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戦え、選ばれし漫画戦士たち!‘至高の一冊’の栄誉を勝ち取るのは誰だ!?「イチオシ☆マンガバトル」

アイコン己のバイブルを賭し、戦場で魂を震わせよ。

2014/04/16(公開:2014/04/10)
・・・漫画は好きか?

そう問われ、「否」と答える者は少ないだろう。


時に、その者の人生すら変えてしまう聖書(漫画) が、この世には存在する。

そんな自らが心に抱く‘人生の一冊’を武器に、立ち上がれ漫画の勇者よ!
数多ひしめく
好敵手(ライバル)と渡り合い、今宵決戦の地で熱いパトスを迸らせるのだ!!



東京都 / 道玄坂ヒミツキチラボ



な… 何を言ってるのか わからねーと思うが、このイベントは、参加者が青春を共に過ごし、己の心を捧げた「人生の一冊(漫画)」を持ち寄り、各テーブルで発表する。勝ち進んだものがステージに上がり、決選の火花を散らす。つまり、マンガ版・ビブリオバトルのようなものだ。

イベント担当の成岡さんにお話を伺った。企画のきっかけは、SCRAPの脱出ゲーム打ち上げの席。「まどか☆マギカ」にハマっていたスタッフが、『他にも面白いマンガ、アニメを教えて欲しい』と言ったところ、それぞれがおススメを語り盛りあがったのだそう。

ちなみに、成岡さんがふとした時に何度も読みたくなるのは「ハチミツとクローバー」(羽海野チカ)だそう。私もマンガが好きなので、インタビュー中であることも忘れ、ついついマンガトークで盛り上がってしまった。

漫画について語り合うとき、相手が初対面であろうと、我々は旧知の仲となる。これも漫画の偉大なる力の一つだ。



アナタはもしや・・・

  
スタッフさんも、イベントにちなんで漫画のキャラクターのコスプレをしていた。
左)カウンターでは「新世紀ヱヴァンゲリヲン」の真希波・マリ・イラストリアスがドリンクの準備をしている。
中)一見、普通のスーツのスタッフさんだが「スラムダンク」安西先生だった。言われてみれば・・・!?
右)受付・デモンストレーションをしてくれたのは、「苺ましまろ」の伊藤伸恵。かわいいは、正義!


   
司会の野口雄介氏。マンガの名台詞の数々が書かれたオリジナル白衣。セリフは全て手書きとのこと!左の写真は「計画通り」 な感じで、思いっきり悪い顔をしてもらった。ちなみに家には8000冊くらいのマンガがあるらしい。少年漫画だけではなく『るんるん』、『ひとみ』など、かなりコアめな少女漫画雑誌にも詳しい。



一度食べてみたかった!あのマンガメニューも

  
「キンキンに冷えてやがるっ・・・・・・・・!」
 イベント限定の特別メニューも。‘犯罪的にうますぎる’のだろうか。飲みたい・・・。ちなみに通貨はペリカではなく、ラボカ。日本円で購入可能。


  
地下労働所とは縁がない乙女たちも注目。「ハチクロ」に出てきた柏水堂 プードルケーキもあるよ。可愛い~!こっち見てる♡紅茶とセットで販売。ファンシー♪


  
これが・・・マンガの力・・・

今回のイベントは、なるべく知らない人同士が同じテーブルに着くようになっている。これは新しいマンガに出会えるように、という狙いがある。当日券の販売もあるので、誰がどんなマンガをプレゼンするのかは直前になるまで分からない。

選びきれなくて、大きな袋一杯にマンガを持ってきている人もいた。既にあちこちで「これ、知ってますか?」、「面白いですよねー!」などと盛り上がっている人たちもいる。イベント開始前から和気あいあい。 すごく楽しそう・・・。仲間に入りたい・・・。

  

司会の野口さん登場。コール&レスポンスで客席を盛り上げる。

野:かめはめー!?     客:はーっ!!

野:どどんー!?       客:ぱーっ!!

野:安西先生!?       客:バスケがしたいです!

野:げえっ!?         客:・・・?(一瞬戸惑い)関羽!

野:クララがー!?      客:立ったー!!

野:クララのー!?      客:ばかっ、(中略)意気地なし、わたし もう知らない!


野:(前略)DIO…たったひとつの単純な答えだ…     客:てめーはおれを怒らせた!!


何この訓練された観客・・・。事前に打ち合わせとかしてた?私、開場前からいたけどそんな事してた?セリフのコール&レスポンスでこんなに盛り上がるなんて・・・!これがマンガの力なのね!!


  
左) 特別審査員・山内康裕氏 。「このマンガがすごい!」などの選者でもある。 マンガナイト/レインボーバード合同会社代表。人呼んで‘マンガの鬼’、日本で一番(ということは世界で一番)マンガに詳しい方かも知れない。

イベント前にさりげなく各テーブルに積まれたマンガをチェックしていた。来場者は猛者ばかりらしく、さすがの山内さんも「かなりマニアックなものもあるので頑張らないと・・・」と仰っていた。マンガに対するその人の想いや、知らない人も読みたくなるかどうかが審査ポイントとのこと。

右)ヒミツキチラボ所長の吉村さん。「アゲイン!!」(久保ミツロウ)の宇佐美良子コスプレで登場。似合い過ぎる。風が!彼女の周りに吹く爽やかな風が見える!不器用なヒロインと言うことで『今日は不器用に(審査を)やろうと思う』と発言するも、司会の野口氏に全力で止められていた。

ご本人曰く『マンガ好き、というよりマンガに影響されやすい』らしく、マンガに影響されて生徒会、テニス部、剣道部、美大に入ったという‘黒い歴史’を素敵な笑顔で語ってくれた。



遂に始まる、マンガの‘天下一武道会’



原稿を作ってきた人、小道具を持ってきた人、それぞれがこのバトルで熱き思いを戦わせる!!皆さん真剣に発表者の話に聞き入っており、タイトルなどをメモしている参加者もいた。確かに、どのマンガも面白そうなものばかり!休憩時間中もプレゼンの延長のような感じで盛り上がっていた。

各テーブル予選を勝ち抜いた猛者たちが、壇上へ。いよいよ決勝戦が始まる。


エントリーナンバー1:アグニさん「WATCHMEN」
                                                      
小学館集英社プロダクション
アラン・ムーア著 デイブギボンズ絵

いきなりアメコミ。大きさ・厚みがあり内容的にも、物理的にも「重い」一冊。アメコミを変えたとも言われるマンガ。風景、会話などいたるところに伏線があり、何度読んでも楽しめるそう。

政府により‘ヒーロー’が禁止された社会で、かつてのヒーローたちが次々と抹殺されていく。 正義とは何か?ヒーローとは何か?果たしてヒーローは必要なのか?


【山内さんコメント】アメコミ好きの層はマンガ好きの層とは違う。アメコミはどちらかというと‘勧善懲悪’が多く、日本人は敬遠しがち。しかし、この作品はとても興味深い。まだ日本でアメコミがそこまで広まっていない背景には、優秀な訳者が不足していることもある。海外では熱心なマンガファンが日本語を訳しているが、日本ではまだ少ない。



エントリーナンバー2:ミナセヤズローさん「恋と成」

北國新聞社出版局  東谷文仁著 

カワイイようじょ 女の子の表紙で、萌え的な漫画かと思いきや、変態ばかり出てくるギャグマンガ。エントリーナンバー1に比べると‘驚きのかるさ’で、ド下ネタも満載とのこと。

作者の東谷さんは言葉の表現が巧みで、使い方が面白く、勢いがあるところが魅力だそう。しかし、全く聞いたことがない出版社・・・。書店にもあまり置いていないと言うレアなマンガなのだ。



【山内さんコメント】 東谷さんは赤塚賞(審査が非常に厳しいことで有名)で準入選した実力の持ち主。ちなみにマンガ界において「ヘンタイ」は褒め言葉である。発表者の多くの人に作品を知って欲しいという思いが伝わってきた。



エントリーナンバー3:つちのこさん「
Mr.FULLSWING



集英社 鈴木信也著

どう見ても野球漫画である。タイトルも「ミスターフルスイング」だし。きっと野球初心者の主人公が‘空振り上等’で頑張って、甲子園目指すんだな・・・。

と、10年位思っていたが違うらしい。彼の目的はあくまで「好きになった子に近づくこと」そのため女装して野球部に入部する。

とにかくギャグ満載らしく、つちのこさんはまさかの『ギャグを音読』という凄い技を繰り出した!!なんという勇者!!

【山内さんコメント】 ギャグの連続で「銀魂」が好きな人にウケるかもしれない。今ならもっと人気になっていたかもしれないが、少し出てくるのが早かった。



エントリーナンバー4:コマさん「GUNSLINGER GIRL」

メディアワークス  相田裕著

表紙から察するに萌え美少女×ガンアクション・・・?と思っていたが、かなり壮絶な物語らしい。コマさんによると、義体というサイボーグのような体を持った少女たちと、担当官との人間関係が見どころだとか。

「少女に与えられたのは、大きな銃と小さな幸せ」手術、洗脳、暗殺・・・。陰鬱なストーリーだが、少女たちは幸せそうに見える。全ての登場人物が必死に生きており、その姿を見ることにより、自分も頑張ろうと思える作品だそう。


【山内さんコメント】 萌え系の作品が多い雑誌に掲載されており、女性は入りにくいコーナーにあるかもしれない。しかし、ドラマ化された「失恋ショコラティエ」の水城せとなさんもファンであり、少女マンガ好きの女性でも楽しめる作品。



エントリーナンバー5:暴君さん「SOIL」

エンターブレイン  カネコアツシ著

帯の「板尾創路、興奮」 、「浅野忠信、絶賛」というフレーズに惹かれ手に取ったそう。
ある一家が失踪し、同時期に塩の山が出現。これらの事件をきっかけに、次から次へ不可思議なことが起こる。謎が謎を呼ぶ・・・。

暴君さんいわく、これまで色々な作品を勧めても読まなかった奥様がこれだけは読んだそう。ちなみに2011年1月に最終巻が出たが、あまりにも面白いのでまだ読んでいないのだとか!(奥さんは既読)

【山内さんコメント】 芸能人、文化人にもファンが多い作品。作者は映画や、曲なども制作している。マンガから離れている人にも読みやすい。



ここで特別にエキシビジョンが行われた。テーブル予選時に、吉村さんが「ぜひこの人のプレゼンを聞いてみたい」と思った方が発表。

エキシビジョン:「銀の匙」

小学館 荒川弘著

この方の予選時の発表は私もたまたま聞いていて、思わず聞き入ってしまった。生き物の命や、農業についての感想が多いマンガだが、紹介者は銀の匙を読んで「生きるためも逃げもアリだ」ということを感じたそう。

心の病になり、癌で身体の一部を失った紹介者さん。その時にこのマンガに出会い、‘自分の人生を生きよう。自分のために生きよう’と思ったのだそうだ。

そうした意味では、間違いなく人生を変えたマンガである。




表紙画像は全てイメージ 

6作品中、半数はタイトルすら知らない作品だったが、どの作品も非常に興味を持った。やはり実際に読んだ人がその人の言葉で語ってくれると、よりそのマンガの魅力が伝わってくる。



結果発表!!


○優秀賞(図書カード):ミナセヤズローさん「恋と成」

○審査員特別賞(オリジナルTシャツ):アグニさん「WATCHMEN」

○最優秀賞:コマさん「GUNSLINGER GIRL」


最優秀賞の特典は、書泉ブックタワーの『SCRAPコーナー』に紹介した本を置き、しかも自分がPOPを書けるという権利!お金では買えない、本好きにはたまらないプレゼントだ。コマさんが一体どんなPOPを書くのかも楽しみである。

受賞者コメントでコマさんは、「プレゼンが良かったのではなく、マンガが良かったからです」と語っていたが、これぞマンガ愛!素晴らしいコメントに会場から惜しみない拍手が送られた。




マンガを介することで初対面の人とも気軽に話せる雰囲気で、とても和やかなイベントだった。それぞれの人のマンガ愛をひしひしと感じるイベントだった。同じ作品でも人によってとらえ方、感想が異なるもの興味深い。

人を惹きつけて止まないマンガの魅力は、こうしたところにもあるのだろう。ぜひ次回も開催していただきたい。諸君が新たな友とバイブル(漫画)に出会えることを願っている。



2014.04.10 文・写真 篠崎夏美


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