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グロテスク?美しい?生きるためのカタチ 「ケモノノカタチ 東京大学総合研究博物館 スクール・モバイル ミュージアム」

アイコン全てが生きるために作られている

2014/04/16(公開:2013/11/14)

東京大学総合研究博物館スクールモバイルミュージアム ケモノノカタチ 

東京・ 文京区教育センター別館
東大博物館がやってきた!(第4弾) 「ケモノノカタチ」展

動物園などで生き物の「外側」は見たことがあっても、間近で角や毛皮を見る機会は少ない(もし野生で見る機会があるとしても、その前に逃げられるか、襲われてしまうだろう)

さらに、骨や筋肉などそうそう見られるものではない。しかし、このイベントでは、そんな動物たちの骨、角、歯、毛皮を間近で観察し、触れることも出来る。

 

 
アジアゾウの頭部、前足の骨。
岩かと思うほど大きい。あまりの大きさに身体のパーツという感じがしない。あの巨体を支えるためには、これぐらいの太さの骨が必要なのだろう。

 

 


ラッコの毛皮
ラッコは意外に大きいことが分かる。ラッコを見ると、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」で、ジョバンニがザネリに言われた『らっこの上着がくるよ』という言葉を思い出す。細かい毛がびっしり生えていて、冷たい海水から身体を守れるようになっている。

 

 


ニホンジカの角
かなり重い。これが2本も頭についているなんて、首や肩が凝りそうだ。

 




ダマジカの角
主にヨーロッパに生息しているそう。形などがエゾジカと異なるのが面白い。

 


ネコ、イノシシ、イヌの毛皮
イノシシの毛皮はかなり固く、木の繊維のよう。犬、猫は普段触れる機会があるがこうして毛皮の状態になったものを見るのは、中々ショックだった。特に犬は以前飼っていた犬にそっくりで、正直辛かった。鹿の角や、ラッコ、イノシシの毛皮は平気で、犬猫の毛皮には動揺する。これも人間の勝手ではあるが、それだけ愛着がある生き物ということだろう。

 

 




シロサイの角
毛が変化したもの。良く見ると繊維状のものが集まっていることが分かる。ライトの光が透けて見える。

 

 


ヤクの頭部
大きな角が頭蓋から生えている。

 

 


アメリカバイソンの頭部
角は外側が外れるようになっているらしい。

 

 

 
角の内部
ここに頭蓋の一部が発達した骨がきっちり嵌るようになっているのだろうか。

 

 

 
ライオンの頭部。
かなり顎が大きい。牙も大きく、するどく、一口齧られただけでも大変なことになりそうだ。

 

 

 


牛の臼歯。
ここで草をすりつぶして食べる。奥歯のような歯がたくさん並んでいる。

 

 

 

 


キリンの頭部
牛や、鹿よりも、頭蓋がそのまま変化した角の形が良く分かる。

 

 


クロコダイルの頭部
歯が何回も生え変わる。新しい歯が準備されている。こんな顎で、こんな歯で、何度も生え変わるなんて、チート過ぎる。入口の説明でも触れられていたが、ワニだけ‘ケモノ’ではない。

 


シマウマの筋肉(乾燥処理させたもの)
黄金長方形が書いてある。筋肉も黄金比によって作られているということか。ヒトの筋肉もらせん状に骨に絡みついているそうだ。自然に作られたものにも、細部まで計算された美しさがある。

 

 

 
オオツノヒツジの頭部
対になった角のカーブが美しい。

 


ビックホーンシープ
なぜこのようにらせん状になる必要があったのか?不思議だ・・・。

 

 

 
ユキヒョウの毛皮
今回の展示で一番興味深かった。以前旭山動物園で、金網に乗っているユキヒョウを下からみたのだが、ふわふわとした毛が印象的だった。それがこんなに間近で見られるとは。触れなかったのが残念。

 

 

 

動物園では見られない貴重な標本の数々をケース越しではなく、間近に見ることが出来て興味深かった。ケモノの匂いさえ感じられそうなくらい近くで観察が出来る機会はなかなかないのではないか?

この地球上には、様々な動物がいる。種類、見た目は違えど、多くの生き物(ケモノ)たちの身体を作っているパーツは共通している。毛皮、筋肉、骨・・・。それはヒトも同じ。それぞれの環境を生き抜く為に作り上げられた‘カタチ’は、不思議で、とても機能的な美しさを備えている。

 

2013.11.14 文・写真 篠崎夏美 

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