2016年02月07日(日) 09:40~16:00 恐羅漢スノーパーク(広島)
広島県安芸太田町の恐羅漢スノーパークで、雪のブロックで作る住居「イグルー」を作る世界大会が行われます。コンセプトは「誰でも気軽に参加でき、普通の人でも世界王者になれる数少ない世界大会」。
前年はアメリカ・台湾・オランダ・オーストラリア・スコットランドからの参加があり、海外からも取材がくるなど、「気軽に雪を楽しめる面白い大会」として注目を集めているらしいです。
◆そもそも「イグルー」って何?
スノーハウスとも呼ばれる住居で、一年の大半を雪と氷に閉ざされたツンドラ地帯で暮らすイヌイット達の知恵から生み出されたそう。どこでも作ることができ、移動しながらの生活が可能になります。
また、積雪期における登山の際には、テントの代わりに使用されることがあるのだとか。
北極や南極、イヌイット、などの言葉から連想する人が多そうな、ドーム型の建築物。絵や写真を見れば「あぁ、あれか」となるはずですが、本物を見たことがある人は少ないのでは……?
一般市民でも世界王者を狙えるという、ユニークな「世界イグルー選手権」について、広島県安芸太田町観光協会・柏崎さんにお話を聞きました。
◆「そこに雪はあるか」 広島なのに豪雪地帯!?
―― 小学校で広島は『温暖な瀬戸内式気候』と習ったのですが、イグルーを作れるほど雪があるのですか?
柏崎さん:
広島県といえば「みかん! 瀬戸内! あたたかい!」とイメージされる方が多いと思います。しかし、ここ広島県安芸太田町は“日本最南端の豪雪地帯”。町内には良質なパウダースノーが人気のスキー場が2か所あり、冬は多くのスキーヤーやスノーボーダーで賑わいます。
でも、私たちは思うのです。スキーやスノボをしない人にも雪を、冬を、楽しんで欲しい!そこで、ウインタースポーツをする人もしない人も、老若男女誰もが気軽に楽しめる「雪上競技」を考案しました。それがこの「世界イグルー選手権inあきおおた」なのです。
―― 今年は暖冬ですが、雪はありますか?
柏崎さん:
会場の「恐羅漢スノーパーク」は1月14日からスキー場がオープンとなりました。例年よりも遅い営業となりましたが、そこはやっぱり広島県最高峰の「恐羅漢山(おそらかんざん)」。現在は恵みの雪が降り注いでいます。大会までには十分に積ってくれると思います!
―― なぜ「イグルー」? 「かまくら」ではなく、「イグルー」にした理由は?
柏崎さん:
イグルー作りは、「ブロックを切り出す」「ブロックを運ぶ」「ブロックを積み上げる」「入口を成形する」「隙間を補強する」といった、作業分担とチームワークが重要かつ面白いのが魅力的でした。
競技として考えた時、単純な体力勝負ではなく、各人がそれぞれの得意そうな作業を楽しく進められる面白みがあるため、イグルーを採用しました。日本ではちょっと珍しい、というのもポイントのひとつです。
◆速さを競う「スピード部門」、センスを競う「芸術部門」、あなたはどちらで戦う?
①スピードイグルーの部(定員10チーム/1チーム4~6名編成)
※定員に達した為締め切り。
※定員に達した為締め切り。
規定サイズのイグルーを、いかに早く完成させるかを競うスピード部門。チームワークが勝敗を分ける熱い戦い!
<主なルール>
・イグルー床底内側の直径(最狭部分で)1.0m~1.3m
・ 必ず(最長部分で)縦40㎝、横40㎝以上の入り口を付ける。
・入り口には必ず、ブロックを積み上げアーチを作る
―― 大体どれくらいの時間でイグルーを制作するのですか?
柏崎さん:
前大会世界王者の記録は20分13秒でした。過去最速タイムは驚愕の13分56秒です。
(“驚愕の13分56秒です”と言われても、いまいちピンとこないのですが、単純に直径1.0~1.3メートルのドーム形の建造物を雪だけで作りあげる、と考えるとかなり早いですよね!)
②芸術イグルーの部(定員30チーム/1チーム4~6名編成)
制限時間内に、創意工夫を凝らしたデコレーションイグルーを製作し、その芸術性・創造性を競う芸術部門。アイデアが勝負の決め手に!
1月31日(日)までエントリー受け付け中
<主なルール>
・制限時間内(11:00~15:00)に製作
・カラーリングやデコレーションも可能(競技者が準備。塗料は環境に配慮したものを使うこと)
・採点は5項目(大きさ・美しさ・斬新さ・話題性・面白さの各 10 点)の50点満点
―― 芸術イグルーの部では、どんなモチーフが多いですか?
柏崎さん:
巨大スノーマンなど「雪」を活かしたモチーフから、パンダやカメなど可愛い動物など、アイデアの光るモチーフが沢山あります。昨年は葛飾北斎作『富嶽三十六景~神奈川沖浪裏~』を再現したイグルーも登場しました!
黒い布を使って、パンダの模様をうまく表現したイグルー。入り口の横には笹のような飾り付けも。
水色がキレイなクジラ。環境に配慮したものであれば、塗料も使用可能です。
広島と言えばこれ! 真っ赤なカープイグルー。「赤道直火」という文字と、白い「C」のロゴがポイント。
◆イグルー作りは奥が深い!
世界王者を目指すために、こっそりコツを聞いてみた。
―― イグルーは子供や初心者でも作れるのでしょうか?
(本当に世界王者狙えますか?)
(本当に世界王者狙えますか?)
柏崎さん:
初出場、チーム全員初心者、というチームもたくさんいます。子供の参加も多く、制作途中のイグルーの中で休憩しながら作業のお手伝いをするなど、みなさん思い思いに楽しんでいます。昨年は初出場で準優勝に輝いたチームもあり、経験や技術よりもチームワークとアイデアが勝敗を分けます!
―― イグルー作りのコツはありますか?
早く制作するポイントや、キレイに作るポイントがあればこっそり教えてください。
早く制作するポイントや、キレイに作るポイントがあればこっそり教えてください。
柏崎さん:
なんといってもチームワークが大事で、全体を指示するリーダーのもと効率的に制作を進められるかがポイントです。
また、急ぎ過ぎてひとつひとつのブロックがいびつになってしまうと、積み上げていったときに土台から崩れてしまいます。綺麗さと強度は密接に関わってきますから、「丁寧さ」も大きなポイントです。積み上げる係の人が、ブロックを削って形を整える作業をしながら進めるとキレイにバランス良く作れますよ。
―― どんな人たちが参加しますか?
柏崎さん:
幼稚園児からご高齢の方まで、まさに老若男女様々な方が集結します!会社の同僚チームや部活動チーム、地域のファミリーチーム、学校の仲良しチームなど、本当に様々です。
毎年海外からも参加者が多く、過去アメリカ、イギリス、カナダ、フランス、オーストラリア、ドイツ、スペイン、オランダ、タイ、台湾などなど国籍も様々。今年もアメリカ、オランダ国籍の方が参加予定となっています。
◆毎回ドラマが生まれる大会。イグルーは雪ではなく「笑顔と汗」の結晶だった!?
―― 大会の見どころを教えてください
柏崎さん:
チームの分だけアイデアがあり、工夫があり、なかなか思い通りの形にならなかったり、崩れてしまったり、毎年多くのドラマが生まれます。他のチームの作品を見て回るのも楽しいです。終了のホイッスルが鳴った後には、笑顔と汗の結晶である楽しいイグルーがたくさん出現しますよ。
大会は準備段階から始まります。出場されるチームの皆さまには、「どんなイグルーを作ろうか」と仲間と話し合ったり、デコレーションに使用する小道具を協力して作ったりと、文化祭前夜のようなワクワク感もぜひ楽しんで欲しいですね。
―― 最後に一言お願いします。
柏崎さん:
地元有志による手作りの大会規模ですから、参加チームには限りがございます。でも、ちょっと変わった「誰でも世界一になれる大会」をみんなで大いに盛り上げ、そして楽しめる大会です。もちろん私たち実行委員会スタッフも大いに楽しみます!!
最後にお約束のフレーズをお届けしましょう。
「地球人に告ぐ。イグルー作りの世界一を決めようじゃないか!!」
積もった雪も溶けてしまいそうな、アツいコメントをいただきました! 大人も子供も楽しめる、世界イグルー選手権
。あなたも、地球人最強のイグルー職人になれるかもしれませんよ。
取材/篠崎夏美