面白いイベント情報を求めてイベニア

| レポート&ニュース |



SHARE

facebook

Twitter

【大人だって中二病がしたい】ドラゴン、妖精、人魚・・・。『出でよ!幻のいきものたち!』 幻獣神話展 寓意夢想の召喚

アイコン中二心くすぐられまくり。

2014/08/30(公開:2014/08/29)
幻獣、神話、寓意、夢想、召喚・・・。

中二病患者 の心をくすぐるワードの数々。
ここまで中二フレーズ満載 なイベントはなかなか無い。
※あくまでも個人の感想です。


開田裕治「火竜ヒルデガルド」 2004年 デジタルプリント 350×350mm



知らない人のために解説すると、「中二病」とは・・・

ちゅうに‐びょう 〔‐ビヤウ〕 【中二病】 
思春期に特徴的な、過剰な自意識やそれに基づくふるまいを揶揄(やゆ)する俗語。
具体的には、不自然に大人びた言動や、自分が特別な存在であるという根拠のない
思い込み、またはコンプレックスなどを指す。

名称は、その年代の子供が抱きがちな心理状態であることから、一過性の病気に
見立てたもの。 (デジタル大辞泉より)


思春期は特に魔法とか、幻想生物とか、そういうものに憧れるもんです。
他の人とは違う、何か特別な能力(チカラ)が欲しかったりするんです。
ドラゴン召喚しちゃったり、幻の生き物を手懐けちゃったりする夢を見るんです。

何も思春期に限らず大人になった今でも、某魔法魔術学校の話とか、某妖怪時計とか、 某悪魔召喚のゲームとか、ユニコーンとかとか、その類に惹かれてしまう人、多いのでは?

はい、もちろん私もその一人です。



幻獣神話展 寓意夢想の召喚 

08.20[水]~08.27[水] / 東京都 / Bunkamura Gallery

神話、伝説などに登場する空想上の生き物。怪獣、モンスター、妖怪、妖精、巨人、人魚、UMA(未確認動物) まで、古今東西、人々に語り継がれてきた空想上の生物。 

映画、アニメ、小説、ゲームに登場する彼らの姿を見て、想像上でしか生きられない存在に胸をときめかせる。時にはまだ見ぬ生き物たちが、この世界のどこかに生きているのではないか?と考える。

幻の生き物のはずなのに、それらはリアルに我々の想像の中を生き生きと動き回る。


このイベントでは幅広いジャンルの作家によって命を与えられた、個性あふれる幻の生き物たちに出会える。 伝説、神話、物語、作家自身の創造により具現化された姿を、絵画、イラスト、立体作品など様々な表現で観ることが出来る。

さらに魅力的な幻獣たちに関するグッズ・アイテム、書籍なども販売されており、会場内はまさに幻想的な饗宴の雰囲気。

    
通常こうした幻想的で、ある種フェティッシュなものは、せまく暗い空間でひっそりと展示されることが多い。しかし、この場所はオープンで明るく、大人から子供まで気軽に立ち寄れる雰囲気だ。

元々幻想的な雰囲気な人はもちろん、オーチャードボールやBunkamuraザ・ミュージアムを訪れる人、買い物の途中に足を止めた人など、大人から子供まで訪れるそう。この日も、親子連れなどが興味深そうに奇妙な生き物たちを眺めていた。



‘怪獣絵師’こと開田裕治さんの作品。ビルに舞い降りた巨大なドラゴンは、特撮のワンシーンそのもの。ものすごくカッコいい。咆哮やビルの壁面を爪が削る音まで聞こえそう。


   
ちょっとエロティックな作品も。想像、夢想、妄想はリビドーから生まれることも多い。また、神話や伝説にもエロティックな思想は色濃く残る。幻獣と性的なものは近しいのだろう。

左)巨大な屏風絵は大迫力かつ、神々しさも感じる。そして、ネコ耳の可愛いらしさもある。これって最高じゃね?

右)台湾のイラストレーター・蚩尤さんの妖狐は筆致、表情、質感まで、素晴らしいの一言に尽きる。 いやー、良いわー。


   
幻獣はその人の頭の中にいる。それらをこの世に‘召喚’するためには、非常に繊細で強力な想像力が求められる。

左)作品の横にあった設定イラスト。まるで実際にそこにいる生き物を観察したかのように、身体の特徴や生態が細かに記されている。

右)ザ・ファンタジー、な作品。映画かゲームの一場面のよう。美しい景色、色とりどりの花、白い鳥、そして巨大  なドラゴン。舞い降りたところか、これから羽ばたこうとするところか。ドラゴンは恐ろしいイメージで描かれる場合が多いが、この絵からは安らぎと平和を感じる。

 
  
神話の怪物も、‘恐るべき異形のものども’も、作家によってはこんな姿に。

左)俺のヒュドラーがこんなに可愛いわけがない。

右)クトゥルフファイト でSAN値がピンチ!特撮モノで倒されることが決まっている怪獣たちのようで、どことなく  悲哀がただよう。それがまたカワイイ。
  

  
左)屏風の両脇に置かれた千両箱が雰囲気を出している。これ、テイッシュBOXらしい!

右)妖精の工房。かなり細かく作りこまれていて、時間を忘れて見入ってしまう。
 

   
近くで観るのがちょっと怖いくらいにリアル・・・。触手が・・・触手が・・・。


   
左)少女漫画チックな人魚姉妹&雪女。スタイリッシュでカワイイ♡

右)同じ人魚でもこんなに違う・・・。これはこれですごく好き。


   
‘本物’をはく製・標本にしたような現実味のある作品。もちろん、‘本物’を見たことなんてないんだけど・・・。



今回展示されていたどんなリアルな怪獣、妖怪よりも怖かったのが、この「座敷犬」(林美登利さんの作品)。

どうも昔から動物の体に人の顔が怖い。人魚は大丈夫だし、 都市伝説の人面犬はオッサンなのでそんなに怖くないのだが、黒髪の女性の顔だと怖いらしい。 『くだん』とかトラウマレベルで怖い。

かなり色々な幻獣がいるので、自分の恐怖テスターにもなって面白い。 想像上の生き物は、なかなか人に正確に伝えるのが難しいけれど、こうして実体化させることによって共通の認識を持つことが出来る。きっとこうして、『角がある』とか『目は炎のよう』とか、幻獣たちの様々な特徴が広がっていったのだろう。

    
左)化け猫とムジナ(?)のお嬢さんたち。こういう光景、人間でも良く見るよね?『ねぇねぇ、アレ見てー』  「ウケるぅ。プーッ、クスクス」的な。

右)鬼の掛け軸だけど、男性アイドルのポスターみたい。 魔界の女子中学生(?)の部屋に貼ってありそう。


   
左)かなり脱力系の幻獣たち。ポップ&キッチュ!

右)本物の豚の頭を使ったマンタムさんの作品。運転席のレンズを通したら、何が見えるのだろう。


西洋の幻獣も、東洋の幻獣も、古の幻獣も、現在の幻獣も、すべてごちゃまぜに存在するカオスな空間。幻獣は人の想像の数だけ姿を持つ。  
 

古代神話、童話、都市伝説まで、長い間に伝えられてきた物語の中に生きる幻の生態系。簡単には近付けない神秘的な存在。時に恐ろしく、時に優しく、時にユーモラス。魅力あふれるキャラクターは、常に私たちの身近にあったものでもある。

中二病、の一言で片付けてしまうのは簡単だが、こうした人間の想像力が神話を、物語を、そして文化を作ってきたである。大人も子供も、ファンタジーに魅力を感じるのは想像の中でなら、どんなものでも可能だから

イメージの力は偉大にして無限。その力と魅力によって生まれた幻獣たちは、我々を惹きつけて止まない。



2014.08.27 文・写真 篠崎夏美


<作家名・作品名一覧>
①開田裕治「火竜ヒルデガルド」 2004年 デジタルプリント 350×350mm

②前田ヒロユキ「天龍四部周」2012年 デジタルプリント・本金箔屏風
 1730×3080mm

③左側:物販 
 右側:太田翔「Master of the Corner」針金.帆布.樹脂.その他 1500mm

④左側:開田裕治「火竜ヒルデガルド」2004年 デジタルプリント 350×350mm

 右側:開田裕治「天空の支配者」 デジタルプリント 450×320mm

⑤左側:前田ヒロユキ「天龍四部周」2012年 デジタルプリント・本金箔屏風
       1730×3080mm
 真ん中:麻宮騎亜「悪櫓血~オロチ~」2014年 リキテックス・モデリング
          ペースト キャンバスボード 380×540mm
  右側:蚩尤「貔貅(ひきゅう)、妖狐を喰らう」2014年 デジタルプリント 
    462×297mm

⑥左側:緑川美帆「鉛筆画下絵」鉛筆/紙
 右側:タカヤマトシアキ「白竜城」2014年 デジタルプリント 750×530mm

⑦左側:夢路キリコ「Hydra」2014年 デジタルプリント 420×594mm
  右側:西川伸司「クトゥルフファイト絵葉書セット」

⑧左側:前田ヒロユキ「風神雷神図屏風」2014年 デジタルプリント
     700×1545mm 
 右側:山脇隆「Fairly Labo(フェアリーラボ)」2014年 ラドール(石粉粘土
    )真鍮 檜材 レジンキャスト(無発砲ウレタン)等 330×420×160mm

⑨百武朋「南緯47度9分、西経126度43分」粘土彫刻を型取り、樹脂に置き換
 え、バキュームで羽を製作 1000×1100mm

⑩左側:寒河江智果「sea dream」2014年 雲肌麻紙、岩絵の具 455×333mm
 真ん中:寒河江智果「snow dream」2014年 雲肌麻紙、岩絵の具
     455×333mm
 右側:石黒亜矢子「人魚の溜まる処」アクリルガッシュ/パステル/板パネル
        1000×800mm

⑪左側:NeQro「バフォメット」2014年 毛皮、粘土等 
 右側:江本創「Evil Beast」2014年 ミクストメディア 455×530mm

⑫林美登利「座敷犬」2014年 サーニット、石粉粘土、羊、グラスアイ、
  人毛、針金 400mm

⑬左側:大石容子「むじな夜語り」古布(錦紗縮緬)、イラストボード、和紙、
 アクリル
 右側:森園みるく「魔羅鬼神」2014年 和紙にガッシュ 7200×3500mm

⑭左側:デハラユキノリ「やつら」2002~2014年 ソフトビニールに
        ビニール塗料 50~200mm
  右側:マンタム「Priscilla」豚頭部の皮 戦前の幼児用遊具 ラッカー塗装
        600mm

⑮江本創「Goblin」2013年 ミクストメディア 300×200×300mm
>さらに読む