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「ありえない」の連続!頭上に美女が泳ぐプール、宙を駆ける男・・・。感性で体感する『フエルサ ブルータ』

アイコン溢れる刺激と興奮に、感覚が追い付かない!!

2014/05/18(公開:2014/05/13)
今まで見たことがない、体験したことがない、信じられない。

そんなシーンが目の前で次々に繰り広げられる。


 









フエルサ ブルータ

05.10[土]~06.29[日] / 東京都 / 赤坂サカス広場 特設テント

FUERZAはスペイン語で 『力』、BRUTAは『獣』。新しい体験型エンターテインメント、と言われても何だか分からないだろうし、私もこの言葉だけでは説明出来ない。

ただ言えるのは、とにかく“規格外”ということ。あまりに規格外過ぎて、日本では上演不可能とまで言われていたそうだが、奇跡的に日本公演が実現した。

告知映像を見て驚いた。あまりに“規格外” 過ぎて、これまでの自分の経験や常識では何だか良く分からなかった。ただ、「何だか良く分からないけれど、これは絶対に何すごいぞ・・・!」という確信はあった。


その確信は、ある意味裏切られた。

実際の公演は、すごいなんてもんじゃなかった。



   

観客はオールスタンディングでイベントに参加する。まるで、クラブかライブハウスのようだ。開演が近づくにつれ、期待と興奮で、会場の熱気が高まっていくのを肌で感じる。

流れてくる音楽は民族音楽のようでもあり、エレクトロニックな印象もある。思わず身体が動いてしまう。ドラムやパーカッションなどライブならではの演出もあった。

 

いきなり、ひとかたまりになった男女が降ってくる。振り子のように揺れながら、観客の頭上を飛び交う。度肝を抜かれる演出だ。

瞬く間に変わる舞台装置も、フエルサ ブルータの特性だ。ショーを見て、驚きと感動で口をぽかんと開けている間に、後方からスタッフと共に大きなステージがやってくる。あっと言う間に場面が変わり、次のショーが始まる。一瞬たりともぼんやりしている暇はない。

芸術監督のディッキー・ジェイムズ氏は「観客が頭で考えるスピードを上回ることで、理性より原始的に感じる旅を味わってもらいたい」という。

今まで自分の立っていたところがステージになり、ステージだったところで今度はショーを見ている。ここには舞台、客席の区別はない。視線が自由なことも特徴だ。通常舞台は真正面、あっても少々横を向くくらいだが、フエルサ ブルータは 360度、会場全てが舞台であり、客席でもある。 



Corredoras 走る男

   



撃たれても、倒れそうになっても、巨大な壁が迫ってきても、彼は走り続ける。そして、壁を突き破る。誰もがその姿に、困難に立ち向かう己の姿を重ねるだろう。



Cortinas-Corredoras カーテン-走る女

 

周りに銀色のカーテンがひかれる。照明の当たり具合によって、オーロラのように色を変える幻想的な壁を、二人の女性が走り回る。歌っているのか、叫んでいるのか。走っていたかと思うと、くるりくるりと回転しながら移動する。まるで夢を見ているようだ。



Murga ミュージカル

   

Murgaとは、南米で祭りの時期に行われるミュージカルのこと。突如観客をかき分けて、巨大なステージがせり出してくる。白くて狭い部屋が、突如崩れ、飛び散る。日常が破壊される瞬間だ。

     
 

   

パフォーマーたちはステージから飛び出して、観客たちの周りで走り、踊り、紙で出来た板を観客の頭に思いっきり打ち付ける。中から紙ふぶきや、キラキラしたものが飛び出して、辺りはたちまち笑い声、叫び声、紙屑でいっぱいになる。




Mylar プール

  


  

海底に沈み、水面を見上げている。どんどん水面に向かって上昇する。いや、水面が自分に近づいているのだ。水の中には妖艶な女性たちが泳いでいる。まるで人魚のようだが、空中をたゆたう天女のようにも見える。


   
いつの間にか、こんなに近くに。人魚と触れ合う幻想的な瞬間だ。


   
人々が女性たちに向かって手を伸ばす様子は、女神に救いを求めているようにも見える。


   

Mylarはポリエステルの薄膜のこと 。人を真下から眺めるというのは不思議な感覚だ。最初は泳いでいた女性たちが、這うようにして移動し、その後立ち上がり、走りまわる。海から生まれた生き物が、陸に上がり、二本足で立つという進化の過程を見ているようでもある。 「ドーン!バシャーン!」ものすごい音を立てて、飛び込み始める。響く音は雷鳴、点滅する照明は稲光、降り注ぐ水しぶきは大粒の雨を思わせる。



   

人が歩くとそこに水が集まる。人の動きに合わせて水が動く。

   


    



宙を駆ける人たちが再び登場。今度は三人で走り、壁を突き破り、飛ぶ。

   






そして、こんな演出も・・・。突然の大雨!!

   

笑いながら濡れて踊る人たち。こうした演出もあるので、ずぶ濡れになる覚悟を。




あまりにも大がかり、あまりにも衝撃的。日本では公演不可能と言われていたそうだが、実際に見てみるとそれが良く分かる。 正直、こうした観客参加型で、出演者との距離が非常に近い演出が、日本人にどこまで受け入れられるのか?楽しむことが出来るのか?という考えもあった。しかし、それは全く不要な心配だった。


この衝撃、観なきゃ絶対わかんない!観たら絶対、やめらんない! 

キャッチコピー通り、この衝撃はいくら写真や言葉を並べても、実際に見なければ分からないだろう。

言葉もセリフもない。国を、年代を、全てを超えて一つの空間を共有できる。出演者は叫びのような、唸りのような、歌のような、祈りのような、「命」が発する音を絞り出す。観客にも言葉はいらない。感じたまま、驚き、笑い、叫び、身体を動かす。私たちを動かすのは、獣のチカラ、原始の衝動だ。



<最後にアドバイス>

○動きやすい&濡れても良い服装、靴で
ステージも出演者も観客も動き回る。人も多いのでヒールなどは避けた方が良い。

○濡れたいひとへ
「真ん中」を意識すると良いかもしれない。どこが「真ん中」なのかは演目を見ていると分かってくると思う。

○写真・動画OK!【フラッシュNG】
公演は撮影可能。ただ、絶対に直接見たほうが楽しいし、カメラ・ケータイを落としたり、濡れたりといった心配もあるので、撮影はほどほどにすることをお勧めする。

○とにかく直接見て、そして楽しめ!!      

                                            



2014.05.13 文・写真 篠崎夏美 ※写真の一部はフォトコール時のもの
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