実験型イベント企画スペース ヒミツキチラボオープニングイベントで、「謎解きキャバクラ」なるものを体験してきた。
ヒミツキチラボの役割の一つとして、普段と違う日常を体験出来るというものがある。この「謎キャバ」こと、謎解きキャバクラも、普段はキャバクラに行かない人もキャバクラのお客さんに、そして普段はアイドルの子たちもキャバ嬢になりきって楽しむ、究極の‘ごっご遊び’がテーマだそう。 もちろん、SCRAPが提供するキャバクラなので謎解きがメイン。よって、未成年も、女性でも安心して楽しむことが出来る。完全に健全なキャバクラなのだ。
しかし、ごっこ遊びとは言え、謎解きも初めてなら、キャバクラも初めて。しかも接客してくれるのは、SCRAPの公式アイドルということで、かなり緊張。ずらりと並んだアイドルちゃんたちの中から、ついてもらう女の子を指名。お約束の黒服さんによる『ドンペリ入りまーす!』もあり、キャバクラ気分が盛り上がる。ちなみに、ドンペリとはあのシュワシュワする高いお酒ではなく、ドンペリ謎と言われるこの謎解きイベントのことなのであしからず。SCRAPさんから公式にネタバレOKをいただいたので、以下レポート。
今回お店となるのはステージの片隅。カーテンで仕切られていて個室風になっている。私が指名した‘ことちゃん’こと浅川琴音ちゃんは既に座っており、緊張でやや挙動不審になりながら着席。黒服さんがお店のシステムを説明してくれる。あるものが失われた部屋で、それらを取り戻していくらしい。なんかさらっと『アイマスクを付けて、手錠をかけて、ロープで縛る』とか言われた気がするけど、多分緊張による幻聴だろう。・・・だが、本当にアイマスクを付けられ、手錠をかけられてしまった。
キャバクラって手錠して楽しむものだっただろうか?世の中には‘手錠プレイ’なるものが存在するということは聞いたことがあったが、そうか、これが・・・。初めてのキャバクラなのに、なかなかハードな予感にさらにドキドキ。 しかも、その手錠は隣に座った女の子(アイドル)と繋がっている。ラブコメでしか起こりえないシュチュエーションが今!現実に起こっている!男子諸君喜べ!‘女の子と手錠でつながっちゃってどうしよう’ケースは存在するぞ!しかも相手はアイドル!!これだけで単行本10冊描ける!!これなんて恋愛マンガ?
手錠であわあわしている間に、なんとロープが身体にかかる感覚も。こちらも女の子と一緒に縛られているらしい。まじか・・・。緊縛初体験が女の子と縛られるなんて・・・。こんな体験しちゃっていいんだろうか。手錠とロープで縛られているので、密着せざるを得ない。くっつかざるを得ない。女の子の温かさを感じざるを得ない。これは仕方ないですよ、縛られちゃってるんでね、不可抗力ですから、ええ。
目隠ししていても、すぐ横の黒服さんが全て指示、サポートしてくれるので不安は全くない。最初の謎を解き、光を取り戻してアイマスクが外される。真っ先に手錠とロープを確認。わー、本当に繋がってる・・・。しかもロープにはご丁寧に鍵までかかっている。目の前の壁にかかっていたカーテンがなくなっており、そこには謎が貼られている。机の上にも鍵のかかった小箱やら、怪しげなアイテムが。やばい、いきなり分からない・・・。隣にいる琴音ちゃんに話しかけるも、悲しそうな表情。どうやら彼女は声が出せないらしい。
キャバクラなのに女の子と話せない!これは斬新!という衝撃を受けつつも、頑張って謎を解く。横でじっと見つめてくる琴音ちゃんの視線に緊張して、なかなか頭が回らない、というのは言い訳で本当に分からなかった。一生懸命、表情や、首を振ったりする仕草でサポートしてくれる琴音ちゃん。うぅ、不甲斐ない客でごめんよ・・・。一瞬、このまま繋がれてても良いんじゃね?という発想が頭をよぎるが、制限時間15分で脱出しなければいけないので、邪念を振り払い謎解きに集中。黒服さんからヒントをもらったり、琴音ちゃんのジェスチャーなどで助けてもらい、何とか一つ目の箱が空き、手錠の鍵を取り出すも、あせって上手く開かない。すみません、手錠は初めてなもので・・・。
その後も次から次へ謎が出てくる。大部分を手伝ってもらい、謎を解くも時間切れ。しかし、ご厚意で続けさせてもらう。2つ目の箱が空き、ギリギリだったかー、と思ったら中にもまだ謎があった。全然ギリギリじゃなかった。服に貼られた紙を鏡で見ないと答えが分からなかったり(本当は顔にスタンプが押されるらしい)、ただ謎を解くだけでなくそこにある道具を上手く使わなければいけない。
ある謎で答えが‘せなか’だったのだが、私の背中も、琴音ちゃんの背中にも何もついていない。背中も触らせてもらうが、異物感はない。戸惑っていると、
黒服さん 『もっと良く見た方がいいんじゃないですか?』
私 「え!?・・・じゃあ、あの、ココ(衣装のホームズ風インバネスコートのケープ部分)とかめくって大丈夫ですか?」
黒服さん 『大丈夫です』
ケープ部分とは言え、女の子の服をめくるのはちょっと気がひけるが、失礼してチラッ。しかし何もない。
私 「あれー、やっぱり何にもないなぁ」
黒服さん 『もっと良く見てみてください』
良いんですか!?もっと良く見ちゃって良いんですか!!緊張マックスで服(ケープ)をまくり上げると、首の下あたりにキーワード発見。もちろん、見えるのは服の布地だけなんですが、何、この感じ。何、このドキドキ。何か目覚めちゃったらどうしてくれるの。女の子、しかもアイドルの服を合法的にペロンと出来るなんて、なんて素敵なキャバクラでしょう。ケープの下をチェックするだけでここまでドキドキするとはね。
ようやく琴音ちゃんも声を取り戻し、最後の謎を解いて、ラストは2人で両手を繋いでフィナーレ!!恐ろしく不出来な自分を、どこまでも優しくフォローしてくれた、黒服さんとキャバ嬢・浅川琴音ちゃんに感謝。あまりにテンパっていたので、若干事象が前後しているかもしれない。おそらく謎の半分、いや、四分の一くらいしか自分で解いていない気もするが、あれだけ出来なかったのに、また挑戦したい、という気分にさせられる。
今回使われた道具、謎の一部
琴音ちゃんと謎たち
琴音ちゃんと名刺を交換させてもらったが、さすがパズルガールズ、名刺まで謎になっている。
謎解きアイドルが隣に座って、数々の謎を解く、というシステムはアイドルのファン、謎解きのファンにとってはたまらないシチュエーションだ。また、舞台装置は小さな椅子と机と小道具だけ、というシンプルなものだが、座ったままであそこまで色んな体験が出来るとは驚きだった。
イベント中は次に一体何が起こるのだろう?という緊張と期待、終えて感じたのは充実感だった。普通のキャバクラで、ここまで健全な充実感、達成感を感じることができるだろうか?リアル脱出ゲームの魅力は、ある物語の世界に入ったような感覚、と多くの人が語るがそれが分かる気がした。ごっご遊び、と言われたが、そこにあったのはキャバクラとはまた違う、完成された一つの空間だった。
これからもさらにドキドキワクワクさせてくれるイベントを生み出すであろう、SCRAPとヒミツキチラボ、今後も注目である。
2014.01.10 文・写真 篠崎夏美