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レポート&ニュース

水の中にいるのは・・・誰?(藪乃理子 写真展「水葬 SUISOU」)

感じたものは、本能的な‘恐怖’

 

 写真家「藪乃理子」氏の作品展示イベント 水葬 SUISOU 

 

  東京 新宿センタービル ペンタックススクエア内 ぺンタックスフォーラム ギャラリー 

 

大きな浴槽に自ら潜り、カメラのタイマーで撮影したセルフポートレート。多いときには一日に600回も水に潜って撮影をしたという。今回のイベントでは、その中からカラー作品がおよそ20点展示されていた。

今回の展示のテーマは、本当の私。自分を敢えて歪ませて、客観的に見ることだそう。水に沈ませ、歪んだ自分がどうみえるか?人の目にどう映っているのか?水に沈み、歪んだ作者の姿は『人は様々な色眼鏡で、歪んで見られる』ということを表現している。

 

 

   会場前のポスター

 

この展示のポスターを見て感じたものは、本能的な‘恐怖’だった。

 

展示のSUISOUには、水葬という字が当てられている。文字通り、青白い肌の被写体からは命が感じられず、まるで水に沈めてこれから埋葬しようとしているようだ。

 

そう、かつて人々が、池や滝に生贄を深く沈めたように・・・。

 

しかし、この‘恐怖’の根源は、「死」や、冷たい水(寒々とした写真の雰囲気から、どうしても‘お湯’には思えない)に葬られる、ということだけではない。水の中の像はぐにゃりと曲がり、泡立ち、その全貌が分からない。その姿は一秒たりともとどまらず、形を変え続けている。これは水の下で得体のしれない‘何か’に変わろうとしている、もしくはその‘何か’が、おぞましい正体を露わそうとしているようにも見える。そしてその‘何か’は、自分を冷たい水の底に引きずり込むのではないか?と思わせる。生き物が本能的に持っている、水への恐怖が甦るのだ。

 

また、「SUISOU]は響きを聞けば、「水槽」という本来の意味に立ち返る。浴槽という水槽の中の彼女は、生気を感じない物体のように見えつつも、怪しい魅力に満ちている。まるで、水槽の中で鑑賞されるべき冷たい肌の美しい魚か、水に浮かぶ美しき屍、オフィーリアのようである。

 

そう、ここでもやはり「死」のイメージが付きまとう。

 

この展示のテーマは「敢えて一度‘自分を殺し’て、客観的に見る」ことである。様々な色眼鏡で見られ、しがらみのまとわりついた自分を水に葬る、という点では、やはり一度‘死なねばならない’のかもしれない。水というフィルター、カメラのレンズと言うフィルターを通じて、実体を分からなくすることで、どこまで「客観的」に自分を見つめられるのだろうか。自分は他人からどうみられているのか?本当の自分とはいったいどんな人間なのか?と考えると、自分の実態がぐにゃぐにゃになるような感覚に襲われる。

 

そう、まるで水の中の像のように・・・。

 

 

 2013.07.17 文・写真 篠崎夏美 

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