12.17[水]~01.12[月] / 東京都 / 8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery
世界を舞台に活躍するレディー・ガガ。彼女が愛用するヒールのないシューズ“ヒールレスシューズ” の生みの親、舘鼻則孝(たてはなのりたか)氏の個展が、渋谷ヒカリエにて開催中です。
Frozen Boots, 2014 SIZE: W250×D210×H950mm MATERIAL: Acrylic Block (c)Noritaka Tatehana
今回の展覧会は舘鼻氏のアーティストとしての側面に焦点を当てたもの。いくつかの美術館にも収蔵されており、今やアイコンとも言えるヒールレスシューズの他にも、かんざしがモチーフとなったオブジェなど、新作を含めた十数点が展示されています。
会場に入ってまず目に留まるのがこのオブジェ。
お、大きい…。
かんざしをモチーフにしたこの作品、漆芸の技法の一種で、貝殻を埋め込む螺鈿(らでん)細工という手法で作られています。埋め込まれている貝はアワビだそうです。
実は舘鼻さん、出身の東京芸術大学では絵画や彫刻を学んだ後に染織を専攻。日本の古典的な染織技法である友禅染の技法を用いて下駄や着物の製作を行っているそうです。
ヒールのない靴も、アイディアの源になったのは花魁が履くぽっくり下駄(高下駄)。そう言われてみると、ぽっくりに見えなくもないかも。
今回の会場にも4種類の靴がありました。日本の古典柄を基調にしたぽっくり。高さといい、迫力といい、存在感バツグン。映画の『さくらん』よろしく、花魁が道中を歩く足元をいろどるのにピッタリな雰囲気。
会場内の靴を見て、ここである疑問が。
ホントに履けるの?歩けるの?
どれもヒールの高さが20~30cmはあるものばかり。ヒール、ヒール、ヒール?
…えっと、ヒールって靴ですよね?
これも
これも
これ、も…?
気になるときは聞いてみましょう。
ということで、ギャラリーの方に話をお伺いしました。
Q.このヒール、本当に履いて歩けますか?
―はい、歩けます。見た目に反して意外と安定しているので、クラブに行く時にチョイスする人もいるとか。人混みに紛れると足元が見えないので、ただの背の高い人になってしまうそうですが(笑)ただ、なかには履くだけで歩く事を想定していない物もあります。
Q.このヒール、本当に履いて歩けますか?
―はい、歩けます。見た目に反して意外と安定しているので、クラブに行く時にチョイスする人もいるとか。人混みに紛れると足元が見えないので、ただの背の高い人になってしまうそうですが(笑)ただ、なかには履くだけで歩く事を想定していない物もあります。
Q.ちなみに今回は履けるのでしょうか?
―今回は出来ないのですが、以前開催された美術館の展示では履くことも出来ました。
Q.購入することはできますか?
―出来ますよ。実際に検討中の物や、売約済みの物もあります。大きさとしては女性用サイズです。
Q.とても目を引くこのクリスタルも、もしかして靴として履いて歩けるのですか?
―こちらは靴というよりもオブジェですね。実はこのオブジェはオーダーメイドのブーツと同じ足型を用いてデザインされました。
クリスタルのオブジェ
ブーツの足型。これがさらにオブジェの型にもなった。
―このふたつの作品は、実際にオーダーした方の足型を取って靴作りをした後、残った型を使って作られています。
「靴は自分と履く人しか繋がることができない。けれども、展示品であれば実際に観た色々な方と繋がることができる。」という舘鼻さんの思いのこもった作品です。
なるほど。確かに靴を履き物ではなくオブジェとしてとらえるなら、「何これ!凄い!履いてみたい」という気持ちも共有できますね。
世界一高いバレエシューズをちょうだい
オシャレは足元から。一足先の未来を歩くヒールの中には、こんな物語を持つものも。
一足のバレエシューズ。正面に、側面に、余すところなく敷き詰められたスワロフスキーが照明の光を反射して、きらきらとした輝きがとても目にあざやか。
この靴はある曲のPVのため、レディー・ガガから依頼を受けて作成されたバレエシューズと同じデザインで、スワロフスキーガラスをつけたもの。ボッティチェリからウォーホルまで、あらゆる世代のアートを愛する彼女だからこそ、自分の体の一部となる足元にもこだわりがあったのですね。
ちなみにこの靴は歩くことを想定していないそうで、PVでも手すりをつかんだ状態が撮影されています。それにしても、この高さを履きながらバレリーナのバーレッスンをするなんて…すごいの一言です。
また、これらの靴は全ての工程が手作業で作られており、会場ではその貴重な製作の様子を映像で見ることも出来ます。
渋谷ヒカリエにて来年1月12日まで開催されていますので、靴が好きな方、アートが好きな方、レディー・ガガが好きな方は必見です。
2014.12.21 文・写真 青木美佳
写真 舘鼻則孝展展示風景、2014-2015年、8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery