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レポート&ニュース

ゴルゴ13や、レレレのおじさんが‘仏’になる「漫画家による仏の世界展」

仏さまをキャラクターにする?しかも、展示会場はお寺!?

一瞬、「それってバチあたりじゃ…」と思った。


しかし、すぐに今の日本では特に驚くことではないと考え直した。

ブッダやキリストを主人公にしたコメディー漫画が描かれ(私も大ファンだ)、通称‘萌え寺’と呼ばれる可愛らしい仏教キャラが迎えてくれるお寺もある。
 
そもそも、漫画という表現手段は日本の文化としてかなり高められ、海外でも人気を得ている。それを漫画=罰当たりと決めつけるのは、軽率だったかもしれない。

自分だって「聖☆おにいさん」で、どれだけ宗教の知識を得たことか。ちょっと反省。
 

さらに、それ以上に『漫画で仏を表現する』、『寺院で展覧会をする』ことには、深―い意味があったのだ。

 






05.01[木]~05.13[火] / 東京都 / 増上寺 本堂下三縁ホール
 
50名の有名漫画家たちが描いた仏画を、増上寺で展示している。東日本大震災、戦争、飢餓など、世界各地で起きている苦しく悲しい出来事も念頭にあり、開催に至ったという。

第一回目は京都の東寺で開催された。今回の東京でのイベントは作品数も増えており、会場スペースも京都の6〜7倍に広がっている。
 



<出展画家>
赤塚不二夫、いがらしゆみこ、池上遼一、板橋しゅうほう、植田まさし、ウノカマキリ、浦沢直樹、江口寿史、桜夛吾作、荻野真、一峰大二、神谷和子、木村直巳、クミタリュウ、小島功、さいとう・たかを、佐伯かよの、里中満智子、志賀公江、ジョージ秋山、管ナオコ、ちばてつや、土山しげる、手塚プロ、寺沢武一、中山星香、永野のりこ、西田淑子、西村宗、新田たつお、花村えい子、林家木久扇、バロン吉元、臂美恵、ビッグ錠、藤井龍二、牧美也子、牧野圭一、松本零士、三浦みつる、南久美子、宮島幸次、本宮ひろ志、森田拳次、やの功、矢野徳、山根青鬼、六田登、渡辺みちお他(敬称略・五十音順) 
 

出展した漫画家もそうそうたる顔ぶれだ。これだけ豪華な漫画家たちの作品が集まるというだけでも、このイベントのすごさが分かるだろう。


運営事務局の和田さんにお話を伺った。開催のきっかけは『漫画家に仏様を描いてもらったら、きっと面白い作品が出来るだろう』という発想だったそう。漫画のルーツを辿ると、京都の高山寺に伝わる「鳥獣人物戯画」や、「信貴山縁起絵巻」などに行く着くのだとか。
 
なんと、漫画はお寺発祥という説もあるのだ。昔から漫画とお寺とは、切っても切れない関係だったのだ。全然罰当たりじゃなかった!!

さらに、日本の寺院には歴史もあり、多くの寺院が「世界文化遺産」にも登録されている。これらの寺院はかつて日本文化の情報発信の場でもあったことから、寺院で漫画家による仏画展示することになったとのこと。
 
漫画家の方たちも、真剣に「仏」を描くのは初めてだという人が多かったが、どの作品も素晴らしいものになっているそう。中には禊をして制作に取り掛かった方もいるのだとか。この企画に対する意気込みが伝わってくるエピソードだ。
 


あのマンガのタッチで仏画が・・・。

     
左)弁財天/ちばてつや   右)ブッダ/手塚治虫(手塚プロ)

漫画、仏と言えば、やはり手塚治虫の「ブッダ」を思い浮かべる方も多いだろう。最近では「聖☆おにいさん」を思い浮かべる人も多いかもしれないが、そちらのブッダも手塚治虫氏を尊敬してやまない。
 

   
如意輪観音/いがらしゆみこ 

少女マンガのタッチで仏画ってどうなんだろうと思っていたが、全く違和感はない。仏像には優しい表情のものも多いし、バックに花を背負うという少女マンガ的な表現は、仏像と蓮の花の表現に通じるものがあるからかもしれない。



 
意外な姿の仏様。そして、意外な人も仏様に!!

スマホや、PCの活用は当たり前。さらには宇宙まで・・・!?電子機器を操る仏様や、ロケットになった観音様など、ユニークなものも。現代社会の世相、問題を反映した作品も多かった。

      
左)護留護天/さいとう・たかを   右)レレレ千手観音/赤塚不二夫(フジオプロ)

なんと、ゴルゴ13に登場するヒットマン、デューク東郷が仏画に!!暗殺者が仏になるとは、なんとも逆説的だが、この護留護天(ごるごてん)はとても強そう!人々を救うためならどんな依頼も完璧にこなし、小さな悪事も見逃さず、悪人を懲らしめてくれそうだ。
 
失礼ながら、まさかレレレのおじさんが観音様になるとは思っていなかった。手にはチビ太のおでんも持ってる。こんなに手があったら掃除がはかどりそうだ。




「仏」を描くなんて出来ない、という漫画家さんも。
 
その気持ちは良く分かる。私も多分恐れ多くて、何をどう描けばいいのか分からないと思う。そんな中で、工夫をこらして生まれた作品には、作り手の心の奥底にあるものが表れるのかもしれない。

      
左)童子/里中満智子   右)わらし地蔵/浦沢直樹

里中さんは「仏さまは描けないから、童子を描く」と仰ったそうですが、この澄み切った優しい眼差しは仏さまそのものと言える。

浦沢さんのコメントには「田舎道ですれ違う子供たちの中に、君はおじぞうさんかい!?と言いたくなる子がいますよね」と書かれていたとのこと。

子供の無垢さは昔から、神様にも例えられてきた。しかし、浦沢さんの描いたお地蔵さんはとってもやんちゃそう。
 

中には、描いているうちに自分の顔になってきてしまった人も・・・?


自画像/植田まさし

植田さんは「仏さまを描いているうちに、どんどん自分の子供の頃のような感じになっていきました。出来上がった仏画は、いわば私の自画像です」とコメントされていた。
 
このとぼけた表情は、達観して全てを悟っているかのようにも見える。まさに、心の中の仏様が表れているのだろう。
 


展示の最後には、やなせたかし先生の写真があった。企画の依頼を快諾してくださったものの、残念ながら途中で亡くなられてしまった。このスペースには、やなせさんの絵が飾られるはずだった。



やなせさんが生み出したアンパンマンも、仏教的なヒーローと言えるかもしれない。やなせさんの写真をこの場所に持ってきたことは、素晴らしい判断だと思う。胸にこみ上げるものがあった。 『漫画家による仏の世界展』は、漫画による心の救済、という意味もあるのだろう。

 
 
 
ありがたーいグッズの数々

    

西陣織で作られた作品が目を引いた。タテ糸約2,700本、ヨコ糸20,000本の糸を組み合わせ、職人技で作られているそうだ。光を浴びてキラキラと輝く作品は、神々しいほどにまばゆい。

ポストカードや、スマートフォンのケースなどもある。スマホケースはいつも持ち歩くものだけに、なんだかご利益もありそうだ。
 

 
 
増上寺

それぞれの漫画家が独自に描いた個性豊かな仏様たち。

ユニークな漫画に思わず表情が緩み、慈愛に満ちた眼差しに癒される。楽しみながらいつの間にか心が安らいでいた。こうして気軽に仏教に触れることが出来るのも魅力の一つだろう。

漫画と仏画。一見異質だが、どちらも日本の文化を象徴するものだ。マンガという身近な文化を通じて、自分の知らない文化を体験するきっかけになるかもしれない。

 

2014.05.02 文・写真 篠崎夏美

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