面白いイベント情報を求めてイベニア

| レポート&ニュース |



SHARE

facebook

Twitter

「東京カルチャーカルチャー」が渋谷に移転。イベントを支えるイベントプロデューサーに聞く

アイコン新しい文化を生み出し続ける、カルカルの新たな挑戦

2017/01/12(公開:2016/12/16)
2016年12月7日、 “カルカル”の愛称で親しまれる同店が、渋谷に移転して新たにオープンした。

ニフティが運営するイベントスペース「東京カルチャーカルチャー」。以前はお台場に店舗を構え、「ネットとリアルをつなぐ場所」をコンセプトに、2007年からトークイベントを中心に、音楽、お笑い、企業向けイベント、商品プロモーションなどを連日行ってきた。 

これまで、イベニアでは東京カルチャーカルチャーで数多くのイベントを取材してきた。今回、新しくなった“カルカル”の魅力と、そこで行われるイベントをつかさどる「イベントプロデューサー」についてインタビューを行った。


◇お台場から渋谷へ。新カルカルの魅力



cocoti SHIBUYA(渋谷 ココチ)4階にあり、渋谷駅から徒歩4分とかなり近い。東京メトロ「渋谷駅」を使えば出口正面にすぐある。このアクセスの良さは大きな魅力だ。

入口受け付けにある看板は、なんと手作りだそう。東京カルチャーカルチャーのFacebookに「いいね!」が押されると光る仕組みになっている。まさにネットとリアルをつないだシステムだ。 


 
店内にはお台場から持ってきた看板もあり、新しい場所でもその歴史が続いていくことが感じられる。

店舗はWi-Fiインターネット接続 ニフティ光、最新鋭の音響・映像設備があり、様々なイベント企画にしっかり応えられるようになっている。

渋谷向けに開発したフード、ドリンク。エスニック料理を中心にグランドメニューを一新。ローストビーフが名物になるという。



東京カルチャーカルチャーの強みと言えば、話題になるコンテンツの目利きがまず挙げられる。さらに、そうしたコンテンツを欲する人達の心を捉えた結果とも言える、集客力もポイントだ。実際、ニフティのサービスの中でも成長株とのこと。

また、イベントを実施する上での運営力も高い。挑戦的な企画を打ち出しているが、9年間警察沙汰、保健所沙汰はなし。これはイベントを成功に導きたい人達(そして参加するお客さんに)にとっては、非常に重要な事柄だろう。
 


東京カルチャーカルチャーならではのシステムも導入。

通称「いいちこ棒」こと、スティックライト型のIoTデバイスを搭載したリアルタイムアンケートシステムだ。これには速度センサーと通信モジュールが搭載されている。

こちらを動かせば、来場者が回答したデータがクラウドに送信される。結果はスクリーンにリアルタイムに映されるというもの。
 


アンケートシステムはA,B.C三択にも対応。サイリウムを下に向けると光が消えるため、回答を見せたくないときにも使える。USBに接続すればアップデートも可能。このサイリウムは一本3万円以上するとか。もちろん、カルカル以外では使えないので持ち帰ることのないように!


 
東京カルチャーカルチャーでは、これまで培ってきた哲学がある。おおまかにまとめると以下のようなものだ。※( )内はイベニアにて取材した一例。

・なんでもイベントになる(お台場猫フェス謎解きゲーム

・なるべく前例のないイベントをやる(冷やしグルメ祭


・リアルを必ず入れる(永谷園食べ放題祭大人のギンビスナイト

といった要素だ。こうしたスパイスを盛り込むことで、多くの人達から反響を呼んでいる。



では、そうしたイベントを創り出し、支えるイベントプロデューサーについて触れてみよう。


◇企画から司会まで! カルカルをささえる「イベントプロデューサー」とは?

今回、東京カルチャーカルチャーにおけるイベントプロデューサーを代表する1人であるテリー植田さんにお話を聞くことができた。

―― イベントプロデューサーとはどんなお仕事なのでしょうか?

企画・アイディア出し、出演者へのオファー、そしてブッキング。さらに当日の司会進行まですべてをこなします。カルカルの場合だと、持ち込み企画はほぼなく、オリジナルです。これは他にはない特徴ですね。

カルカルには7名のイベントプロデューサーがいます。社員、業務委託、アルバイトとさまざまですね。やりがいもありますが、そのぶん大変な仕事です。常にイベントプロデューサーは募集をしています。 

―― どんなときにイベントのアイディアを思いつくのですか?

机上の空論というのはなくて、実際に人に会ったり、場所に行ったり、新商品を試したりしたときに思いつく。そうしたことと「これやりたい」という考えが結びついて、さまざまなアイディアが生まれるんです。

―― イベントプロデューサーに必要なものは?

食材でも商品でも、はやり始めているものをかぎ分ける嗅覚は必要だと思います。世の中の半歩先を行くことを意識していますね。同時にスピード感も欠かせない。カルカルは月に30本以上イベントをしているので、それを管理できるスケジュール能力も求められます。

そして、人が気づかないものやありそうでなかったものに、どれだけ気づけるかも重要。さらに言えば、気づいていてもできないものをどれだけ実行できるか。しかも、それを世の中で真っ先にやらないと。二番手では意味がないですから。

 

―― 常に新しいもの、面白いものを求められるプレッシャーはありませんか?

プレッシャーはないけれど、自分の面白いと思うことをできないのはダメですね。自分に常にハッパをかけている感じかな。もちろん、こうしたことは一人ではできなくて、周りのスタッフやお客さんの協力があってこそのものだと思います。

―― 特に大変なところはどこでしょうか?

やはりお客さんにどうしたら満足してもらえるか? というところです。クライアントにも観客にも満足してもらわないといけない。一番大切なのは当日。ベストな状態で楽しんでもらうため、全体の構成や仕切り、雰囲気作りなど気を配っています。

司会としてフロントに立っているので、失敗は許されない。でも、そうしたことを面には出さず盛り上げなくてはいけないですから……。何も考えていないようで、実はいろいろ考えているんです(笑)

でも、イベントをやるためにイベントをしているわけではないんです。僕はコミュニケーションを活性化するためにイベントをしているのであって、演出や場所、手法はなんでもいいと思っています。どうしたらよいイベントができるのか「逆算」していく。それから、なんでもやればいいというわけではなくて「引き算」も必要ですね。

―― どんな人がイベントプロデューサーに向いていますか?

まず人が好きであること。初対面の人とも話したり、盛り上がったり。さらには相手に合わせるコミュニケーション力が求められます。

イベント中はリアルタイムでコミュニケーションを編集していくスキルが必須です。段取りの力だったり、仕切る力だったり。そして、何よりもエンタメ(楽しいこと)が好きであることですね。


―― どんなときが嬉しいですか?

お客さんの「楽しかった」という一言に尽きます。これくらいしか評価の基準はないけれど、この一言のためにすべてやってきているから。そういう意味では評価が分かりやすいですね。

―― 良いイベントとはどんなものだと思いますか?

登壇するひとたちも含めて、お客さんが満足するかどうかです。イベントは終わりがあるものだから結果はすごくシビアです。顔を見ればわかりますから。

―― 今後、こんなイベントをやりたいというのはありますか?

渋谷という場所にきたので、それを生かしたいですね。例えば、スクランブル交差点とかにいる、初めて渋谷に来た外国人観光客の人たち。彼らに、日本酒やいいちこなどのお酒を味わってもらったり、街コンに代わるもっとカジュアルで健全な婚活企画をやったり。

渋谷は昔だと新しい文化の発信地であり、遊ぶ場所でもあったけれど、今はそういうのがあまりない。渋谷は広いし多様なカルチャーがあります。そのひとつにカルカルもなれればいいですね。カルカルらしいマニアックなものと、メインカルチャーが共存していくことが理想です。
 


―― テリーさんがイベントを行う上で重視しているものはなんですか?

コミュニケーションを活性化することですね。イベント開始時の乾杯って、握手、ハイタッチ、ハグに代わる何かになりうると思うんです。コミュニケーションの発明ですよね。初対面の人でも、イベントに来ればリアルなつながりが生まれる。

カルカルではイベントが、コンテンツが、乾杯がコミュニケーションになります。そうした新しい方法を模索していきたいですね。

―― 渋谷に移転して、以前と変わったところはありますか?

まず着席で150人、立席で200名と席数が増えました。また、渋谷駅からも近いので来やすくなりました。平日の夜のイベント、またイベント後の打ち上げもやりやすいです。機材もバージョンアップしています。

―― 最後にメッセージをお願いします。

イベントなどのほか、企業の商品発表や記者会見にも利用できます。それらをエンタメとして見せて、メディアが外部に発信していく流れです。とにかく、いろいろな人に使ってほしいし、来てほしいです。



これまで、イベニアで取材したカルカルのイベントは35個。イベント情報のみの掲載であれば600を超えた。毎回「さすがカルカル!」というイベントを開催してくれる頼もしい存在である。

常に新しく、面白いイベントを創造していくカルカルに今後も注目だ。

篠崎夏美/イベニア
>さらに読む