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いくつ知ってる?日本人も知らない世界一 企画展「THE 世界一展 ~極める日本!モノづくり~」

アイコンあっちも、こっちも、世界一!日本は世界一だらけだった。

2014/04/16(公開:2013/12/21)
企画展THE 世界一展 ~極める日本!モノづくり~」

日本科学未来館
 

 

世界一’の日本の技術、製品、プロジェクトなど、日本全国から集められたおよそ200点以上が展示されている。9月まで大阪のナレッジキャピタルで「THE 世界一展 ~魅せますニッポンの技と人」として開催されていた。東京での開催にあたり、展示が変更されている部分があり、関東初公開のものもあるという。

また、これまで日本科学未来館で行われてきた展示とは少し異なる展示でありながら、同時に日本科学未来館らしいアレンジもされているとのこと。 


ポスター
宝船に`世界一’の製品たちが乗っており、これらが日本の宝物であることを表している。私たちの暮らしの中には、知らずに使っている沢山の世界一の宝物があるのだ。
 それをこのイベントで見つけて欲しい、という願いも込められている。

今回の展示はモノづくりパワーに焦点を当て、「技の伝承」、「自然との共生」、「こだわり」、「もったいない」、「おもてなし」というキーワードをもとに日本のモノづくりを読み解く。古代から現代までのモノづくりを辿るストーリーになっている。  


協賛企業がずらり。こうした企業、団体が日本の世界一を作っている。

 

 


縦軸が「売上高・市場」、横軸が「世界シェア」
右下の赤い部分は小さい市場ながらも世界シェアほぼ100%の製品が並ぶ。自動車などに比べて売上高は少ないものの、小さな町工場などが支えている世界一もある。一つの工場が無くなるだけで、作れなくなってしまうものもあるかもしれない。
 

 


前回の伊勢神宮式年遷宮に使われた道具
こうした道具が展示されるのは珍しいことだそう。式年遷宮は20年に一度だが、職人たちは一生に三度関わるという。最初は見習い、次は実践、最後は先の時代に技術と心を伝える。こうして伝統は1300年も続いてきた。 

 

 


金継ぎされた器
昔、子供が生まれるとお椀とお箸を贈り、ずっとそれを使う風習があった。今でも自分のお椀やお箸で食事をするが、こうした文化は日本独特のものである。金継ぎは割れた器をまた使えるようにする、というだけでなく、より美しく再生させるための技術である。


 


裂織(再生衣類)
古くなった布、着物を裂いて糸状にし、また織り直す。ボロボロになった布は作業着にしたり、ほどいて紐として使ったり、最後は燃やして虫よけに使うなど、とことん使い切る「もったいない」精神が詰まったものだ。様々な糸や布が集まり、独特の風合いがある。

 

 


レクサスGS バンブーステアリング
竹で出来たハンドル。触ってみると、驚くほど滑らかでしっくり手になじむ。高知県産の天然の竹を使用している。竹は木に比べて成長が早く環境にも優しい。日本には昔から竹の加工技術が培われていたからこそ、実現したアイディアである。 

 

 


木造自転車(マホガニーバイク)
高級木材マホガニーで作られた自転車。芸術品のような美しさだが、実際に使用でき、製作者の方はこれで通勤しているそうだ。金属製のフレームより、良くしなる為通常の自転車よりスピードが出ることもあるらしい。船造りの技術を生かして作られている。

 

 


日本刀
世界最高峰の刃物。伝統のたたら製鉄で作られる。木炭を大量に使うたたらだが、木を伐採したところには植樹をしたり、田んぼとして使ったり、土地を移動しながら資源を継続して使える方法をとっていた。当時の技術でもかなり純度の高い製鉄を行っていたが、現在の技術を使うと99.999パーセントという高純度鉄が作れる。 

 

 




四季折々の植物などをモチーフにした和菓子と色。
美ししい菓子や、色は海外にもあるが、季節の移ろいをここまで繊細に表現したものはないのではないか。どの色とどの色が合うか?という組み合わせまで載っている。

 


回転寿司のチェーンレスコンベア
騒音、振動がなく、指を挟んだりするリスクが少ない。そして、何よりスタイリッシュだ。コンベアの上では、食品に関する様々な世界一が回っている。
 

 


この機械の正体は・・・
 

 


自動イカ釣機
イカを釣るための動作「シャクリ」、熟練が必要となる微妙なこの動きも、様々なパターンが登録されている。イカ漁はかなり過酷なものだが、今では日本のイカのおよそ70%がこの機械で釣られている。

また、展示品一つ一つに付けられているキャッチコピーが秀逸である。200点を超える製品全てについているので、企画者は大変だったと思うがなかなか面白いのでぜひチェックしてみて欲しい。この自動イカ釣り機もニヤリとしてしまうコピーが付いていた。

 

 


食品サンプル
食の世界一では食べられないけれど、忘れてはいけない日本の名物。食品サンプルという発想も独特だし、その精巧さは外国人だけでなく、我々日本人ですら驚くレベル。特にお刺身の艶、鱗は非常にリアル。近寄って見ても偽物とはなかなか分からない。

 

 


自動販売機を側面から見たところ
温かい飲み物と、冷たい飲み物を同時に販売できる自動販売機は日本が初めて開発した。上から下に徐々に温度が低くなっており、効率よく冷やせるようになっている。また、缶の通り道が波型になっており、補充がしやすく、缶が傷つきにくい構造になっている。

こうした‘缶が傷つかないように’といった配慮は「おもてなし」にも通じる。お菓子の袋には乾燥剤、ひとつひとつ個包装され、開けやすいように小さな切り口・マジックカットまでついている。過剰とも言われるくらいの配慮も、気持ちよく食べてほしい、というおもてなし精神の表れである。

 

 


レスリング・吉田沙保里選手のユニフォームと靴
選手も世界一だが、選手を支えるユニフォームやシューズなどの技術も世界一。 

 

 


撮影スポット
一見普通の部屋だが、近づいて見ると驚きの発見が。ぜひ実際に見て、触って、確かめていただきたい。

 

 


体験ゾーン
殆どの展示は撮影可。また、実際に触れる展示も多い。

 

 


特殊な繊維を握ってみる
しばらく握っていると、不思議なことが・・・。実際の洋服に使われている技術だ。

 

 


世界一大きなファスナー、世界一小さなファスナー
大きい方は手のひらくらいある。小さい方は、一瞬分からない位細い。実際に開け閉めできるので、その感覚の違いを試してみよう。

 

 


世界 最多1万3262個の本真珠付きウエディングドレス
桂由美さんデザイン。昨年ギネス登録された。イミテーションではない、本物の真珠が付いたドレスを作るのは、48年来の夢だったそう。

 



すべて手縫いでつけられている。

 

 


今昔のおもちゃ
平和な時代になると、こうしたおもちゃが発達するらしい。日本の娯楽、文化の一部を作り上げてきたのはこうした遊びの精神なのかもしれない。

 

 

 
タカラトミー・トミカ
こうしたおもちゃにもリアルさ、精巧さを追求するのが日本らしい。子供だけでなく大人も楽しめるコンテンツになっている。

 

 

 

 
何もない画面にルーペをかざすと、絵が現れる。角度を変えると色が変わったりしてとても面白い。すごくシンプルだが不思議で、何度もやってしまう。

 

 

 


小さな小さなクワガタ

 

 


小さな小さな世界地図
右ではなく、左のルーペの下にあるチリのようなものが、右に描いてある地図なのだ。

 

 


小さな小さなバネ
砂金のようにも見えるが、極小のバネである。小さく作るだけでなく、それが均一で、もちろん正常に機能するところが日本のモノづくりクオリティーである。とことんまで突き詰める気質が表れている。

 

 


東京水
東京でのオリジナル展示。どこでも綺麗で、一定の水圧が出る水道は世界に誇れるもの。上水だけでなく、下水システムも世界有数のものである。また、最近では災害になどに備える表には出ない「ウラ」にも最先端技術が使われている。

 

 


アルミ製バイオリン
打ち出し板金で作られている。これは新幹線の先頭部‘顔’を一つ一つ、手作業で作る職人の技で作られている。 専用の型を使わず、職人さんが何度もハンマーで叩くことで、金属を伸び縮みさせて立体的にする。手前の使い込まれたハンマーと、きらめく楽器の対比が印象的だった。 

 

 

 
宇宙開発
これまで培われた日本のモノづくりの総集編。技術、知識、心意気の集大成がここにある。低予算、少人数、少ない材料でどこまで出来るか?という挑戦でもある。はやぶさなどは、本当に限られた時間と予算の中で工夫をこらし、しっかりと任務を果たしてきた。日本の技術と工夫は、最低限のものでしっかり結果を残せる信頼できるものとして海外からも高い評価を受けている。

 

 


スカイツリー
最新技術だけではなく、法隆寺にも使われている「心柱」が東京スカイツリーでは制震技術として取り入れられている(法隆寺などの五重塔での「心柱」使用用途は不明)。最新、最良の知恵、技術を使って作り上げる、という心意気は1000年以上前から変わらない。また、フォトコーナーでは普段は一部の関係者しか入れない、スカイツリーのてっぺんにいるような写真も撮れる。 


 


みんなでつくる世界一
来場者も参加出来るインスタレーション。これまで紹介された世界一に拍手を送る。至近の映像は手前に表示され、時間が経つとどんどん後ろに並んでいく。 

 

200点以上の展示一つ一つに物語があり、見入ってしまう。また、実際に触れられるものが多かったので大人から子供まで楽しめるだろう。

日本で生まれた素晴らしい「世界一」の宝物たち。これほど多くの宝物があることに、改めて気づかされた。そして素晴らしい技術はもちろんだが、伝統やモノを大切にする心を持った日本に生まれたことを、とても幸せに思える展示だった。

 

 

2013.12.20 文・写真 篠崎夏美

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