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日本一接客のいいお化け屋敷!? 「オバケン」のホラープランナーに聞く、ホラーの楽しみ方。

アイコンこれまでにないお化け屋敷を作り出す、オバケンのホラープランナーとは?

2016/02/09(公開:2015/10/10)
東京・方南町にあるお化け屋敷「オバケン」。映像制作会社のスタッフが手作りで始めたものだが、そのクオリティの高さ、他のお化け屋敷にはないギミックで多くのファンを獲得している。また、リピーターが多いことも特徴だ。 



これまでに超難関のお化け屋敷「迷図」や「ゾンビキャンプ」など、数々の本格ホラーイベントを開催してきた。そんな「オバケン」が10月18日に、本格ゾンビラン「OBAKEN RUN」を開催する。




これまでにないお化け屋敷「オバケン」を作り出すオバケンのホラープランナーとは、一体どんな人物なのだろうか? その怖さと魅力を 「オバケン」のホラープランナーに訊いた。

■オバケンについて

――「オバケン」とはどういうお化け屋敷なのでしょうか?

オバケンは2012年7月に方南町の住宅街に作られたお化け屋敷です。ミッションクリア型の内容と映像制作会社ならではの映像を使用し、「他に無い物」をコンセプトの一つとして手作りお化け屋敷として始めました。

企画を考えるホラープランナーは、オバケンさんとPV・CM等の映像ディレクターを兼務する吉澤ショモジです。毎年方南町の常設お化け屋敷はリニューアルをしていて、2014年より月曜定休で営業を開始し、頻繁にイベントを起こす流れとなりました。

イベントではキャンプ場を丸ごと使用したゾンビキャンプ、同様にホテルを利用した「オバケンホテル」、映画などのコラボ、テレビ局主催の大型お化け屋敷などです。
おもてなしを大事にした接客やスタッフのフレンドリーさもリピーターに繋がっている部分もあると思います。

■オバケン×吉澤ショモジについて

様々なホラーイベントを仕掛けるオバケンだが、実はオバケン・ホラープランナーのオバケンさん、PV・CM等の映像ディレクター兼オバケン・ホラープランナーの吉澤さんの二人を中心に作り出されている。

二人の出会いは専門学校。同い年ではあったが、学校ではあまり関わりがなかったそうだ。その後、一緒にPVなどの映像を作り、営業をするようになったという。 


方南町お化け屋敷「オバケン」前にて
右)オバケンさん 左)吉澤ショモジさん
オバケンさん「そういえば、吉澤と2ショットでの撮影は初めてかも……」


――吉澤ショモジさんと組もうと思ったきっかけを教えてください。

オバケンさん 学生時代からずっと一緒で、いろいろ手伝ってもらっていたので自然な流れですね。距離が近づいたきっかけは、一か月ほど一緒にインドに行ったことです。


――吉澤さんの印象を教えてください。

オバケンさん 最初はちょっと怖そうな人かなと思いました(笑)。彼は映像も音楽もやる多才な人ですね。自分は結構ギリギリまで悩むタイプなんですが、彼はアイディアもどんどん出てくる、根っからのクリエイターだと思います。作風も僕とは異なるものを持っていて、補いあっている感じです。


――オバケンさんの印象を教えてください。

吉澤ショモジさん 自分にはないものを持っていますね。僕は駄目なとこだらけなので、すごいなぁと。ちゃんと経営者としての仕事もやっていますし。


――映像制作からホラープランナーになろうと思ったきっかけは何ですか?

吉澤ショモジさん 気づいたらホラープランナーと言われていたんですよ(笑)。最初に『お化け屋敷のつくり方』という本を読んだら、そこに“我々はホラープランナーです”みたいなことが書いてあって、こういう肩書があるのかと。

「じゃあ、僕たちもお化け屋敷作ってるし、ホラープランナーだね」って名乗ってたら、実はホラープランナーと呼ばれる人たちって5人くらいしかいなかったんですよ。後で勝手にホラープランナーを名乗っていたことを謝りました(笑) 。



――そもそもなぜ、住宅街にお化け屋敷を建てようと思ったのでしょうか?

オバケンさん 自分の住んでいる街で楽しめたらいいなと思いました。街自体が面白くなればとか、街ごと遊園地みたいにしたらどうか? という発想ですね。


――近所にお化け屋敷があることに、周りの方はどのような反応ですか?

オバケンさん 普通、自分の家の隣がお化け屋敷だったら、ちょっとイヤじゃないですか(笑)。でも、地域の人たちはすごく温かく迎えてくれて安心しました。うちは地域密着なので、系列の飲食店も含めて会社ぐるみで商店街やこの街を盛り上げていけたらいいですね。


――主にどんな方が参加されますか?

吉澤ショモジさん 20~30代の大人が多いですね。子供はほとんど来ないですが、一割くらいかな? 男女比でいうと、4:6で女性が少し多めです。

オバケンさん ゾンビが好きな方、幽霊が好きな方、いろいろですね。(方南町のお化け屋敷の他にも)ゾンビキャンプなどのイベントを行っているのですが、そこから「迷図」に来る人もいますし、その逆もあります。



――「オバケン」の強みはなんでしょうか? また、競合との差別化でどんな工夫をされていますか?

オバケンさん やはり固定の“場所”があることは強みですね。また、一般的なお化け屋敷は機械などを使っている部分もあり、誰が入っても同じ反応、ということがあります。でも、オバケンは全て手作りです。自分たちで作ればオーダーメイドですから、間やタイミングの調整も可能です。

吉澤ショモジさん 普通は一度お化け屋敷を作ると、間取りはずっと同じになってしまいますが、ここは毎回壊して再度作っているので、全く違うものができますから。

また、完全予約性というのも特徴です。オバケンのお化け屋敷は、大体一回に30分くらいかけてじっくり楽しんでもらえますが、他のお客さんとバッティングしてしまうと、その分待ち時間がかかってしまうので……。そうしたストレスや負担をなくすためにも予約制をとっています。一組一組に最高のシチュエーションで楽しんでほしいですね。

あとは、それから今までになかったものをやろう、ということを意識しています。実写映像だったり、演出であったり、脱出ゲームの要素であったり、様々なものを取り入れています。



――今後どんなヤバい仕掛けを考えていますか?

吉澤ショモジさん いつも次の次くらいまで考えてます。次はどんなことをやろうか、早くやりたい! という気持ちです。

オバケンさん まだ言えませんが、いろいろと考えていますよ(不敵なほほえみ)海外進出や、ホラーが苦手な人も楽しめる「忍者屋敷」のような新しい試みもやってみたいです。

■オバケン・ホラープランナーがホラーについて語る。

――どういったところから制作のヒントを得ていますか?

オバケンさん 小さいころからホラー映画が好きで、よく見るのでそうしたところですね。あとは遊びに行った先でヒントを得たり、街を歩いていて見たものだったり、いろいろなところにアイディアがあります。

吉澤ショモジさん 僕は間取り図マニアで、間取りを考えるのが好きなんです。あとはパズルゲームも好きで「迷図」はそこからひらめきました。電化製品を使ったアイディアを取り入れることもありますし、日常全てから発想を得ています。


――ずばり、ホラーの魅力はなんですか?

オバケンさん 映画の世界を疑似体験できることでしょうか。安全な中で、例えばゾンビ映画の世界観に入り込めるというか。戦争がある国には、お化け屋敷ってないと思うんです。平和で安全だからこそ、こういうことができるんですよ。

吉澤ショモジさん 僕もオバケンさんと同じで、非日常を体験できることだと思います。お化け屋敷に来る人はみんなそうなんじゃないかな。いつも同じ毎日ではなくて、刺激が好きな人たちですよね。



――これまで開催されたイベントで一番印象深いエピソードを教えてください

オバケンさん たくさんありますね~。例えば、女子高生の娘さんがいるお母さんから「ゾンビに追われるのが夢でした。その夢が叶いました!」という感想をもらったんです。その方はオバケンのイベントをとても気に入ってくれて、毎回娘さんと参加してくれて、今ではうちの会社系列の飲食店でも時々働いています(笑)。

実はうちのスタッフの9割は、こんな感じで元お客さんなんですよ。外に向けて募集をしたことはないですね。みんな人を楽しませたい、そのためには自分が楽しむ、という姿勢が共通していると思います。

吉澤ショモジさん 具体的なエピソードというか、お客さんの感想を聞くのが好きなんです。そこで「テーマパークより面白かった!」、「人生が変わった! イベントに来てよかった」って言ってくれる人もいて、嬉しいですよね。


オバケン グッズ売り場

――ホラープランナーをやっていて良かったと思うのは、どんな時ですか?

オバケンさん 映像もそうですが、イメージを実体化するのは面白いです。それから、まだ業界としては開拓されていないというか、ふり幅がありますから。どんどん挑戦ができます。
そして、やっていて自分も楽しいです。理想は『こんな楽しいことしてお金がもらえるの!?』と自分も、働くスタッフも思えるようにすることです。

吉澤ショモジさん 自分が考えたことに共感してもらえて、一生懸命作ったものを楽しんでもらえると、やっていて良かったなぁ、と感じます。

僕たちは日本一接客のいいお化け屋敷を目指しています。積極的にお客さんに声をかけたり、それぞれに合わせた演出をしたり。それで来た人が心から楽しんでくれるのが何よりのやりがいです。
方南町のオバケンは複合施設ではないので、皆さんここだけのために来てくれるんです。そうした人たちの期待は絶対裏切りたくありません。


――ホラーが苦手な人でもお化け屋敷やイベントを楽しむ秘訣を教えてください。

オバケンさん 勇気を出して入ってみるのが一番じゃないですか(笑)。入ってみると想像と違うこともりますから。オバケンの場合はミッションなどの楽しみもありますし、クリアできれば達成感もあります。怖かったけど楽しかった! と思えるかもしれません。

吉澤ショモジさん イベントによっては“半ライス”みたいな『お化け少なめ』というのもできます。ただのお化け屋敷ではなく、オバケンは色々な要素がありますから、チャレンジしてみてくださいね。

■数あるゾンビランの中でも別格!?
 「OBAKEN RUN」10月18日開催。


――「OBAKEN RUN(オバケンラン)」について教えてください。

オバケンランの見所は何といっても他の「ゾンビラン」に無い本格的な恐怖空間の演出とミッション性のあるランイベントです。お化け屋敷のプロが作るランイベントも珍しい部分ではあります。

他のゾンビランではお祭り的な要素が多く、どちらかといえば明るいカラーですが、オバケンのお客様の多くはホラーのコアファンが多くいらっしゃるのもあり「ガチ」といった感じでしょうか?


――他のゾンビランとは違う「OBAKEN RUN」ならではの特徴を教えてください。

オバケンさん 今回は6階建ての立体駐車場を会場にしています。天候に左右されず、空間としてお化け屋敷が成立するところがポイントですね。キレイな景色の中にゾンビがいても怖くないじゃないですか(笑)。

本格的な恐怖空間、ミッション、プロによるゾンビの演出、コアなユーザー層などが特徴ですね。

吉澤ショモジさん コースは約5キロあり、大きく分けて3つのパートから成ります。ミッションなどもあるのですが、それらにもきちんとストーリーがあることが特徴です。


――どんな仕掛けがされるのか、お話できる範囲でお聞かせください。

オバケンさん 元々サバイバルゲームなどにも使われている場所で、そこに装飾などが施されたり、特殊部隊がいたり、世界観を演出しています。

吉澤ショモジさん スニーキングミッションもあり、ストーリー性があるマラソンタイプのお化け屋敷、という感じでしょうか。なぜそこに来たのか? どうしてゾンビがいるのか? など物語に入り込んで欲しいですね。


――どんな人にオススメですか?

オバケンさん 非日常を味わいたい人には、特におすすめです。ホラーファンも満足できると思います。

吉澤ショモジさん 距離もあるので、運動不足の人かな(笑)。インドアでホラーゲームをするだけじゃなくて、ぜひ体感型のイベントにも参加してほしいです。

――参加される方、参加してみたい方にメッセージをお願いします。

オバケンさん 絶対にこれまで体験したことがないような体験ができるので、遊びに来てください。今までにない世界が見つかるかもしれません。

吉澤ショモジさん スポーツの秋、ゾンビ映画の中に入り込んだような体験をしてみませんか? お待ちしています。


・・・・・・・

インタビュー後、オバケンさんから恐ろしい話を聞いてしまった。実際にこのお化け屋敷では“不思議なこと”が起こるそうだ。

しかし、オバケンさんは「でも、僕たちは人を楽しませようとして頑張って夜遅くまでやってるんだからさ~。やめて欲しいよね!」と特に気にしていない様子。さすがである。

オバケンさんと吉澤さんにご挨拶をして、とっぷりと日も暮れた薄暗い住宅街を歩く。すると橋の欄干に何やらメッセージが書いてある。先ほどまで怖い思いをしていたので、こういうものまで怖く見える。


思わずドキッとして足を止めると、紙には「カギを置き忘れた方 預かっております」というメッセージ。一瞬怖がってしまって申し訳ないと思うくらい、優しいメッセージだった。お化け屋敷がある街は、温かい人たちがいる街でもあった。

今回のインタビューで感じたことは、オバケンさん、吉澤さん、そしてスタッフの方たちまで、心の底からお客さんに喜んでもらいたい(=怖がってもらいたい)と考え、仕事をしているということ。

ただ怖いだけではお客さんは来ないし、リピーターも増えない。オバケンがホラー好きたちに愛されるのは、怖さの向こうにある作り手の真摯な思いがあるからなのだ。

文・写真/篠崎 夏美

オバケンラン OBAKEN RUN  ~ZOMBIE DAYS~ ZOMBIE PANIC IN KAWABA
開催日:2015年10月18日(日)開演時間:12:00 ~17:00 開場時間:11:30
会場:川場スキー場
定員:250名 金額:Aプラン(現地集合)¥6,000(税別)Bプラン(新宿〜バス)¥9,000(税別)
※チケットの予約はオバケンHPにて。



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