07.25[金]~08.03[日] / 東京都 / d47 MUSEUM
各都道府県の特産物、産業、文化、歴史、県民性にまで注目し、考察した藤井氏のコメントと共に、実際のゆるパイを展示している。ゆるパイも多い県と少ない県があり、そうした理由を自分なりに考えてみるのも、なかなか面白い。
展示されていたパイのごく一部を紹介。
<秋田>
「ハタハタパイ」 なぜハタハタを入れようと思ったのか?うなぎと同じ感じでいけると思ったのだろうか。
藤井氏が‘国民的同意’として『秋田美人パイ』を提案していたが、大賛成である。
名前は『秋田美人の‘ぱい’』とかが良いと思う。
<茨城>
見よ、このシンプルなレイアウトを!
茨城出身としては悲しいが、こういうところに『都道府県別地域魅力度 ランキング最下位』が表れているのだろうか・・・。
そして、安定の納豆。正直、茨城県民は「やっぱ毎日納豆食べるの~?」という他県民の質問に辟易しているのだが、かといって、他には梅パイくらいしか思いつかない。
あんこうを生地に練り込んだ『印籠パイ』とかどうだろう。ゆるパイ要素の魚介も入るし。
<栃木>
海がないと、ゆるパイのメインである魚介系パイが作れない。しかし餃子パイ、レモン牛乳パイのインパクトはなかなか。イチゴでメルヘン要素もカバーしている。敵(?)ながらあっぱれ。
<群馬>
群馬よ、お前もか・・・。あっさりとした展示。
北関東は東北(素材いっぱい)と東京(名所いっぱい)に挟まれて、ゆるパイが生まれにくいらしい。富岡製紙工場が世界遺産に指定されて、最近ちょっと良い感じの群馬。ますます茨城の地位が危うい。
<埼玉>
内陸で東京に近いというゆるパイにとっては厳しい環境。うなぎが有名らしいが、うなぎをパイにしたいところをこらえて、あえて「なまずパイ」というのが良い。
『うちはそういうので勝負してないんでー』という、余裕の表れでもあるのだろうか?
<東京>
自然食材はあまりないのだが、‘銘菓’や‘観光名所’はある。都市型ゆるパイの筆頭、らしい。都会だけでなく、小笠原諸島などで自然アピールも。そしてなぜか切符のパイ。
<石川>
「わくたまくんパイ」って何!?(和倉温泉を発見したとされるシラサギが産んだ「タマゴ」らしい)
恐らく他県民はほとんど知らないであろう、ゆるキャラから生まれたパイ。ゆるパイとしては正しい発生の仕方とのこと。
<静岡>
王者の貫録
パイの聖地。‘パイ・オブ・パイ’、うなぎパイはもちろんだが「源氏パイ」も静岡発祥とは知らなかった。何気にしらすパイなどもあり、貪欲にゆるパイを作り続けている。
<三重>
松坂牛、伊勢エビなど、高級食材の宝庫。真珠(食材じゃないけど)パイもあって 、高級路線。 見ていたお客さんが「でも、パイじゃなくてそのまま食べたいよねー」と言っていて、激しく同意。しかし、そこを敢えてパイにしちゃうのが、ゆるパイなのだ。
<滋賀>
琵琶湖、ふなずしが特徴。衝撃の「ふなずしぱい」発見。パイなのに真空パックに入っているらしい。一体どんな味がするのだろうか・・・?
<島根>
「どじょうパイ」はある意味正しいゆるパイだが、パッケージ、キャッチコピー共に‘限りなくアウトに近いセーフ’。 これに引っ張られて多くのゆるパイが生まれているとのこと。
さらに「しじみパイ」という、かなりインパクトのあるパイまで・・・。島根、きてるな。
<広島>
四国・中国における、ゆるパイ中心地。牡蠣パイで魚介系 をカバー。さらに大阪がパイにしなかったお好み焼きも、しっかりパイ化している抜け目がない県。
<山口>
形がカワイイ
何といっても『ふく』。キャラクターにしても愛らしいし、魚介要素もばっちり。この他明治維新をもパイ化しようと健闘している模様。
<佐賀>
幕末・維新の人々までパイ化ダジャレ要素もゆるさには欠かせない 。なんというハングリー精神。今回個人的に一番インパクトがあった「むつごろうパイ」も佐賀だった。
<長崎>
‘菓子in菓子’。元々お菓子として成立しているカステラを、敢えてパイにしてしまうというチャレンジ精神。その発想はなかった。パイとカステラのちゃんぽん。悪くない。
<大分>
地獄のインパクトと、机の上の閑散具合が何とも言えない。
九州は全体的にゆるパイが盛んだが、ここ大分はゆるパイ不毛の地。主観だが、温泉=まんじゅうのイメージにとらわれているのだろうか?
<鹿児島>
何だろう・・・。若干イラっとする(笑)
さつまいも、紅イモ…。イモが大好きな(?)県。藤井氏曰く、黒潮に沿って沖縄→鹿児島→高知→和歌山と、イモ系→フルーツ系に移行していくらしい。興味深い。
会場には『パイにまつわる曲』がBGMとして流れており、とにかくパイ尽くし。一部のパイを試食・購入出来るコーナーもあった。
三重県の伊勢エビパイ。有名パティシエの辻口氏とのコラボ。最初は甘くて美味しい‘普通のパイ’なのだが、噛んでいるうちに遠くから伊勢海老が近づいてくる・・・。
ゆるパイのモチーフになるものとしては、特産品(圧倒的に多い)、有名人・偉人、名所などがある。それぞれのモチーフを組み合わせているものもあって、その可能性は無限大だ。
どんなものでもパイになってしまう驚きがあった。パイを開発するにあたってどんなドラマがあったのだろう?と思わせてくれる。斬新なアイディアと、何とか名産品として定着させたい!という熱意には感動すら覚える。
パイは軽い、かさばらない、日持ちする、地域ごとの特色が出ていることから、新しいお土産の定番として定着してきている。 小さなパイにその地域の魅力をぎゅっと閉じ込めて、焼き上げた「ゆるパイ」。
一生懸命だけど、どこかずれてる。そこが愛しい。「ゆるキャラ」に続いて、「ゆるパイ」の時代は既に始まっている。