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ド派手な“女装美人”が歌って踊って、お札をばらまく!? 300年以上もの歴史を持つ奇祭にいってみた!

アイコンサンダルは脱げ、取材ノートはふっ飛び……ありがたーいお札を奪い合ってきた。

2016/02/09(公開:2015/07/22)
神奈川県戸塚市に“女装美人”たちが登場する変わったお祭りがあるそうです。

何でも知る人ぞ知る奇祭ながら、最近にわかに注目度が高まっているとか。実際に参加してみるべく、いざ戸塚へ!

 
お祭りで日本を盛り上げる団体「オマツリジャパン」のメンバーと一緒に神社の境内へ向かいました。なんと平日にも関わらず、10人以上が参加!

皆さん、お揃いのオマツリジャパン手ぬぐいを身に着けています。都内からの参加者の多くは、会社を休んだり、半休したり、と気合が入っています。


オマツリジャパンの皆さん

会場となる神社は人、人、人!

神社に近づくと、すでに多くの人で賑わっています。舞台の周辺にも人だかりが出来ていました。




最近は女装家も流行っているし、綺麗な女装美人を見られるなんて楽しみだなぁ……などと思いながら会場に向かうと、そこにはなんとも驚きの女装美人たちが!!
 
えっ……
 
女装美人て……
 
こういうこと……!?
 
 
ババーン!!

花柄の着物に、真っ白な顔、真っ赤なほっぺ、わかりやすくベタな女装! 
しかも、思いっきり“おじさん”ではないですか!

見慣れるとなんだかカワイイ気もする女装美人たち。登場と同時に神社の境内に円を描きながら、風流歌を歌い踊ります。

これは、なんとも奇妙なお祭りに来てしまいました……。
 
とはいえ、お札まきは300年の歴史があるお祭りなのです。毎年7月14日に行われ、風流歌に合わせて赤、オレンジ、黄色、ピンク、緑、水色の6色の『正一位八坂神社御守護』と書かれたお札がまかれます。

風流歌の歌詞には「ありがたいお札 授かった者には 病も逃げる コロリも除ける」とあり、もともとは疫病の災いを避けるため始まったお祭りです。




以前行われたお札まきの様子

ちなみに“コロリ”はコレラのイメージがありますが、祭りが行われ始めた頃は、コレラはまだ日本に入っていない時代なので、コロリがどの病気を表すかは分からないままになっています。

お札まきは元禄年間(1688~1704)に開始されたとされ、江戸中期には、江戸・大阪といった大都市でも盛んに行われていたそうです。しかし、いつしか消滅してしまい、今ではここ戸塚くらいでしか行われていないとか。 

文化・風習の面でも貴重なもので、1991(平成3)年には横浜市指定無形文化財に指定されています。その案内板にも『男子十数人が姉さんかぶりにたすき掛けの女装をして……』との表記が!?


 
 
いざ、ありがたいお札をGETに向かいます!

風流歌が終わると、ボテカヅラを被った音頭取りの方がお札をうちわであおぎ、上空に向けてお札をまき始めました!


音頭取りの方

お札が舞うとたくさんの人が、お札の周りに集まってきます。みなさんの熱気に圧倒されて、一回目のお札まきはお札を手にすることはできませんでした!

しかし、残念……と思うのは、まだ早い! ここから先も戸塚の町中を、女装美人たちは巡回します。
 

ハーメルンの笛吹き状態!? 女装美人の後を人々が付いていく。

女装美人たちが町内を歩くともに、人々もついて行きます。大きな集団が女装美人と共に町を歩く姿は、なんとも奇妙なもの。

一定の場所に着くと、音頭取りの方が風流歌を歌い出します。



歌詞の最後「ここらでまこか」という合図と共に、お札をまくのですが、やっぱり人々に圧倒されてしまいお札は一枚もとれず。


無数の手が伸びます!

風にのって遠くに飛ぶものや、足下に落ちてしまうものなど、お札はバラバラになってしまいます。ちなみに足下に落ちたお札は、背が低い子どもたちが取ってしまいます。大人は高く舞った方がチャンスですね。


今度こそ、お札をGETしたいっっ!!

五箇所ほどお札をまき、なんとなくコツが分かってきました。今度こそと思っていた時に、運良く音頭取りの女装美人さんに近づくチャンスが。




そして、「ここらでまこか」の合図と共に、目の前にお札が……!


 
キターーーー!!!

ようやく、GET!



……したものの、下のほうで手に取ったため、子どもたちにもみくちゃにされ、サンダルが片方どこかへ行ってしまい、取材ノートもどこかへ行ってしまい……。すごい死闘が繰り広げられていました……。しかし、なんとかお札は手から離さず守り切りました。

しっかり、握りしめたので、すでにしわくちゃ……。でも、1枚はGETできたので、ミッションは果たしたと思います。


女装美人さんを直撃。お話を伺いました。

何箇所かでお札をまいた後は休憩です。休憩中の女装美人さんにお話を聞いてみました。


――お札まきには毎年、参加されていますか?
子どもの頃から、お客としてお札まきに参加していました。
当時は、音頭取りの方についてっていって30枚、40枚お札をとっていました。
女装をして参加したのは、3年ぐらい前からです。 

  
――40枚もですか! すごい! お札をとるポイントはありますか?
風の向きですね。あとは、人が多くいる場所を把握することですね。小さい頃は、落ちたお札を拾っていましたよ。

 
――人は毎年、増えていますか?
そうですね。今年は天気もすごく良いですからね。例年と変わらないぐらいの賑わいはあると思いますよ。

 
――今日の女装の意気込みは?
帯締めの色を変えているんですよ。みなさん、青や、緑を使っているんですけど。
また、心機一転、新しい気持ちでお札まきに取り組めたらと思います!


――格好にもこだわりがあるんですね。ありがとうございました!



こちらは面持ちさん


お祭りと言えばやっぱり屋台!屋台でのお楽しみ

お札まきが休憩の間に、屋台を散策。












オマツリジャパンのみなさんも、ビール、サワー、ラムネと飲み物を持ちながら、焼き鳥やお好み焼きなどを堪能していました。

子どもたちにも話を聞いてみると、みな毎年参加しているそう。お母さん、お父さんはおらず子どもたちだけでの参加も多いようで、地域の大人が一緒に子どもたちを見守り楽しんでいる様子もうかがえました。




大量GETする子どもたち

お札まきは、地域の人の一年に一度の楽しみになっているようです。やはり、伝統的な行事なのだなと改めて実感。年々、認知度は高まっているようでマスコミや取材陣の姿も多く見られました。
 
休憩が終わり、再び町内を一周すると、最後は境内の舞台の上でお札まきをして終わりです。


女装美人の奇祭、初めはどうなることかと思いましたが、お札もGETできたことですし、結果的には大満足。
 
女装したオジサンたちが歌い踊り、札をまくというシュールな祭りかと思いきや、歴史的にも文化的にも非常に価値があるお祭りでした!
 

 取材:舟崎泉美

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