ゲームの主人公になってみたい。
いきなり王様からお城に呼ばれて、
「じゃあくなものを ほろぼして まいれっ!」
とか言われて、仲間と旅に出る。
「じゃあくなものを ほろぼして まいれっ!」
とか言われて、仲間と旅に出る。
民家に入って引き出しを開けたり、壺を割ったり、モンスターを倒してアイテムを手に入れる。強い敵と戦ってレベルを上げて、色んな技とか呪文を覚える。
ダメージを受けたり、運が悪ければ死んじゃって教会で復活させてもらったりするけど、めちゃくちゃ楽しそう。
未だに、そんな小学生レベルの妄想をしている、いい大人の皆さん(私含め)、
あなたの夢、叶えられますよ。
東京都 / 監獄居酒屋ロックアップ 2999池袋店
人生を楽しくするスパイスになる非日常を提供していく企画集団 「NAZO×NAZO劇団」が主催するイベント。
物語の中に入り、謎を解くリアル謎解きロールプレイングゲーム。参加者は勇者、魔法使い、格闘家、遊び人など、それぞれの役割が与えられて、その役を演じる。パーティーを組み、仲間と協力してミッションをクリアするもの。 今回のイベントは第7弾。
イベントが行われるのは、コンセプト居酒屋「監獄レストラン ザ・ロックアップ」。監獄を模した店で、席は洞窟を利用した牢屋になっている。あちこちにモンスターや、得体の知れない化け物がいる空間もあって、RPGの洞窟ダンジョンそのもの! 雰囲気抜群だ。
余談だが、私は以前この店を訪れたものの、入り口のあまりの怖さにそのまま引き返した経験がある・・・。今回も取材とはいえ、結構怖いところがあった。
テーブルの上には自己紹介シートがあり、これまでの謎解き経験なども記載できるようになっている。初対面同士でチームになることもあるので、コミニュケーションは非常に大切。こうした配慮があると打ち解けやすいし、役割分担もスムーズだ。
ゲームの開始前にNAZO×NAZO劇団の団長からご挨拶と説明。‘謎解きを楽しむために’というところにポイントが置かれた案内だった。基本的な事だけれど、こうしてきちんと説明してもらえることで、みんながより楽しめるイベントになるのだ。
<あらすじ>
動物と人間が仲良く暮らす“テルミナ王国”で事件が発生。突如いなくなる動物たち・・・。平和だった王国は大パニック!
どうやら事件には、闇の組織“ガルド”が関わっているらしい。動物達を牢獄に捕らえて、恐ろしい動物実験を企てているというのだ。
このままでは、大切な国の民である動物たちが危ない。困り果てた王様は、隣国より勇者達を呼び寄せる。
「勇者たちよ!我ら動物王国の仲間たちを、どうにか助け出してくれないだろうか?」
「勇者たちよ!我ら動物王国の仲間たちを、どうにか助け出してくれないだろうか?」
王様の元に勇者がやってきた。勇者だ、どう見ても勇者だ。でも、この王様、何か企んでる・・・?
参加者は勇者、武闘家、魔法使い、遊び人、獣医、猛獣使いの中から自分の役割を選ぶ。RPGのように、選んだ職種によって入れる場所や、出来ることが異なる。例えば‘勇者の祠’には勇者しか入れなかったり、‘光の魔法’は魔法使いしか使えなかったり・・・。
参加者全員に役が割り振られるので、謎解きのレベルが違っても、誰でも参加出来るように工夫されている。シーンによっては台本があり、役になりきっての演技が求められる。思いっきり、いつもとは違う自分になってみるのも楽しそうだ。
様々な動物たちや、聖職者に話しかけるとヒントがもらえたりする。シャイな人の為に「はなす」というコマンド(紙)もあって、それを見せて話すことも出来る(・・・が、私の見た限り使っている人はいなかった)
薄暗く、入り組んだ構造なので、会場内に散らばった謎を探すだけでも一苦労。キャストの人たちは足元に注意するよう呼びかけたり、会場内を回って参加者の進捗状況を確かめたり、役を演じながらも自然とゲームがスムーズに運ぶように行動していた。こうしたさりげない気配りが、イベント全体の運営、印象を大きく左右する。
RPGといえばアイテム!今回も魔法の指輪が重要なアイテムとなっていた。しかも光る。薄暗い洞窟で光る指輪は、とっても幻想的だった。これだよ、これ。これぞファンタジーの世界。
NAZO×NAZO劇団だけあって、キャストさんの本気がすごい。こんな迫真の演技を、こんな間近で見れる機会ってなかなかないと思う。今回の公演は8チームが参加。クリア段階にもよるが、最大8回、同じシーンを繰り返し演じるのだ。
しかも、毎回全力の演技。同じストーリーなのに、毎回見入ってしまうくらいだった。リアル謎解きと、演劇が楽しめるのもこのイベントの魅力だろう。 ストーリーもどんでん返しがあって面白かった。あらすじからは想像もつかない、まさかの真相に驚いたり・・・。物語のラストは、思わず笑ってしまうハッピー(?)エンド。
謎のレベルは一見して分かるものから、かなり頭をひねらないといけないものまで様々だった。初めて参加した人でも謎を解く楽しみを味わえるし、経験者も満足できるクオリティになっている。制限時間終了後には解説タイムもあるので、分からなかった人もすっきり出来る。
脱出出来たチームの表彰だけでなく、『チームワーク賞』という賞もあった。これは謎解き中協力し、みんなでゲームを盛り上げていたチームに贈られるもの。チームプレイが必要とされるゲームにおいて、この賞をもらえるということはとても名誉なことだし、それ以上に参加者がイベントをとても楽しんでいた証である。
自分が物語の中に入って非日常な体験をする。コントローラーではなく自分の手と足で謎を探し、コマンドではなく自分の頭を使って謎を解く。
実体験としてのファンタジーを体験出来ること、現実世界に戻っても仲間との絆は残ること。それがリアル謎解きロールプレイングゲームの醍醐味である。
2014.03.24 文・写真 篠崎夏美