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パン好きの祭典「利きバゲット祭」で、その日焼きたてバゲットを食べ比べ。

アイコン超有名店の人気バゲットと、美味しいおかずでじっくりと“利きバゲ”を楽しめる。

2016/02/09(公開:2015/10/16)



イベント当日の朝に焼かれた、超有名店バゲット数種と、バゲットに合うおかずが味わえる、パン好きにとってはたまらないイベント「利きバゲット祭」が、お台場・東京カルチャーカルチャーで開催された。



実は5回目を迎える大人気イベント。その理由は選りすぐりの名店のバゲットが食べられ、さまざまなバゲットの情報を知ることができるから。

今日も過去に提供されたお店とはまた違う名店のバゲットが登場するだけでなく、それに合う美味しいおかずも多数用意されるらしい。



登壇者はバゲットライフ管理人の平岩さん、横浜市青葉区と川崎市とにパティスリー「Bon Vivant(ボン・ヴィボン)」を開く児玉さん、フードコーディネーターの石井さんの3人。

 

平岩さんオススメの厳選された5店舗のバゲットを楽しみながら、食べるだけではなくバゲットについての知識も深めることができる。

今回はフランスの都市サンテティエンヌで行われている最も有名なパンの祭典のひとつ、モンディアル・デュ・パンに、日本代表として参加した谷口さんが急遽飛び入り参加した。


イベント自体がこの大会の取材を元に進む構成であったため、企業秘密であるはずの裏話もたくさん聞くことができ、会場はかなりの盛り上がりを見せた。児玉さんと谷口さんは、旧知の仲だそう。おかげでこんなに豪華なイベントが実現したのだ!



■パンの世界一を決める。パンの祭典~モンディアル・デュ・パン~とは? 

モンデュアル・デュ・パンは、フランスにおける国民栄誉賞や人間国宝にも匹敵するといわれるMOF(Meilleur Ouvrier de France)のコンクールと同等の課題で争われる、非常に難易度の高いパン職人の祭典。

のため、
作られたパンの味が美味しければよいというものではなく、会場にいる間の振る舞い、身の回りの掃除が行き届いているか、チームの部下をぞんざいに扱っていないかなども評価の対象になる。 

 

飾りパンの競技では、日本から焼いたパーツを持ち込んで会場で組み立てる。そのため、谷口さんは専用のスーツケースを買い、自ら会場まで運び競技に備えたそうだ。その結果、日本チームは味覚と栄養部門で部門賞を受賞、総合でも5位入賞を果たした。

次回は台湾で開催され、上位6チームが上位選を行う。谷口さんら日本チームも、もちろん参加する予定だ。

そして谷口さんは、前半終了に合わせてお店に直帰。休む暇なく、すぐにパンの仕込みが待っているとのこと!

■同じバゲットでもこんなに違う。“利きバゲット”でバゲットを堪能。


バゲット豆知識。パリっとした皮の部分は「クラスト」、ふんわりした中の白い部分は「クラム」、表面のちょっと切れ目が入った部分は「クープ」と呼ばれる。

いつも何となく購入している「フランスパン」、実はさまざまな種類があるのだ。フィセル、フルート、バゲット、バタール、パリジャン、ドゥーリーブルと呼ばれるこれらのパンは、大きさや重さ・形状で名前が付けられる。


『バタールは「バターが多く入っているから”バタール“なんですか?」とよく聞かれますが、違います』(児玉さん)とのこと。正解は棒状の形をしているフランスパンで、太さがパリジャンとバケットの中間にあるから。バタールの日本語訳は「中間の」という意味を持つ。 

提供時には店名が伏せられ、それぞれが持つ味の違いを楽しむ時間が取られた。 この日用意された五種類のバケットは、Boulangerie et Cafe Main Mano、Bon Vivant、タルイベーカリー、Factory、VIRONのもの(写真下・印がついている場所から時計回り)。

 

 「まずは『素バゲット』、その後でバターやオリーブオイルと一緒に味の変化を楽しんでください!」と配られたバケットは5ピース。

全て合わせると、普通サイズのバケット一本の大きさを軽く超えるほど。さらにアンコールバケット(お代わり)も用意されていて、ほぼ食べ放題の状態だった。

利きバケットをしてみて感じるのは、同じ「バケット」なのにまったく味も香りも食感も異なること。クラストのざっくりとした食感やクーペのもっちり感、全体の塩加減と甘味のバランスで、5種全てがまったく違う世界を作っていた。


また、バターと一緒に食べたり、前菜とともに味わったりすることで風味の印象ががらりと変わる。筆者は素バケットで味わう時には、穀物の味や香りを感じるような甘味の少ない、ハードな食感のものが好みだった。けれどもバターを載せると好みが変わり、マイルドにバランスが整った、全体的に個性が控えめなものを美味しく感じたのだ。

『パンを焼く側も、食べるシーンに合わせて作り方をこだわっています。例えば、うちのBon Vivantではパン以外の物と一緒に食べることを前提として、塩分は控えめにしています』(児玉さん)とのこと。

会場でも「素バケットでは塩味が強いものを美味しく感じたけれど、おかずと一緒に食べるとまったく別の種類の方が合うように思った」など、食べ方によって感じる味わいが変わることに驚いたという声が多く聞かれた。

 


バケットによく合う前菜とスープもサーブされた。前菜の一品として出されたチーズは、なんと平岩さんが今日のお客さんたちに食べさせてあげようと、フランスで購入してきたもの。手荷物として大切に機内持ち込みして、用意されたものだった(この説明に、会場からは本日一番の大歓声があがった)。



利きバゲットを楽しむ間は登壇者がお客さんの席を回り、バゲットについてのレクチャーをする時間が取られた。


友達同士で来場したというふたり。味の印象を伝え合いながら、利きバケットを楽しんでいた。

 

■実は世界一のパン職人は台湾にいる! 知られざる台湾のパン事情


後半はフードコーディネーター石井さんによる、台湾のパン事情についてのレクチャー。台湾はモンディアル・デュ・パンの優勝国であり、庶民派のお店から、1000円以上もするようなパンを売るセレブなブーランジェリーまで、幅広く店舗展開がされているそう。

 


レトロな雰囲気のパンやお店も多い




クープ・デュ・モンド・ド・ラ・ブーランジュリーの、第1回マスター・ド・ラ・ブーランジュリーのパン部門優勝者、呉さん作・ライチと薔薇のパン。日本円で1500円ほど。


石井さんによると、台湾で多く売られているパンの特徴は、卵とバターやラードなどの油がたっぷり使われていること。「カロリーは高いけれど、甘くって美味しい!!」のだそう。写真を見ているだけで、こってりした甘さが伝わってくる。 




日本のものと似ているパンも。
ただし、日本語表記ではメロンパン。台湾では「パイナップルパン」なのだそう

 
もちろん、「バゲット」も漢字表記。


昭和っぽい雰囲気のパン屋さんの看板を見ると、「布列徳」(ぶれっど)と当て字が!

 

最後に平岩さんに、バゲットの楽しみ方について教えてもらった。

「バゲットが一番美味しいのは、焼きあがってから6時間の間だと言われています。すぐに食べないのであれば、買って来たら冷凍保存してしまうのが、新鮮さを保つポイントです。」

なお、冷蔵庫保存はパンのでんぷんが劣化するスピードが一番速いとされる温度帯に近いため、 オススメできないそう。

「バゲットはクラストのパリパリ感と、クラムのふわっとした食感の差が大切です。食べる前にトースターで軽く焼き直すことで、焼き立てに近い味わいを楽しめます。」

保存や焼き直しの手間を惜しまないことが、焼き立て本来の味わいを楽しむ秘訣だそうだ。せっかくバゲットに詳しくなったこの機会に、パン屋さん巡りをしてみたい。


取材/小松田久美








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