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絵の中にいるのはあなたかもしれない。いつの間にか‘見られている’・・・。「森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」

アイコン絵画の‘あちら’と、‘こちら’を行ったり、来たり

2014/04/16(公開:2013/09/29)

「LAS MENINAS RENACEN DE NOCHE

森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」

東京・SHISEIDO GALLERY

 

 


スペイン絵画の巨匠、ディエゴ・ベラスケスの名画「ラス・メニーナス」をテーマにした、森村泰昌氏の写真作品が展示されています。森村さんは、セルフポートレートによって、自らを世界的に有名な絵画、有名人などになってしまうというアートで、世界的に知られているアーティストです。

 


ベラスケスのシルエット

 

 

森村さんは、「ラス・メニーナス」に出てくる、11人の登場人物になり、絵画を再現しています。さらに新たな物語を作って、全8幕の一人芝居として表現しています。

 


プロローグ

 

 
第一幕

 

 
第二幕

 

 
第三幕

 

 
第四幕

 

 
第五幕

 

 
第六幕

 

 
第七幕

 

 
第八幕

 

何とも不思議な作品たち・・・。

 

 
いつの間にか、絵の中に森村さんが・・・。画家、王と王妃は消えています。

 

 
この人たち、いつの間に絵から出てきたんだろう・・・。そして、私はいつの間に彼女たちの後ろに来てしまったんだろう・・・。

 

 
マリア・バルボラと、マルゲリータ王女の衣装とかつらが展示されています。敢えて、彼女たちを後ろから見せることで、絵の中に入りこんでしまったかのような錯覚を感じます。これは実際に作品の前に立って見ていただくと、その不思議さが良く分かるでしょう。

 

 
登場人物それぞれの写真も。

 

 
画家:ディエゴ・ベラスケス

 


宮廷道化師 小人:マリア・バルボラ

 

 
宮廷道化師 小人:ニコラ・ペルトサート

 

 
女官:イサベル・デ・ヴェラスコ

 

 
王女:マルゲリータ

 

 
女官:マリア・アグスティナ・サルミエント・デ・ソトマイヨール

 

 
王妃:マリアナ

 

 
国王:フェリペ4世

 

絵の中ではぼんやりとして、顔が良くわからないので、ラス・メニーナス以外の肖像画も参考にして作成されたようです。これを全部一人の人がやっているというのもすごいですが、かなり精巧に作られた衣装、かつら、その人に‘なりきる’メイクの完成度に驚き。

最近、メイクで有名人、アイドルそっくりの顔になってしまうという、ものまねメイクが話題になっていましたが、森村作品の場合、性別、年齢、国籍まで変えてしまうというもの。その集大成とも言える展覧会です。

絵の中のドア、鏡などの効果で、作品中の登場人物、そして外の鑑賞者が逆転。絵の中の人たちも、いつの間にか場所が変わっていたり、いなくなっていたり・・・。ギャラリーで作品を見ている自分、プラド美術館で「ラス・メニーナス」を見ている森村さん、モデルを見ているベラスケス、鏡の中の国王夫妻、など、様々な人の立ち位置と、視線が変化し、交錯します。

写真の額のガラスが反射し、まるで合わせ鏡のような役割を果たし、どこまでも不思議な世界が続きます。自分がどこを見ているか分からないどころか、一瞬どこにいるかも分からなくなるような、奇妙さと恐怖を感じました。

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