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『制服至上』 可愛いだけじゃない制服美少女たち。日本初個展の作者にインタビュー! 「制服至上・制服至上2―台湾女子高生制服選―」出版記念 蚩尤 個展

アイコン生き生きとした制服美少女たちがそこに。台湾に実在する学校のリアルな「制服図鑑」。

2016/02/09(公開:2015/05/08)

04.29[水]~05.11[月] / 東京都 / GALLERY リトルハイ


画像提供: GALLERY リトルハイ 

髪の香りまで届いてきそう? リアルな女子高生の姿

「女子高生制服絵師」こと、台湾のイラストレーター・蚩尤(しゆう)氏の日本で初めての個展。現在、台湾を代表するイラストレーター・蚩尤氏。繊細かつ独特で多彩な画風が海外でも高い評価を受けている。

台湾に実在する高校の女子生徒の制服姿が収録されたイラスト集「制服至上―台湾女子高生制服選―」は、昨年台湾で発売されるや大人気となり、日本でも話題を集めた。中には日本語翻訳版が出る前に、わざわざ海外の本を扱う書店や、台湾本国から取り寄せた人もいるとか……。



清潔感あふれる爽やかな絵柄で描かれた制服美少女達。その緻密な筆致、鮮やかな色使い、計算された構図が素晴らしい。さらに素晴らしいのは、彼女たちの表情や仕草が非常に生き生きとしていること。

笑い声、スカートの衣擦れが聞こえてくるようだし、さらに言えばページの間からふわっとシャンプーの香りまで届いてくるような気がする。


 画像提供: GALLERY リトルハイ 





今回の個展は大人気の「制服至上」と、先日台湾で発売になった続編「制服至上2」の出版を記念して行われる。美しい作品が26点展示・販売されている。これらは全て枚数限定だそう。

制服のスタイルはもちろん、着用している女の子、背景などもバラエティ豊かで見ていて飽きない。女性だったら「こんな制服を着てみたかった!」というものを探してみても面白い。男性と女性で“好きな制服”が異なるかもしれないし、見る人の年代によっても変わってきそうだ。




まさに“制服図鑑”。長い年月と労力を費やした作品。

これらのイラストは、蚩尤氏の綿密
な調査と取材資料に基づいて完成された。『制服至上』には二年以上の歳月が費やされている。

細かな描写のイラストは実際に制服に忠実に描かれている。校章の刺繍、ボタンのデザイン、 スカートのチェック柄、ヒダの数、シャツの縫い目、切り替え……。全て本物の制服と同じだ。 



さらに「校則通りの着こなし」にもこだわっている。髪を染めない、パーマをかけない、化粧をしない、アクセサリーをつけない、胸の谷間を出さない、などのルールにのっとっている。蚩尤氏が描く女子高生たちから感じる『清潔感』はそこから来るものかもしれない。

自分なりにアレンジした着こなしも可愛いけれど、やっぱり制服は本来の着こなしが一番可愛いと思う。


また制服の他にも鼓笛隊など、特色がある部活動のユニフォームに加え、伝統的な衣装や、日本統治時代の制服までも収録されている。こうした過去の制服まで網羅された『制服至上』は、台湾の制服文化の歴史を知る上でも重要な資料だ。


絵筆を持ったまま友達とはしゃぐ女の子たち。
とても楽しそうで、仲の良い様子が伝わってくる。


元気いっぱいにジャンプするチアリーダー。
お腹が思いっきり見えているけど、ヘルシーでカワイイ!


看護学校の制服も。まさに白衣の天使。
色合い、構図、制服のデザイン含め、個人的にお気に入り。


伝統的な舞踊衣装も紹介されている。


日本統治下時代の制服。 画像提供: GALLERY リトルハイ



“制服絵師”台湾のイラストレーター、蚩尤(しゆう)氏 にインタビュー

展覧会初日には、蚩尤さんも来廊しサイン会が行われた。通訳さんをはさんでインタビューに答えていただいた。




――制服を描き始めたきっかけは何ですか?

蚩尤さん:2012年に出版社から“台湾の女性”をテーマにした季刊誌のイラストを依頼されました。その時1930年代の女子学生を描いたことがきっかけです。


――どんなものを参考にして描いているのでしょうか? また、モデルはいますか?

蚩尤さん: 直接制服を見たり、カタログを見たり、学校に問い合わせたりしますね。その学校の先生や、卒業生に聞くこともあります。当初、学校の前をうろうろしていたら『あやしいオジサンがいる』と言われてしまったことがありました(笑)
(“オジサン”は日本語だったので、筆者もなんとなくニュアンスが分かりました!)

モデルは特にいませんが、ポーズを決めてラフを描いてみて、何だか変だなと思うところはモデルさんに実際にポーズをとってもらいます。



――日本の制服と台湾の制服の違いは何でしょうか?

蚩尤さん: 日本の方が冬服、夏服の変化が大きいですね。台湾は気候が暖かいのでそこまで変化はありませんが、色が鮮やかなものが多い印象です。


――日本の制服を見てどう思いましたか?
 
蚩尤さん: 華やかさはないけれど、とても品がありますね。シンプルなものも多いですがデザインも素晴らしいです。


――これまで日本に来たことはありましたか?

蚩尤さん: 何回かあります。友人に連れられて(今回の会場がある)中野ブロードウェイにも来たことがありますよ。事前にどんなところかは聞いていましたが、色々なものが沢山あって楽しいです。


――個人的にはセーラー服、ブレザーなど、どんな制服が好きですか?

蚩尤さん: うーん……(笑いながらかなり悩んでいる様子) 甲乙つけがたいです……。どの制服にもそれぞれの良さがありますから。


――それでは、今回展示してある中で特にお気に入りがあれば教えてください。

蚩尤さん:MRTという台湾の地下鉄が背景になっているものでしょうか。高雄にあるMRTの駅、美麗島駅を描いています。


画像提供: GALLERY リトルハイ

 
――「制服至上」というタイトルには、どのような思いが込められているのでしょうか?

蚩尤さん: これまで制服の美しさをどのように表現するか、ずっと考えてきました。取材をした女子高生たちには『ジャージも描いたら?』なんて言われたこともありましたが、制服にこだわっています。

ただ、制服だけではつまらないので、学校ごとの特色などを詳しく表すためにもブラスバンドや、部活の服も描いています。


――日本で初個展をする感想はいかがでしょうか?

蚩尤さん:緊張します! 日本はとても制服の文化が発達していますから。日本にも何度か制服の取材で来ていますが、台湾の制服の特色を出せたらと思います。

また来年の6月には『制服至上3』も出る予定です。『制服至上』から『制服至上3』なので、ちょうど3年で卒業、ということになりますね。  


――日本のファンへのメッセージをお願いします。

蚩尤さん: 色々な人に制服の美しさを感じてもらえればと思います。 日本の女子高生にもぜひ来てもらって、台湾の制服を見ていただきたいです(笑)


蚩尤さんはとても物腰が柔らかくて、爽やかな好青年という印象。一つ一つ言葉を選びながら丁寧に答えてくださった。その姿からは研究者やエンジニアという雰囲気も感じられた。一つのものにひたすら向き合い、極めていくという点では似ているのかもしれない。


会場では『制服至上』、『制服至上2』を始め、様々なグッズが発売されていた。 ギャラリーの方曰く、『制服至上』のオリジナルグッズが発売されるのは恐らく初めてとのこと。蚩尤さんのグッズが発売されること自体珍しいらしい。 




クリアファイル4種 右上から時計回りに“春夏秋冬”にも見える


女子高生たちの愛らしさ、制服のリアルさが絶妙なバランスで融合した『制服至上』。一定の期間しか着ることが出来ない若さの象徴でもあり、学校という枠の中にいる存在の象徴でもある。少女たちを一番美しく見せる制服、やはり至上である。


2015.04.29 篠崎夏美

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