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外は極寒だけど気分は常夏!「冷やしグルメ祭 2016」で、冬でもおいしいかき氷とそうめんを堪能してきた。

アイコン記録的な大寒波の中、冷やしグルメを味わう。身体はいったいどうなる……!?

2016/02/09(公開:2016/01/29)
寒い……。本日、東京の気温は7度(iPhoneお天気アプリ調べ)。



7度で寒いだなんて、北国の方に叱られそうですが、東京は風が冷たいです。



そんな極寒の中、もしかして我慢大会なの!? と思ってしまうイベントが開催されました。かき氷とそうめんを味わいトークを楽しむ「冷やしグルメ祭 2016」。真冬にかき氷なんて正気の沙汰じゃない……。

「冷やしグルメ祭 2016」 お台場・東京カルチャーカルチャー



でも、冷やしグルメ、実は最近人気があるみたいです。美味しいかき氷屋さんが集まるイベント「かき氷コレクション」は、東京カルチャ―カルチャ―でも何度か開催され、季節に関係なく大人気なのだそうです。(我慢大会なんて言って、すみません!)かき氷とそうめんのほか、今日は日本酒もいただけるとのこと。


■ 日本一アツイ街からやってきた、口どけふわふわな『雪くま』のかき氷を堪能〜!





かき氷は、埼玉県熊谷市から「茶の西田園」さんと「シノン洋菓子店(patisserie chinon)」さんが登場。

最高気温を記録した街として有名な熊谷市。その暑さを逆手にとって、街ぐるみで美味しいかき氷を開発。かき氷の街にしようと2006年から“雪くま“を始めました。『雪くま暖簾会』を結成し(現在28店舗)、雪くまを作るための技術講習会も開いているそうです。

雪くまの条件は以下の3つ。

1 熊谷の美味しい水を使った貫目氷を使っていること
2 氷の削り方に気を使い、雪のようにふんわりした食感であること
3 オリジナルのシロップを使っていること

雪くまのかき氷ができるところを、間近でじっくり見学しました。





シノン洋菓子店さんの『いちごレアチーズ』が完成。氷を削っては、合間にシロップを入れ、また氷を足して……という流れで、丁寧に作られています(そういえば、昔食べたかき氷は、氷をガーッと削って、シロップをバーっとかけるだけだった……)。

通常、冷凍庫の氷はマイナス15からマイナス20度くらい。雪くまの氷は、冷凍庫から取り出して0度くらいに温度を調整してから削るそうです。削るときも刃と絶妙な力加減の調整で、氷を薄〜く削ります。そうすることで、雪解けのようなふわふわの食感の氷を作り出せるのだそうです。




かき氷4種類を一気に実食してみました。せっかくかき氷やそうめんを食べるので、気分を盛り上げるためTシャツに着替え、麦わら帽子までかぶりました。完全にこの席だけ真夏です。







冷やしグルメでどのくらい身体が冷えるのか、体温も測定。食べる前は36.8度。やや微熱!? 店内が温かいからだと思われます。これは冷たいかき氷でクールダウンせねば!



シノンさんの『いちごレアチーズ』はピンクのいちごソースと白のレアチーズソースで、見た目も華やかです。いちごソースの甘みと酸味、チーズが絶妙なバランスでした。

チーズは、マスカルポーネとフロマージュとクリームチーズの3種類をブレンドしているそうです。ケーキ屋さんで使う素材が活かせるように、メニューを考えていると伺いました。

雪くまのかき氷は、口の中で優しく氷が溶けていきます。かき氷特有のあの頭がキーンとする感じがまったくありません。



続いては、お茶屋さんである「茶の西田園」さんの『みそくるみミルク』。インパクトのある意外な組み合わせ。みそとミルクがすごくあう! 上に乗ったクルミのカリカリ感もいいです。





お味噌は、地元で作った大和芋の味噌を使用。同伴のスタッフは、思わず「なんか、ご飯を食べているたい……!」と発言。そういえばかき氷は、形が山盛りのごはんに似ているかも……? きな粉で包んだ小豆がベース。氷の上には、くるみの他にすりゴマがかかって香ばしさを引き出すという、実に手間暇かかった一品です。



かき氷、一気に完食!! お代わりしたい気持ちを抑えて、次はそうめんにいってみます。


■ 「そうめん」「うーめん」の違いって? 意外と知らない謎が解決!

そうめんは『三輪そうめん』と『白石温麺(うーめん)』の2種類が試食できました。



「日本三大そうめんといえば、揖保の糸、小豆島そうめん、三輪そうめんです」と、そうめん研究家のソーメン二郎さんの解説が入ります。

三大そうめんのひとつである『三輪そうめん』は、奈良県で作られるそうめん。なんと皇室献上品なのだそうです。日本一細く、コシの強さが特徴。その細さは0.7mmとも言われます。しかも手作業で作られているのだとか。

ちなみに、今日用意されたそうめんは、ソーメン二郎さんのご実家の製麺所で、お兄さんとお姉さんが作ったものだそう。そう思って食べるとより一層味わい深い。



三輪そうめんは細いのにコシがあって、ツルツルっとサラサラっと食べられます。皇室献上品と聞いたせいか、上品な味わいもある気がします。



ツユは、宮崎県都城市(みやこのじょうし)のヤマエさんの高千穂峡シリーズ。カツオ、あごだし、しいたけ、とりの4種類から好きなものを選んで、そのままかけて、ストレートで食べられました。

ソーメン二郎さんいわく「おすすめは、しいたけつゆ。絶品です!」とのこと。ヤマエさんのしいたけつゆの美味しさに感動し、ブログに書いて紹介したことがきっかけで、一緒にイベントをやる流れになったそう。



ヤマエ食品工業株式会社の加藤さんいわく「九州で一番売れているのは、カツオつゆ」。ちょっと甘みのある、あごだしつゆも美味しかったです。三輪そうめんも高千穂峡シリーズのつゆも、水が美味しい場所で作られているのが共通した特徴。お水が美味しい場所には、必ず美味しいものがあるのですね。



続いて、宮城県白石市の『白石温麺(うーめん)』。あったかい餡かけの汁でいただきました。“おくずがけ”といって、冷蔵庫にある余ったお野菜を使い、醤油ベースのスープにカタクリ粉でとろみをつけた宮城の郷土料理だそうです。



「温麺(うーめん)と言っても、汁が温かい麺という意味ではありません! 人を思いやる温かい心のことなんです!」と白石温麺の担当者さんが力説します。



時は、江戸時代初め。白石に住んでいた大畑屋鈴木浅右衛門は、胃腸の弱い父(麺好き)を心配し、何かないかと探した末、旅の僧に油を使わない麺の製法を教わったそう。苦労を重ねて麺を作ることに成功し、父親に食べさせたところ病気が回復。

さらに、その麺が話題となり、白石城主の片倉小十郎にも食べてもらったところ「うまい!」と絶賛。片倉小十郎は、浅右衛門の父親を思う温かい気持ちにも感動し、その麺を『温麺』と名づけたとか。さらに浅右衛門は、味右衛門の襲名を許されたのだそうです。



それにしても『温麺』って、“おんめん”って読むんじゃないの? どうして、“うーめん”と読むのでしょうか?

片倉小十郎に褒められたところまではよかったものの、温麺の呼び名を度忘れしてしまった味右衛門。しかし「ウマイ」と言われたことを思い出し、周りの人になんと読むのか聞かれたときに「う、ウメーメン……(だったかな……?)」と伝え、「ふーん、じゃあ『うーめん』だな!」と解釈され、“うーめん”と呼ばれる様になったと伝えられているそうな。……ホンマでっか!?


【豆知識】「煮麺(にゅうめん)」の定義? 「冷麦」と「そうめん」の違いとは?

温麺とそうめんの話を聞いていたら、そうめん周りについて疑問がふつふつと湧いてきた人も多いのでは? そんな疑問にお答えします!

煮麺(にゅうめん)はそうめんを煮たもの。冷麦とそうめん、ついでにうどんの違いは太さだそう。

うどん 直径1.7mm以上
冷麦 直径1.3mm以上1.7mm未満
そうめん 直径1.3mm未満(三輪そうめんは、0.8mm!)
【日本農林規格(JAS)】



さて、うんちくはこの辺にして、試食です。温麺のスープの中には、だいこん、にんじん、里芋、しいたけなど具がたっぷり。餡かけなので、温かさが胃の中まで保たれて、お腹の中からあったまる〜! ちなみに、白石温麺の特徴は、油を使用していないのと、長さ9cmサイズの麺ということ。普通のそうめんの半分くらいです。





桜顔酒造さんの日本酒も堪能。アルコール度数6%の『もりおかスパークリング』は、甘酸っぱくて飲みやすい味、万能にいけます。やや辛口の純米大吟醸『南部の雫』とも、三輪そうめんのカツオつゆは、相性がよかったです。ぬる燗でいただく『大地の一献 特別純米酒』が、温麺にぴったりはまります!

冷やしグルメの中のオアシスのような温かさを堪能しました。


■ お天気お姉さん登場! お天気とそうめんの意外な関係

素麺が好きすぎて、ご自身の結婚式の引き出物もそうめんだったという、お天気キャスターの福岡良子さんが登場。



「素麺づくりは気温と湿度が重要なんです。気温も湿度も低いほうがいいんですよ」と解説してくれました。

そうめんは、天日干しにするので、乾燥しているほどいいのだそうです。完全に乾かしても15%ぐらいは水分が残るというそうめん。湿度が高いときは多めに水分が残ってしまい、カビが生える原因になってしまうそう。カビはそうめんの天敵なのです。

また、小麦粉と塩水を混ぜてつくるそうめんは、塩加減が最需要課題。熟成を促す役割をする塩は、少ないほうが小麦粉本来の歯ごたえや香りが活かせるそう。そのため、塩の量が少なくてすむ気温の低い日のほうがそうめんづくりに適しているわけです。

そうめんを作る、そうめん師と呼ばれる人の中でも一番偉い人が、この塩加減を決めるそうです。その方の一番の仕事は1日の天気を見ること。天気とそうめんの関係、実に密接でした。「そうめん師」という職業があるのですね……。





「ここ数年のかき氷ブームで、日本全国でかき氷を出すお店が増え、食べ歩きする人も増えています」とかき氷コレクション主宰の小池さん。

小池さんがこれまでに取材したかき氷屋店で、会場にいらっしゃったcraft caféさん、雪うさぎさん、あずきや安堂さんをご紹介。今後お店で作ってみたいかき氷などのお話を伺いました。酒蔵の酒かすを使ってみたいという声も。今後どんな新しいかき氷が食べられるのか、楽しみです。




最後に、昭文社広報の和田さんが、旅行ガイド『ことりっぷ』のムック本『ことりっぷMagazine』で取材した、かき氷の美味しいお店の紹介をしてくれました。さらには、美味しいかき氷屋さんの掲載された『ことりっぷ』を全員にプレゼント。

その他にも、かき氷の素や、シロップ缶などたくさんのお土産もいただき、心が温かくなりました。

そうそう、いくら外は寒いといっても、会場の中はもちろん暖かかったです! 寒い冬でもコタツに入ったら、アイスが食べたくなる気持ちを思い出しました。


■「冷やしグルメ」を堪能したイベント後、体温に驚きの変化が……!

会場から一歩でると、気温は5度。さらに冷え込んでいました。



そういえば、体温はどうなった!?と測ってみると……37.0℃。



素敵なイベントで美味しい冷やしグルメを食べ、逆に体温が上昇していました。調子に乗って真冬にTシャツ姿になっていたからでしょうか? (スタッフが風邪でないことを祈ります……!)
【編集部注:安心してください。帰宅後、再度体温を測ってみたところ、平熱の36.5℃でした。】

冷やしグルメは、身体を冷やさないことが判明しました。(ぬる燗とあったかい温麺もあったけど)。

旬の時期に食べるより、季節はずれだからこそ、じっくり味わって食べられたかもしれません。かき氷もそうめんも(日本酒も)美味しいものは季節に関係なしでした!

取材/橋村望



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