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レポート&ニュース

ウルトラマンもステージに登場! 宇宙に一台のウルトラヴァイオリンも。「ウルトラマン シンフォニーコンサート2015」

円谷プロ52年の歴史を詰め込んだ、ウルトラマン級オーケストラが誕生。

「オーケストラが“歌を歌う”ようになれば素晴らしいことと思うので、そこを一番心がけた」

指揮者・矢澤定明は語る。
 
2015年11月、東京芸術劇場コンサートホールにて、ウルトラマンシンフォニーコンサート2015が開催された。
 



2013年に円谷プロダクションが50周年を迎えるタイミングで行われたコンサートから、2年ぶり。オーケストラのバックに歌手を使った前回とは違い、今回はすべて楽器の音で演奏が作られた。
 
「なるべくテレビで聴いたものと違わないものを提供するのが、僕らの仕事かな。オーケストラだからって、いつものメロディが全然聴こえず“歌えなかった”』って言われると、やっぱり夢を壊しているということなので」
 
ウルトラマンの脚本・監督を手掛けた飯島敏弘に「絢爛たる世界」と絶賛されつつ、ちゃんと“歌える”演奏を届け、舞台に訪れた数々のファンを魅了した今回のコンサート。その全貌をお伝えしていこう。




 
◇フジ隊員、「長くお付き合いされてますよね」の言葉に思わず赤面?
 
オープニングの「ウルトラマンの歌」「ウルトラセブンの歌」メドレーの後、登壇したのは司会進行役のWOWWOWアナウンサー・吉年愛梨。そして、『ウルトラマン』でフジ・アキコ隊員を務めた桜井浩子。今回の全舞台でMCを務める2人だ。
 
「桜井さんはウルトラマンとは長くお付き合いされてますよね」まるで夫婦仲を羨むような司会の言葉に、思わず照れ笑いをこぼす桜井。「長いですよ。やっぱり生の演奏は素晴らしいですね。さっき舞台袖で歌っていましたよ」と答えていた。
 
今回の舞台で演奏されたのは、ウルトラマンシリーズの楽曲だけではない。円谷特撮メドレーでは、「ウルトラQ」、「怪獣ブースカ」「ミラーマンの唄」などが演奏された。
 
中でも『マイティジャック』の楽曲はオーケストラで演奏される機会がなかなかないという。来客を取材してみると、「これが聴きたくて来ました。今回初めて、あれだけ長いバージョンが聴けてよかったです」(62歳・男性)との声も上がっていた。
 

◇新監督・田口に、「泣け!」と言い放つフジ隊員
 
3番目の演目は、新世代ウルトラヒーローメドレー。ウルトラマンゼロ・ギンガ・Xと、新しい時代を担う3人のウルトラヒーローのテーマソングをまとめたものだ。
 
演奏に先駆けて名前を呼ばれたのは、現在テレビ放送中の『ウルトラマンX』のメイン監督を務める田口清隆。

フジ隊員こと桜井に「アガってる?」と指摘され、「アガってます! さっきオープニング映像に自分の名前が出ていて、膝が震えてしまって……」と緊張をあらわにした。
 
田口監督が語ったのは、オーケストラの舞台の背後に設置された、大型のモニターが映し出す映像について。一番目の「ウルトラマンの歌」では、当時のテレビ放送の背景映像のまま、番組スタッフやキャストなどの名前がすべて今回の演奏者・登壇者の名前に差し替えられたものが流された。田口監督には、このことを当日まで知らされていなかったようだ。
 
『ウルトラマンX』で初めて作品のメイン監督を務めたと言う田口監督。設定やキャスティングなど作品を作っていく上で「やってみて初めて知る苦労がいっぱいありました」と語る。
 
フジ隊員
「(Xの演奏を聴いたら)泣いちゃうかもしれないね」
 
田口監督
「泣いちゃうかもしれないですね」
 
フジ隊員
「泣け!」
 
監督と元ヒロインと言うより、若手隊員と先輩隊員のようなやりとりで観客の笑いを誘った。





 
◇監督をやる予定じゃなかった? 歴代監督・飯島敏宏の意外すぎる過去が明らかに。
 
4番目は「ウルトラ警備隊の歌」や「ワンダバUGM」を収めた、特捜隊メドレーである。

ゲスト登壇したのは、円谷特撮作品を多く監督した飯島敏宏。並びに『ウルトラセブン』、『帰ってきたウルトラマン』を初めとするウルトラマンシリーズの主題歌や、劇中音楽の作曲を多数手がけた冬木透だ。
 
フジ隊員から思い出に残っていることを尋ねられ、飯島監督の口からは意外な言葉が飛び出した。
 
「初めて申し上げますけどね、ウルトラマンの監督の予定に僕はいなかったんです。臨時なんです。その臨時が、いま50年も経ってこんな話をしていて、自分でもビックリしている」
 
もともと『ウルトラQ』の脚本をやりたくて円谷プロに出向したという飯島監督。初めて映像を撮りたくなったのは、『ウルトラQ』第19話の『2020年の挑戦』からだそう。
 
また当時の苦労に話が及ぶと、「ウルトラマンの最初の脚本を書いたとき、主題歌が脚本の後に出来てきて、それを見たら『自慢のジェットで敵をうつ』という歌詞が出てくる。『ジェット』って、ジェット機のことかな? そんなの知らなかったけど、大丈夫かなこれ、って……そんな風にうろたえながらやっていました」とも語った。
 
一方、冬木は円谷プロ2代目社長・円谷一から突き付けられた難題について振り返る。
 
「当時はCGなんてものも無い中、社長から『テレビの画面で宇宙の大きさを表現するのは不可能だから、音楽でそれをやってくれ』というような注文を戴きまして……これは大変なことになったなぁと」
 
今聞けば仰天するようなエピソードの数々である。
 
なお、この回のメドレー内で演奏された「ワンダバ」にも指揮者のこだわりが。再び指揮者・矢澤の言葉だ。
 
「ヴァイオリンのボウイング(運弓法)を変えているんですよ。ふつうは弓をダウン・アップと繰り返して弾かせるが、それでは『ランターカターカ』と間延びしたような演奏になる。すべて力が入れられるダウンのみの運弓を行うことで、『ワンダバダバ』とキレのいい演奏につながっている」
 
これも“オーケストラが歌う”ための工夫の一つである。


 
◇「監督さんの顔が見れない……」 恥ずかしがりやのアンヌ隊員登場
 
休憩時間を挟んで、第二部のオープニングでは『帰ってきたウルトラマン』、『ウルトラマンタロウ』やアニメ作品『ザ☆ウルトラマン』を含む、昭和ウルトラマン主題歌メドレーが演奏された。
 
続く平成ウルトラマン主題歌メドレーの間に、再び司会陣が登壇。ゲストには『ウルトラセブン』のアンヌ隊員役・ひし美ゆり子が登場。
 
ひし美
「私、けっこう主題歌を口ずさめるの。『エメラルドー』とか」

桜井
「単語だけじゃん」
 
鋭いツッコミが入り、元・女性隊員同士の止まらないトークが始まった。過去の苦労話の際には、こんなやり取りが。
 
ひし美
「現場では、いつも監督さんの顔が見れませんでした。ちょっと怠け者で、勉強もしなかったし、芝居に自信がないから……そのへんは桜井さん、お上手だけど」

桜井
「まーどうもありがとう! 漫才やってるわけじゃないのよ~。そろそろ終わりましょうか!」
 
楽団背後のモニターには、それぞれの楽曲と共に各作品のオープニング映像が表示された。主題歌なので、昭和・平成共に歌詞まで表示されるこの回。指揮者は映像の雰囲気だけでなく、歌詞の切り替わりにも演奏を合わせなければならない。
 
指揮者・矢澤はのちに「(タイミングなど)すべてわかってやってたら、仕事みたいになっちゃう。合うか合わないか、ぎりぎりの臨場感が良かった」とも語った。
 
この回で特に筆者が印象に残っているのは、ウルトラマンガイアのサビ、「ピンチの ピンチの ピンチの連続 そんな時 ウルトラマンがほしい!」の箇所。木管楽器の音に金管楽器がかぶさる形でコーラスする様子は、まさに“オーケストラが歌っているよう”だった。

 
◇「ウルトラマン交響曲」。そしてアンコールは、観客全員で大合唱!
 
最終演目は、「ウルトラマン交響曲(忍び寄る恐怖~勝利まで)」。流れる映像でも起承転結が作られ、15分にも及ぶ超大作なのにまったく飽きを感じさせない構成になっていた。

怪獣が現れ、化学特捜隊が出動しても何ともならない所にウルトラマンが登場。ピンチに陥るも最後には怪獣を倒す、という一連の物語に、壮大なオーケストラが見事に重なった。演奏終了後、MCの桜井も「最後ね、泣いちゃって残念です」と語る。
 
アンコールでは、すべてのゲストと共に、ウルトラマン・ウルトラセブンまでも登壇。コンサートマスター岩村聡弘に、今回のコンサートを記念して作られた世界にひとつ、いや、宇宙にひとつの『ウルトラヴァイオリン』が手渡され、「マイメモリアルウルトラマンシンフォニー」が演奏された。
 






このアンコール演奏では、観客も一緒に歌えるだけでなく、写真や動画などの撮影も特別に許可。商用にならない範囲の利用・YoutubeへのアップロードのみOKとされた。
 
実際、今回の来客の中には「Youtubeで過去の演奏を見て訪れた」という方も。今回の演奏も、すでに数々SNSなどで拡散されている模様。また新たなファンを引き込んでいくことに違いない。





 
◇宇宙に一台! 78万円の“ウルトラヴァイオリン”って?
 
コンサートにも登場した『ウルトラヴァイオリン』について補足しておこう。ボディの中心にカラータイマーが平面で描かれているほか、実はヘッド部分のスクロール(カタツムリのように渦を巻いた箇所)にも、片方だけに立体のカラータイマーが。





また、ボディ下部分にはウルトラマンのシルエットが施され、弦はスペシウム光線に見立てられている。
 

 
78万円(税別)という値段は、ウルトラマンの故郷であるM78星雲にちなんでいる。会場では抽選が行われ、ペンネーム・バンビさんが見事これに当選した。
 

 

◇会場には『ウルトラマンX』の主題歌を歌う歌手の姿も!
 
最後に観客の声を紹介しよう。
 
42歳の女性は、旦那さんの影響でウルトラマン好きになり、5歳の息子さんと共に今回の舞台へ来場。息子さんはウルトラマンセブンが大好きらしく、「序盤でセブンの曲が聴けてよかった」と満足した様子。またSS席限定でウルトラマン・ウルトラセブンと一緒に写真を撮影できる特典もあったようで、息子さんもそれを自慢げに話してくれた。
 
続いて、28歳の男性二人組は、小学校からのウルトラマンファン。お互いの家に行き来し、往年の作品も数多く観合った仲だそう。今回の映像で流れた怪獣の名前も、すべて覚えていたとのこと。
 
「オーケストラなんて合唱コンクール以来だけど、映像もあったから楽しめました」
 
なお今回のコンサートは円谷プロの公式サイトから知ったものの、申し込んだときSS席はすでに完売していたらしい。「次回はぜひSS席で!」と熱く語ってくれた。

 
また、会場には現在放送中の『ウルトラマンX』の主題歌を歌う瀬下千晶の姿も。
 
「今回の演奏は、やっぱり自分が歌っている『ウルトラマンX』のテーマが目当てでした。毎週火曜の6:00から放送中ですので、ぜひ観てください!」
 
「見逃したらYoutubeの円谷公式チャンネルからも観れます!」
 
共にその場にいた彼女のファンである女性からも、重ねてしっかり宣伝されてしまった。
 
実はウルトラマンについて、そこまで深い知識があったわけではない筆者。しかし映像と共に魅せられた今回の舞台では、ファンじゃなくても心を揺さぶられるものがあった。
 
最新のウルトラマンも、往年のウルトラマンも、まったくつながりのない独立した存在ではない。みなすべてウルトラの兄弟。円谷プロの長年の歴史をその大きな体に宿しながら、後の時代に脈々と受け継いでいっているのだ。
 
次回のコンサートはいつ開催になるのだろうか。そのときまでにこれまでのウルトラマン作品をしっかり予習し、また会場へ足を運ぼう。

取材/平原学


 

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