アメリカ・アイダホ州のポスト・フォールズで、2014年にスタートしたランタンフェスト。無数のスカイランタンが夜空に浮かぶ幻想的な雰囲気に、今ではアメリカ全土で開催されるようになり、人気イベントとして注目を集めている。
日本でも待ち望まれていたランタンフェストがついに実現された。
● ランタン、ほんとに上がるの!?
今回は、100組300名の抽選による招待制のイベント。その100組に、約28万通にも及ぶ応募があったとか。なんと2800倍の当選確率!
当日は、朝からの激しい雷雨に不安定な空模様。スカイランタンは天気に左右されやすいそうで、天候の面で開催が危ぶまれた。
ランタン飛ばないかも……と少しあきらめつつも、小雨程度ならフェス自体は開催するとの情報があり、雰囲気だけでも楽しもうと会場へ向かった。
雨上がりの夕暮れどき、ランタンフェストがスタート! 見事、抽選でチケットをゲットしたラッキーな参加者が集まってきた。
会場はステージエリア、ペリエラウンジのあるエリア、ランタン打上げエリアに分かれ、それぞれに広々としたスペースがとられている。
ペリエラウンジエリアの特設スタンドでは、ペリエを使ったカクテルが無料で飲み放題。ペリエのハイボールや生絞りジンジャーエール(ノンアルコール)など、数種類のペリエカクテルが味わえた。
まずは、ペリエカクテルで乾杯! ブルーハワイ、ライム、ブルーベリー風味のシロップも好きなだけ入れられて、見た目にもカラフルで楽しげ。
若い女性の参加者さんたちも乾杯! 「当たってビックリだったけど、うれしい〜!!」と大喜びの様子。
ラウンジには移動式の屋台も登場。 ローストビーフ丼やサラダなどお総菜の入ったランチBOX、出来立てのフランクフルトなど、いい匂いが漂う。
外の空気を吸いながら食べるごはんは最高! いつもより食欲も旺盛になって、しっかりお腹も満たせた。
参加者はカップルでの参加も目立つ。ロマンチックな風景が見られるランタンフェストは、確かにデートにぴったりのシチュエーション。
ひろ〜い芝生で、さっそく寝転ぶ参加者も。かなり気持ち良さそう。「ウェーイ!!」と盛り上がるフェスのイメージ(偏見)が変わる、ゆったりとした空気に包まれていた。
●アーティストによるライブは心地よいBGM
ペリエラウンジと隣接したステージエリアでは、焚火台が数台置かれ、みんな棒に刺したマシュマロを焼いて楽しんでいる。
入場時に、マシュマロの入ったBOXと長い串が手渡されるので、みんながマシュマロ焼きにチャレンジできる。BOXの中にはクッキーとチョコも。
焼いてとろけたマシュマロをクッキーの上に乗せて、さらにチョコレートをトッピング……という合わせ技で、甘〜いデザートも作れる。これがサクサクとふわふわの食感でおいしい!
まったりと過ごしつつ暮れていく空を堪能。アーティストのライブが始まる時間になった。
といっても、「ウェーイ!!」(再び偏見)と盛り上がるわけではない。音楽をじっくり聴きたい参加者が、ステージ前のベンチに集まって、心地よい歌声に耳を傾けるひととき……。
個人的にとても楽しみにしていた、元テラスハウスの卒業生でありシンガーソングライターの住岡梨奈さん。
可愛らしい声で、切ないラブソングを歌いあげる。テラスハウスの卒業ソング「言葉にしたいんだ」も披露。当時の番組を思い出し、思わずグッときた。
甘い歌声に包まれる会場。この頃には、すっかり晴れてキレイな夕焼け空が広がった。ランタンはあがるだろうと確信。諦めなくてよかった!と小さくガッツポーズ。
会場にはSNS専用フォトプリンター「#SnSnap」のサービスも。撮影の後、「#ランタンフェスト」のハッシュタグをつけて、Twitter、Facebook、InstagramなどSNSで拡散すると、パッドに写真が表示され、選択するとその場でプリントできるというもの。
デジタルだけでなく、リアルでプリントできるので記念にもなっていいし、ちょっとした行列ができるほどの人気ぶりだった。
気づくと、すっかり日が落ちて、火の灯りがくっきり見えてくる。
ファイアーショーが始まり、ステージ付近はいよいよ盛り上がる(しつこいようだが、盛り上がるといっても「ウェーイ!!」ではない)。
3人のアーティストによる息のあった炎のパフォーマンスは、とっても幻想的。火の揺らめきに思わず魅入ってしまう。
火の舞いをじっくり鑑賞し、静かに感動。焚火台の火、ダンスの火、ランタンにつながる火の演出を、十分すぎるほど楽しんだ。
たとえランタンが打ち上げられなくても、とてもいい時間がすごせた!と思えるくらいの充実度だった。
● ついに、ランタンが飛んだ! 感動的な光景が……
ランタンフェストのメインイベント、ランタンの打ち上げが行なわれる。来た甲斐があった!と小躍りしたいくらいだった。
参加者全員ランタン打ち上げエリアへ。広いスペースに、十分な間隔をあけて100組分のランタンの用意がされていれる。
各々ランタンの飛ばし方をスタッフから教わる。
大きな袋状のランタンを広げて燃料となる火を覆う。火の周りの暖まった空気でランタンがふくらむ。ランタンは「熱い空気は冷たい空気より軽い」という気球と同じ原理で飛ぶ。
原理はシンプルだが、苦労しているグループも。ランタンの下側を支える人、ランタンの袋部分をおさえる人が2人、と3人一組だとうまくいくのだが、2人組みの参加者が多く、空気が暖まるまでの間、ランタンをおさえるのが難しかったようだ。
スタッフの助けもあり、ほぼ全員のランタンが膨らんだところで、いよいよ打ち上げ。
10、9、8 ……カウントダウンがはじまる。
アメリカのランタンフェストの映像を何度も見て、映画「ラプンツェル」的世界を想像して……。でも、たった100組の灯りでそんな風景が見られるのだろうか。実は、そんな不安もあった。
カウントゼロ。参加者が手をいっせいに手を離すと同時に、会場の灯りが突然消えた。
「わぁ〜」という声がもれる。ゆっくりゆらゆらと揺れながら、ランタンが空へ飛んだ。
初めてみる風景に感動した。今、この瞬間しか見られないから、一瞬でも見逃さなしたくないという気持ちでランタンをジッと見る。
20代くらいの女性の参加者さんが、「ちょっと泣きそうになるほど、感動しました」と話してくれた。映画の感動シーンに弱い筆者も、実際ちょっと泣いた。
頼りなくフワフワと夜空を舞うランタン。頼りないからこそ、いつまでも見てしまう。100個でも1000個でもきっと一緒。ランタンフェストの良さは、数の問題じゃないんだと確信した。
ひとつ、またひとつとランタンの灯りが消えて、空に吸い込まれていく。参加者も会場のスタッフもみんな、最後のひとつが消えてなくなるまで、ランタンを見守った。
ランタンフェスト、また絶対に見たい! と思える素敵なイベントだった。
取材/橋村望