写真家「クリスチャン・ツィーグラー氏」日本初個展
クリスチャン・ツィーグラー 「Jungle Spirits」
新宿 コニカミノルタプラザ (タカノビル1階入口)
2013年世界報道写真コンテストの『自然部門』において、第1位を獲得したドイツ人写真家・クリスチャン・ツィーグラー(Christian Ziegler)氏の日本初となる個展です。WWFや、ナショナルジオグラフィックなどでも仕事をしています。
パナマを始め、世界各地の熱帯林で日々繰り広げられている、神秘的な動物・植物の命のドラマ。そこには、新たな発見と驚きが満ちています。今回は、32点のネイチャー・ドキュメンタリー作品が展示されています。
入口を入るとすぐ、係の人が解説文を描いたシートを渡してくれました。通常の展覧会などだと、写真の横に解説があるので、前に人がいたり少し遠かったりするとなかなか読めないのですが、これはいいですね!手元で説明を読みながら自分のペースで写真を楽しめます。また、気になるものをもう一度見返したりもしやすかったです。
さて、私がこのイベントを知ったきっかけは、ニュースで‘世界報道写真財団主催・2013年世界報道写真コンテスト「自然部門」単写真の第1位’の記事を見たことです。その写真にとても衝撃を受けました。写真はオーストラリア北部に生息するダチョウ目のヒクイドリを撮影したもの。クァンドンという木から落ちてきた青い果実をついばむ瞬間を捉えています。まず目に飛び込んで来るのは、ヒクイドリの顔の水色と、クァンドンの実の青!自然界にこんな鮮やかな色があるのかというくらい。ヒクイドリの喉(?)の赤がまたアクセントになっています。そして、構図もとても迫力があり、写真からこちらに嘴が突き出してくるのでは、と思う位の臨場感です。ジュラシック・パークを思い出しました。
タカノビル入り口のポスター
会場にはその他にも臨場感あふれる写真がたくさん。どうしてこんな写真が撮れるのかとただただ感心するばかりです。動物の濡れた鼻先の冷たさとか、羽ばたきの音まで感じられそうです。来場したお客さんが「CGみたい!」と言っていましたが、本当に、リアルすぎてリアルに見えない、という不思議な写真です。動物、植物の動きの一瞬を撮影するために、どれだけの時間と労力がかけられているのでしょうか・・・。そして、この一瞬によって今まで知り得なかった動植物の生態がはっきり目の前で形になる、ということがとても興味深いです。それを考えると、より一枚一枚の写真の重みが感じられます。
この写真展に来なければ見ることのなかったであろう植物、動物たち。そして彼らの生きる姿。しかし、こんな豊かで興味深い生態系が、今環境破壊によって危機に瀕しています。言葉で生物多様性の大切さとか、生態系の機能とか言うよりも、写真一枚で伝わることの多さがこんなにあるのか、と実感させられました。
ジャングルに生きる一つ一つの命、魂の重さが伝わる写真たち。見れて良かったです。
2013/07/23 なずな