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【地球最強】遂に、地上最強の生物が決定!!

アイコンクマムシvs.極限環境微生物、果たして勝者は・・・

2014/04/16(公開:2013/09/26)

クマムシ vs 極限環境微生物

地上最強はどっちだ?!研究者の意地がぶつかり合う生物トークバトル!

 東京都・ロフトプラスワン

 

 

‘クマムシ’という生き物をご存じだろうか?

緩歩動物(かんぽどうぶつ)という種類で、体長はわずか1㎜以下。苔、土の中、水中など幅広いところに生息している。英語では「Water Bear」と言い、種類によってはずんぐりしたクマのような体形をしている。その可愛らしい姿からも人気となっている。

それだけではない。クマムシを一躍有名にしたのは何と言っても‘不死身’、‘地球最強’とも言われるその生存能力だ。極度の高温、低温、紫外線、圧力、放射線、そして宇宙でも生存可能というデーターがある。また、仮死状態になれば数年後に蘇生することもあるという、驚異的な生物。

メディアなどで取り上げられ、そんなハイスペックとは裏腹の愛らしいルックスで、たちまち人気となった。特にクマムシ博士こと堀川大樹氏は、若き研究者として、本を出版するなどクマムシ人気の立役者の一人でもある。

 

しかし、そんなクマムシと、堀川氏の人気を快く思わない学者(と、生き物)がいた・・・。極限環境微生物と、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究者・高井研氏だ。高井氏は、会ったこともない堀川氏にいきなり喧嘩をふっかけた!!(堀川氏曰く「学術的地位が高い人からの一方的な、アカデミックハラスメント」)

そして、戦いの場はWEB版ナショナルジオグラフィックへ。このあたりの経緯と、両氏のコメントは大変面白いので、ぜひ見ていただきたい。


そして、遂に両者は、直接対決を行うことに・・・。

 


入場時に‘クマムシ党’のバッチが配られた。これも戦略か?頭の上のは脱皮した殻かと思ったら、髪の毛らしい。

 


グッズ売り場。やはりクマムシさん、可愛い・・・。

 


先日発売された堀川さんの著書。

 


対する微生物側は「スケーリーフット」という、貝なのに鉄の鱗を持った生き物のマグネット。渋い、渋すぎる・・・。そして、何より‘微生物’じゃない!同じ深海仲間というだけ。しかし、まさかこのスケーリーフットが思わぬ波乱を巻き起こすことになるとは・・・。

 


こちらは高井氏の著書。

 

 


いろんなクマムシぬいぐるみ。もちろん、こちらが堀川氏の席。ちなみに、左のチョンマゲのように見えるのは、深海にある‘チムニー’という熱水噴出孔らしい。一応、対戦相手にちなんだものを「つけてやった」ということ。

 


堀川氏と、司会の‘虫好きブロガー’メレ山メレ子さん登場。対戦相手の高井氏はどこかにいってしまったらしく、出てこない・・・。

 

ちなみにメレ子さんは、アゲハチョウの幼虫をイメージしていて、緑の服に黄色の触覚カチューシャ(ガンダムではない)、胸元にはチョウのブローチも。服も可愛けりゃ、顔も可愛い。実写版‘虫愛でる姫君’ナウシカやれるんじゃないだろうか。

Twitterでは「明日の最強生物トークバトル、クマムシと極限環境微生物の どちらを応援したものかいまだに決めかねている人は前門の虎後門の狼状態になるで あろうMCメレ子を応援してください…!」とつぶやいていて、二人の研究者の板挟みとなる苦悩が伝わって来た。

堀川さんはファンの方お手製というフェルトのクマムシベレーを被りこなしていた。

 


高井氏不在のまま、クマムシプレゼンは続く。表は高井氏が作ったもの。いかに極限環境微生物が優れているかを示しているらしいが・・・。「マジカル☆樽るート」とか懐かしすぎる。表はナショジオのWEB版にも掲載されているので、詳しくはそちらを。

 


可愛いすぎるクマムシ助手。緑のはクマムシのエサ、クロレラ?

 


ここでいきなり「クマムシさんの唄」ライブが始まる。

 


可愛すぎるクマムシ助手登場!

 


助手さんが、ウクレレを弾きながら「クマムシさんの唄」を歌う。可愛い!

 


そして歌も可愛い!『かんぽ かんぽ かんぽどうぶつ 最強生物 クマムシさん~♪』みたいな歌詞で、今も頭から離れない・・・。

 

 
そんなまったりとした空気が漂う中、怪しい黒ずくめの男たちが・・・。

 


プロレスさながらのマイクパフォーマンスと共に、高井氏登場。着ているのは「海底紳士スケおじさん」のTシャツ。ここでもスケーリーフット。

 


プレゼンを始めようとするも、高井氏のカオスなデスクトップに観客騒然。

 

 
いよいよ高井氏の反撃開始!!色々とヤバイワードが・・・。

 


クマムシ最強教・・・?こちらが色々ヒヤヒヤするワードが・・・。

 


「クマムシなんて、イベリコ豚そっくりで可愛くないじゃん!むしろイベリコ豚の方が美味しいからエライ!」的な発言も。

 


高井氏は二人のお弟子さんを従えての登壇。このお二人も、大変味のあるキャラクターで面白かった。堀川氏も関係者席にクマムシ応援団(クマムシ研究の大家も・・・)がいたのだが、なぜか大多数が極限環境微生物派に寝返る、というまさかの展開。そして、その中には『微生物派になればスケーリーフットの標本を触れるから』という方まで・・・。

 

あっと言う間に前半戦は終了。休憩をはさんだ後半戦は、会場のお客さんからの質問に答えながら、割と学術的な雰囲気で進む。来場者の質問も、思わず唸ってしまうような的を得た、それ聞きたかった!というものばかり。非情に有意義で、面白いイベントだった。

 


堀川大樹氏著「最強生物学講座」

 


高井研氏著「微生物ハンター、深海を行く」

 

 

最後は、高井氏から「クマムシ、微生物、どっちも好きになってくれればいい。研究者がこうして前に出てきて、皆に研究成果を見てもらうチャンスだ」というコメントが。堀川氏からは「微生物が意外に人気があることが分かった(ここにきても毒舌を崩さない堀川氏)理科離れと言われているが、まだまだ捨てたものではない。こうしたことをきっかけに興味を持ってもらえれば」という発言があり、とても和やかな感じで終幕となった。

予想はしていたが、地上最強生物を決める戦いの結果は、‘引き分け’。そもそも「最強」の定義からして良く分からないし、決めようがない、ある意味‘出来レース’だ。しかし、こんなに楽しい八百長ならいくらでも参加したい。

堀川氏も仰っていたが、変な生き物をきっかけに色んな物事に興味をもち、自分の世界が広がるなら素晴らしいことだ。難しく考えず「何これ面白そう!」と思ったらやってみる、人生においても大事なことではないかと思う。

クマムシと微生物から、そんな人生の教訓を学んだ夜だった。

 


2013.09.26 文・写真 篠崎夏美

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