から集められた貴重な標本、化石などを展示している。中にはその施設の目玉となっているものもあり、まさにスター級の太古の哺乳類たちが勢ぞろい。



太古の哺乳類=マンモス、だけじゃない!!

太古の哺乳類というと、すぐに思い浮かぶのがマンモスやサーベルタイガーなどの大型のいきものではないだろうか?しかし、今回のイベントではもっと前に生きていた小さな哺乳類にも出会える。リスやネズミにそっくりな彼らは、恐竜が主役の時代にもひっそりと生きていた。(夜行性のものが多かったらしい) そして、確実に繁殖と進化を続けていく。 

   

残された小さな小さな化石をもとに3Dプリンターで作られた拡大復元化石。分かりやすい大きさで、アゴの造りなどを見ることが出来る。

恐竜が絶滅すると、哺乳類が主役の時代到来する! 急激に巨大化して、どんどん種類が増える。ちなみにこれらの大昔の生き物は、シベリア凍土のようなところから発掘されない限り、毛や肉は残っていない。・・・よって、『はく製』は存在しない。

「もっふもふの珍しい動物に会えるかも!!」と期待していたのだが、ちょっと残念。良く考えれば当たり前だよね・・・。

だが、代わりに(?)とてもリアルな生体模型で、当時の彼らの姿を見られる。模型は台が回転する ドーム型のケースに入れられており、様々な角度から観察が出来る。展示台の高さが低めに設定してあるので、ちょうど子供の目線になる。じっと模型眺めて動かない子も・・・。お父さんは困っていたが、可愛かった。

  

アフリカ、ユーラシア、北アメリカ、そして日本も全てが陸続きの『ひとつの大陸』 だった時代もある。きっと色んな生き物が大陸を行き交ったのだろう。今は日本に生息していない生き物も、こうした時代には日本で暮らしていたのかもしれないと考えると、ワクワクしてくる。

そして大陸の一部が離れ、日本列島が出来ていく。大規模な地殻変動によって、哺乳類たちの進化にも大きな影響があった。こうした大陸の動きで、地球の歴史を学ぶことも出来る。

 
 
珍しいのに、なぜか日本で大量に見つかる謎の‘かいじゅう’。


ベヘモトプス 復元骨格 良く見るとキバがすごい・・・。

円柱(スチルス)を束ねた(デスモス)ような臼歯が特徴から、『束柱目』と呼ばれるいきものたち。その中でも注目は、ラテン語で「古い、不思議ないきもの」という名前を持つパレオパラドキシア。謎が多いかいじゅう(海獣)である。

世界的にも珍しいものだが、なぜか日本で世界初の発見が相次ぎ有名になっている。彼らは日本の水辺に生息していたらしいが、詳しい生態は不明。約1300年前に絶滅したが、ここでは貴重な実物化石 と、生き生きとした復元骨格 でその秘密に近づける。

骨格だけなのに‘生き生き’している、とはおかしな表現かもしれないが、手足のふんばり、もたげた首など、今にも動き出しそうだ。


パレオパラドキシア 復元骨格

歩いているところ、泳いでいるところ、食べているところを再現。ただ立っているだけの骨格よりずっとリアルで、本当にこの不思議な生物が生きていたんだ・・・という実感が湧く。そして、近くで見るとまるで恐竜のようなすごい迫力。
復元イラストは
カバみたいでちょっと可愛いけど。

パレオパラドキシア 復元イラスト 



渋谷のスクランブル交差点をゾウが歩く!?

今の日本では動物園でしか見られないゾウ。しかし、日本にもゾウがいた(それもたくさん!)  大昔にはマンモスや、ナウマンゾウの他にも様々なゾウたちが暮らしていた。 日本は『ゾウの楽園』だったらしい。 


ずらりと並んだナウマンゾウの大腿骨と上腕骨。丸太のような太さ。
 
その中でも特に多かったのは、日本各地で多くの化石が見つかり‘日本を代表するゾウ’とも言われるナウマンゾウ。もしかしたら、銀座の高級ブティックが並ぶ通りや、人が行き交うスクランブル交差点の当たりをナウマンゾウが闊歩していたかもしれない。想像するとすごく面白い。 

  今回の展示では、大人のオス、メス、そしてこどものナウマンゾウ全身復元骨格3体が日本で初めて 『家族』に見立て、一緒に展示されている。

  
ナウマンゾウ全身復元骨格  

ナウマンゾウ(家族) 復元イラスト

並べて展示することで、オスとメス、大人とこどものナウマンゾウの違いが良く分かる。何万年も前に生きていたゾウたちだが、こうして‘家族’というくくりで見てみるとより身近に感じられる。


  
大きなお尻!(骨だけど) 白っぽい方がアフリカゾウ。黒っぽいのがケナガマンモス。頭蓋骨、角など、大昔のゾウと現代に生きるゾウの骨格を並べて比較している。

   
頭蓋骨、角などパーツを比べてみるのも面白い。 こう見ると、一口に‘ゾウ’と言ってもかなり違うことが分かる。



消えゆく大型哺乳類

およそ2万~1万年前、世界的に多くの大型哺乳類が絶滅した。日本の哺乳類たちも同じ道を辿った。なぜ彼らが絶滅したのかという謎にも迫る。 

   
左)バイソンのようなハナイズミモリウシ  右)こんな小さなシカの仲間も。ちゃんとツノもある。

   
右)ヤベオオツノジカ 復元イラスト


奈良や宮島などで良く見かけるシカよりもかなり大きいヤベオオツノジカ。ヘラジカのような角も立派でカッコいい雰囲気。

そんなヤベオオツノジカも『ゆるキャラ』になると、かなりゆるカワイイ。

しかも名前が‘やべさん’。「ツン!」と上を向いた表情もカワイイ。個人的にかなりお気に入りだ。やべさんの他にも、様々なゆるキャラがいる。いきものによっては、骨格、復元イラスト、ゆるキャラ、と3パターンの表現を楽しめる。これはかなり日本的なのではないだろうか。

  
左から)なうまん家族、やべさん、ぱれおくん

最後のコーナーでは、現代の日本の哺乳類たちをはく製で紹介している。家畜やペット、外来種などを除くと、日本の大型哺乳類は意外と少ない。 よーく見てみると、これまで見てきた太古の哺乳類との共通点にも気付けるかもしれない。



こんなものまで!!超充実のミュージアムショップは必見。


今回驚いたのがお土産の充実っぷり。 これまでの展示を見ていても、見ていなくても(!?)欲しくなってしまうものばかりで、展示と同じくらい楽しめる。 
公式サイト グッズ情報 もチェック!

   
定番のお菓子も、リアルな復元イラストバージョン、ゆるキャラバージョンなど、バリエーション豊か。今人気のアイシングクッキーもカラフルでユニークだ。
 
  
誰でも一度は使った事がある『学習帳』や『スケッチブック』も。子供たちのお土産にぴったりだが、自由帳を使う機会がほぼ皆無であろう私も物凄く欲しい。真剣に欲しい。

   
左)カラフルでオシャレな手ぬぐい。可愛すぎる!色によって柄と時代が違ったりする。全部欲しいー!
右)リアルなイラストが入った飴。しかも、こんなルックスなのに(?)イチゴ味。

   
左)あの海洋堂による開場限定特製フィギュアストラップ ガチャガチャ
右)素晴らしい仕上がり。これはレア・ゴールドのデスモスチルス。大人が持っていてもカッコいい。 




博物館を出ると、カハク名物の「シロナガスクジラ」のオブジェがどどーんと出迎えてくれた。そういえば、このクジラも世界最大の哺乳類。そして、私達人間も哺乳類。何かが繋がった気がした。

ずっとずっと昔には、日本にもゾウ、サイ、バイソン、トラなど今動物園で見るような動物が生きていた。今、あなたがいる場所を歩いていたかもしれない動物たち。一瞬の古代の動物園にタイムスリップすれば、人間を含めたいきものこと、地球のこと、いつもとは違う視点で見ることが出来る。



2014.08.13 文・写真 篠崎夏美
>さらに読む